本年5月11日に成立した経済安全保障推進法案(経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案)は、「サプライチェーン(供給網)」、「基幹インフラ」、「技術基盤(官民技術協力)」、及び、「特許非公開」が柱となっています。今後、経済安全保障制度は知的財産管理にも大きな影響を及ぼすことになりそうなので、7月4日に行われた「日本知財学会2022年度春季シンポジウム 知財とガバナンス ‐経済安全保障に焦点を当てて‐」を視聴しました。
特許出願の非公開に関する制度については、公布後2年以内に施行されるということで、詳細は今後有識者会議等で議論され、政令により決定されるようです。キヤノン株式会社、三菱重工業株式会社の取組みも紹介され、今後、各企業での取り組みが本格化しそうです。 日本知財学会2022年度春季シンポジウム 知財とガバナンス ‐経済安全保障に焦点を当てて‐ 2022年7月4日(月)13:30~17:00 https://www.ipaj.org/symposium/2022/2022_symposium.html 第208回通常国会で5月11日に可決成立した経済安全保障推進法案(経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案)は、「サプライチェーン(供給網)」、「基幹インフラ」、「技術基盤(官民技術協力)」、「特許非公開」の4分野が柱となっています。現在の地政学的環境変化から見ても、今後経済安全保障制度は知的財産管理にも大きな影響を及ぼすことは間違いないでしょう。 特に今回の法案のなかでは特許非公開制度は、民間の知的財産管理に直接大きな影響が想定されえる制度として注目されています。 多くの国ですでに設けられている制度とは言え、仮にわが国でデュアルユース技術に適用された場合は、様々な実務的な問題が生じ得ます。 本シンポジウムでは、広く経済安全保障に関する制度が知的財産管理にどのような影響を及ぼすのかについて、基調講演とパネル討論を実施します。特に特許非公開制度が特許実務に及ぼす影響を詳細に議論し、今後の制度運用に関する課題を示すことを目的とします。 【オープニング】 渡部 俊也 氏(東京大学 教授/本学会会長) 【基調講演】 「経済安全保障と新しい資本主義の形」 大橋 弘 氏 (東京大学大学院 経済学研究科 教授/公共政策大学院 院長) 【パネル討論Ⅰ】ポジショントーク(すべて仮題) 「特許出願の非公開制度の概要」 小新井 友厚 氏(内閣官房 国家安全保障局 参事官) 「経済安全保障の動きに合わせた企業内の取組と知財活動」 長澤 健一 氏(キヤノン株式会社 専務執行役員 /知的財産法務本部長/経済安全保障統括室長) 「特許非公開制度を見据えた機微技術 知財実務の展望」 森 達也 氏(三菱重工業株式会社 知的財産部長) 「特許非公開制度が及ぼす影響を考える」 杉村 純子氏(日本弁理士会 会長 /プロメテ国際特許事務所 代表弁理士) 「米国の秘密特許制度の実証分析からの知見」 吉岡(小林)徹 氏(一橋大学イノベーション研究センター 講師) 【パネル討論Ⅱ】ディスカッション パネル討論Ⅰパネリスト全員 モデレータ 渡部 俊也 氏(再掲) 経済安全保障推進法案(経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案)の概要 https://www.cas.go.jp/jp/houan/220225/siryou1.pdf 1.基本方針の策定等(第1章) 2.重要物資の安定的な供給の確保に関する制度(第2章) 3.基幹インフラ役務の安定的な提供の確保に関する制度(第3章) 4.先端的な重要技術の開発支援に関する制度(第4章) 5.特許出願の非公開に関する制度(第5章) 趣旨:特許出願の非公開制度を導入することにより、 ・公にすることにより国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれが大きい発明が記載されている特許出願につき、出願公開等の手続を留保するとともに、その間、必要な情報保全措置を講じることで、特許手続を通じた機微な技術の公開や情報流出を防止。 ・これまで安全保障上の観点から特許出願を諦めざるを得なかった発明者に特許法上の権利を受ける途を開く。 概要:1.特許出願の非公開に関する基本指針を策定 2.技術分野等によるスクリーニング(第一次審査) 3.保全審査(第二次審査) 4.保全指定 5.外国出願制限(第一国出願義務) 6.補償 経済安全保障推進法案の概要と今後の争点 https://www.tokiorisk.co.jp/publication/report/riskmanagement/pdf/pdf-riskmanagement-367.pdf
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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