2021年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コード(以下、改訂CGC)では、企業に対し、積極的な知的財産への投資や事業への活用を促し、それを投資家に情報開示していくことを求めています。
これを受け、内閣府・知的財産戦略本部では、企業がどのような形で知財・無形資産の投資・活用戦略の開示やガバナンスの構築に取り組めば、投資家や金融機関から適切に評価されるかについて分かりやすく示すために、「知財・無形資産の投資・活用戦略の開示及びガバナンスに関するガイドライン(略称:知財・無形資産ガバナンスガイドライン)Ver.1.0」を策定し、2022年1月に公表しました。さらに、その後の状況を踏まえ、2023年3月に、ガイドラインのVer.2.0が公表されました。 ガイドラインVer.2.0は、Ver.1.0で提示した5つの原則、7つのアクションに加え、企業と投資家との間の対話や情報開示の質を高めるためのコミュニケーション・フレームワークを提示しています。コミュニケーション・フレームワークは、
特に、企業における知財・無形資産の投資・活用について、その投資のタイミングと企業価値化されるタイミング(例:事業化)のタイムラグを考慮ししつつ、コーポレートレベルの経営指標(ROIC等)と紐付けて説明し、その貢献を明らかにすることが求められることから、KPI(重要業績評価指標)の策定が重要な課題となっています。 これを知財KPIと定義し、様々な検討が行われており、現状、IPランドスケープの実施率、重要特許シェア率などが公表されていますが、まだこれといった決定打は出ていません。 特許KPIについての議論がいろいろ行われています。 各企業の創意工夫に期待したいと思っています。 特許スコアリング・レイティングの活用方法 4/5/2023 https://yorozuipsc.com/blog/1143171 特許スコアリング・レイティングの活用方法 http://e-patent.co.jp/wp/wp-content/uploads/2023/05/%E7%9F%A5%E8%B2%A1%E7%AE%A1%E7%90%86%E8%AA%8C-%E7%89%B9%E8%A8%B1%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%BB%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%AE%E6%B4%BB%E7%94%A8%E6%96%B9%E6%B3%95.pdf 改訂CGCに対応した知財KPIの策定と開示 30/1/2023 https://yorozuipsc.com/blog/cgckpi 知財KPI策定の勘所 ──改訂CGC対応に向けた知財KPI策定の基礎と実践── 山内 明 高野誠司 https://takano-pat.com/struct/wp-content/uploads/Vol.73No.1pp.31-41.pdf 自社保有特許に占める重要特許比率を議論 抄 録 2021年6月のコーポレートガバナンス・コード(以下,CGCと略す)改訂1)を受け,知的財産への投資等について事業戦略との整合性や実効性等の開示が実質的に義務化されたことに伴い,かかる知財活動を定量化したKPI(以下,知財KPIと略す)策定が喫緊の課題となっている。しかしながら,本稿執筆時点(2022年9月)においてもコーポレートガバナンス報告書等で知財KPIを開示している企業は僅かであり,また開示された知財KPI自体,特許件数やイノベーション投資額といった無難なものが殆どである。大半の企業が改訂CGCの趣旨を理解していても,知財KPIの策定に難儀し,他社の動きを様子見するとともに開示を躊躇している状況が窺える。そこで本稿では,かかる状況打開の一助となるよう,知財KPI策定の基本的な考え方や事例を紹介したい。 知財・無形資産投資と指標(KPI) 13/12/2022 https://yorozuipsc.com/blog/kpi9035624 内閣府・知的財産戦略推進事務局「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」2022/12/05 資料 知財・無形資産投資と指標(KPI) KIT虎ノ門大学院(金沢工業大学大学院) イノベーションマネジメント研究科・教授 杉光一成 PhD https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/dai16/siryou4.pdf 注目される開示例として、不二製油グループ 統合報告書 2022(41頁)(2022年10月4日発表)が挙げられている。『杉光・立本「コーポレートガバナンス・コード改訂に伴う知的財産に関する KPI等の設定(中間報告)」(2022)のワーキングペーパーに記載されたKPIに近いものを用いて開示されている』と紹介。 知的財産に関する情報開⽰の際のKPI (重要業績評価指標)の例としての中核特許8/4/2022 https://yorozuipsc.com/blog/kpi6185779 コーポレートガバナンス・コード改訂に伴う知的財産に関する KPI 等の設定(中間報告)杉光 一成 東京大学未来ビジョン研究センター 客員研究員 金沢工業大学大学院イノベーションマネジメント研究科 教授 立本 博文 筑波大学ビジネスサイエンス系 教授 https://ifi.u-tokyo.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2022/01/WP010.pdf 重要特許のシェア率をKPIと提案 重要特許 = 同⼀ IPC 分類における年平均被引⽤回数の上位5% 例えば,特定の IPC 分類の全特許出願についてそれぞれ過去に引⽤された総数15を確認し,その総数を出願年からの経過年数で割ることで平均の被引⽤回数16を算出し,その数値を降順で並べて上位5%に⼊る特許出願を「重要特許」とする,という案である.経過年数で割る理由は出願から⻑期の出願するほど引⽤される可能性及び回数が増加することを踏まえてその点を平準化するためである. 重要特許のシェア率 = ⾃社の重要特許保有数 ÷ 業界の重要特許件数
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著者萬秀憲 アーカイブ
April 2025
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