AI Samuraiが2021年12月に提供を開始した「AI特許作成」のシステムについて、経済産業省は、本件システムを用いた書類作成行為が弁理士の監督下で行われていることを条件に「適法」と判断しました。
規制適用の有無を所轄官庁に確認できる「グレーゾーン解消制度」で経産省に問い合わせたところ、経産省は2月18日付で、弁理士の監督下にあるという条件を満たせば「弁理士法に違反しない」と回答しています。 AI Samuraiの新機能は、従来のAI審査シミュレーションに加え、「AI特許作成」(3分でできる特許明細書、必要な情報を与えるとAIが特許明細書のドラフトを短時間で作ってくれる)、ということでした。デモを見る限り、そのままでは知財部門や特許事務所では使い物にならないかもしれませんが、研究開発の技術者が発明提案書を作成するのには、良いツールのように思えました。さらにレベルアップされることを期待しています。 新機能「AI特許作成」プレゼン動画 https://www.youtube.com/watch?v=GmGUb8bF-A0&t=22s AIで特許書類作成、サービス拡大 経産省「適法」認め https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC151Z50V10C22A2000000/ 新事業活動に関する確認の求めに対する回答の内容の公表 https://www.meti.go.jp/policy/jigyou_saisei/kyousouryoku_kyouka/shinjigyo-kaitakuseidosuishin/press/220218_yoshiki.pdf 事業名及び申請事業者 特許出願サポートシステムの提供 【申請事業者】 特許出願サポートシステムの提供を検討する中小企業 省内担当課室 特許庁総務部企画調査課弁理士室 申請日及び回答日 【申請日】令和4年1月19日 【回答日】令和4年2月18日 https://www.meti.go.jp/policy/jigyou_saisei/kyousouryoku_kyouka/shinjigyo-kaitakuseidosuishin/result/gray_zone.html 様式第十三(第4条関係) 新事業活動に関する確認の求めに対する回答の内容の公表 1.確認の求めを行った年月日 令和4年1月19日 2.回答を行った年月日 令和4年2月18日 3.新事業活動に係る事業の概要 本件事業は、ユーザ(研究者、発明者、弁理士等)が入力した発明内容(新しいアイデア) 及び複数の類似する先行特許文献に基づいて、特許出願書類の記載例のサポートとなる文章を 自動出力するシステム(以下「本件システム」という。)を開発・提供するものである。 本件システムの具体的な利用手順は以下のとおりである。 (1)ユーザは、ブラウザ画面から、発明内容を文章で入力するとともに、先行技術文献であ る基準特許と類似特許群(500件以下)を文献番号で指定する。 (2)本件システムにより、発明内容を分割し、分割された構成に含まれるセンテンスまたは 単語を抽出し、その抽出された文字群に基づいて類似文献から当該文字群を説明する該 当箇所を抽出し、明細書の項目に合わせて再配置し出力する。 (3)当該出力結果は、ブラウザ画面上の編集機能又はワード文書へのエクスポート機能を通 じて、弁理士によって修正・確認をされ、特許庁に出願される。 本件システムにおいて、ユーザは、上記(3)においてエクスポートされたワード文書を用 いて特許出願を行うにあたり、弁理士に当該文書の内容確認及び修正を受けることを前提とす る。すなわち、ユーザは、本件システムを利用する際に、本件システムを用いた最終的な特許 出願書類の作成行為に弁理士が確実に関与することについて、例えば、本件システムの利用規 約や、別途誓約書等で明確にする。 本件システムの提供先として想定する顧客としては、弁理士、特許業務法人又は弁理士が在 籍する企業とし、弁理士が在籍しない企業に対しては別途弁理士又は特許業務法人と出願委託 契約を締結することを前提として提供する。 4.確認の求めの内容 本件事業が弁理士法第75条に抵触するか。 5.確認の求めに対する回答の内容 本件システムを弁理士又は特許業務法人に提供する場合、本件システムが出力する書類デー タは弁理士又は特許業務法人のみがアクセスできるものであるから、本件システムを用いた書 類作成行為は弁理士の監督下で行われており、弁理士法違反とならないと考えられる。 他方、本件システムを弁理士が在籍する企業又は弁理士が在籍しない企業に提供する場合、 本件システムを用いた書類作成行為に弁理士が関与することが確実に担保されるよう、十分か つ客観的な制度的・運用的手当を講じている限りにおいて、当該書類作成行為は弁理士法違反 に該当しないと考えられる。 ただし、本件システム利用の具体的態様により、弁理士が書類作成に実質的に関与しておら ず、いわゆる「名義貸し」に相当すると認められる場合、本件システムを用いた書類作成行為 が弁理士法違反となる可能性がある。 なお、上記回答は、今般照会のあった事業についてのみ判断したものであり、他の事業等に おける判断を示すものではない。 また、本制度における回答は、あくまで該当法令における取り扱いについてのみ判断したも のであり、他の法令等における判断を示すものではない。 2月 4日 AI SAMURAI新機能「AI特許作成」
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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