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日本AI戦略の未来

15/7/2025

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7月2日〜4日に京都で開催されたスタートアップカンファレンス「IVS2025」でのセッション『「日本AI戦略の未来」~グローバルAI競争下での日本の戦略的ポジショニング~』では、平 将明 デジタル大臣と松尾 豊 東京大学大学院工学系研究科教授 AI戦略会議 座長が出席しました。
主な内容は、下記のとおりです。
日本のAI戦略の未来:グローバル競争下での戦略的ポジショニング
本セッションでは、デジタル大臣の平将明氏と東京大学教授の松尾豊氏が、グローバルなAI競争における日本の現状、課題、そして未来に向けた戦略について議論しています。
1. 日本のAIに関する現状認識と強み
  • AI学習・実装のしやすさ: 日本は先進国の中でもAIを学習しやすく、実装しやすい国であると評価されています。
    • 規制の緩やかさ: ヨーロッパがAIに関して包括的な規制を導入しているのに対し、日本は比較的規制が緩やかで、学習の自由度が高いことがその理由です。
    • 人口減少: AIが仕事を奪うことに対する社会不安やデモが他国で起きる中、日本では人口減少を背景にそのような懸念が少ないため、AIのフル実装が進みやすいとされています。
  • 国際的信頼度: 日本は非常に信頼される国として認識されており、特にアジア諸国が地政学的・経済安全保障上の問題を抱える中で、AI関連の投資先として選ばれる傾向にあります。GAFAMとOracleが日本へのAIデータセンターに4兆円を超える投資を計画していることもその表れです。
  • 政府の取り組み: 日本政府のAIに対する動きは「ほぼ満点」と評価されており、GPUや開発者の増加、AI活用の推進など、これまでのデジタル技術の最新動向と比較しても良い形で進んでいます。特に、イノベーション推進とリスク対応を両立させるAI法案は、他国の手本となるような「非常に良い法律」であるとされています。
2. 日本が直面するAI競争上の課題
  • 投資規模の格差: 日本政府のAI関連予算が昨年度2,000億円以下であるのに対し、米国のビッグテック企業は研究開発に年間34兆円規模の投資を行っており、これは日本の170倍もの差があります。この投資規模の差は「どうやって勝つんだ」という根本的な問題として認識されています。
  • サイバーセキュリティ: 日本が世界から信頼される一方で、最も大きな課題としてサイバーセキュリティが挙げられています。日本が優れたAIモデルを開発しても、敵対的な国に奪われるリスクが懸念されています。
  • 企業におけるAI導入の遅れ: 国民のAI利用が早い一方で、特に大企業のAI導入は遅れている現状があります。これは、AIへの投資不足や、デジタル化・AI活用が進んでいないことによる非効率性につながっています。
  • データ利活用の課題: EUにはデータ利活用に関する包括的な法律があるのに対し、日本にはそれがなく、企業がデータを出すことに保守的であり、データ活用が進んでいない点が問題です。
3. 政府による課題解決に向けた具体的な取り組み
  • 行政のAIフル実装: 平大臣はデジタル庁において行政のAIフル実装を推進しており、AnthropicやGeminiなどのAIを行政業務に導入しています。
    • ガバメントソリューションサービス: 各省庁がデジタル庁のAIを利用できる環境を整備しています。
    • ガバメントクラウドとデジタルマーケットプレイス: 全国1,700の自治体が業務を標準化し、ガバメントクラウドに移行する計画が進んでいます。さらに、デジタルマーケットプレイスを通じて、自治体が必要なAIアプリケーションを容易に導入できる仕組みを構築し、行政全体にAI活用を拡大しようとしています。これは、SaaS形式のAIアプリケーションを提供する事業者にとって大きなビジネスチャンスとなります。
  • サイバーセキュリティの強化:
    • 法改正と新設ポスト: 国家を背景としたサイバー攻撃に対応するため、「マッチョな法律」を制定し、サイバー安全保障担当大臣のポストを新設しました。
    • 通信データの分析と攻撃源の無力化: 日本を経由するアジアからアメリカへの通信を分析できるよう法律を改正し、攻撃のネットワーク(ボットネット)を分析・特定し、海外のサーバーであっても警察や自衛隊がアクセスして無力化できる体制を構築しました。
    • AIとサイバーセキュリティの連携: AIとサイバーセキュリティを担当する大臣が同じであるため、世界から信頼されている状況です。
  • 電力・データセンターの安定供給:
    • ワットビット連携: 電力供給(ワット)とデータセンター(ビット)の一体的開発を支援する政策を進めています。
  • データ利活用法の策定: 金融、ヘルスケア、防災、教育などの分野ごとにデータ活用を促す法律の策定を進めており、来年の通常国会での成立を目指しています。
4. 民間企業と人材育成の役割
  • 民間企業のAI投資の重要性: 政府の予算だけでは世界のビッグテックに対抗できないため、民間企業がAIに投資し、付加価値につなげて再投資する「ループ」を構築することが不可欠です。
  • 企業向けAI教育の推進: 松尾教授は、企業の担当者がAIに適切に投資し活用できるよう、「AI発注力講座」の実施を計画しています。
    • 目的: 大企業の担当者がAIの技術を理解し、世界中の事例から自社に合った活用方法を想像し、適切なベンダー選定、予算配分、プロジェクト管理ができるようにすること。
    • 期待される効果: 企業内でのAI活用が加速し、コスト削減や付加価値向上につながり、企業の成長と市場評価の改善に寄与すると期待されています。
  • グローバルな人材育成とエコシステム構築: 松尾教授のAI講義はアセアンやアフリカにも展開されており、現地でのAI人材育成を通じて、ローカル経済を強化し、日本のスタートアップとの交流を促進することを目指しています。これは、日本のAI・デジタル技術がアジアやアフリカに提供され、新たな「勢力」を形成する可能性を秘めているとされています。
  • リーダーシップの重要性: 政府閣僚を含め、リーダー層がAIを学ぶことで、組織全体のAI導入が円滑に進むことが指摘されています。
5. 日本のAI戦略の未来と展望
  • 「戦える状況」への接近: 松尾教授は、過去2〜3年の取り組みにより、日本はAI分野で「かなり良い位置」につけており、ようやく世界の同じ土俵で戦える状況に近づいていると感じています。
  • 日本独自の戦い方: 海外のビッグテックのような巨大な計算能力に真っ向から対抗するのではなく、「エヴァンゲリオンのマギシステム」のような分散型AIや、大きなモデルを活用しながらその上で動くAIを開発するなど、日本独自のやり方で戦っていくべきであると考えています。
  • 継続性の重要性: 民主主義国家ゆえの政策変更リスクが懸念される中で、これまでの良い動きを継続していくことの重要性が強調されています。
  • リスクテイカーの育成: 「やばい人の妄想」から新しい技術やアイデアが生まれるとして、リスクを恐れず、様々なことに挑戦する「アナーキー」な雰囲気(ポジティブな意味合いで)が、サイバーセキュリティのような堅実な戦略と両立することで、日本から世界に羽ばたくイノベーションが生まれることが期待されています。
 
 
【松尾豊vs平将明】日本は世界一!?AI戦略どうすべき?【東大教授vsデジタル大臣】
https://www.youtube.com/watch?v=oVOBt1IQKf0
 
 
 
The Future of Japan's AI Strategy
At the startup conference “IVS2025” held in Kyoto from July 2 to 4, a session titled “The Future of Japan's AI Strategy: Strategic Positioning under Global AI Competition” featured Digital Minister Masaaki Taira and Professor Yutaka Matsuo of the Graduate School of Engineering, the University of Tokyo, who also serves as Chair of the AI Strategy Council.

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