『「パブリック・ドメイン・アプローチ」を通じた柔軟な知的財産制度の構築を目指して』という「知財とパブリック・ドメイン」の第3巻「不正競争防止法・商標法篇」は、第1巻特許法、第2巻著作権法に続く第3弾です。
帯のキャッチコピーには、『「パブリック・ドメイン・アプローチ」を通じた柔軟な知的財産制度の構築を目指して』と大きく書かれ、さらに、『従来、知的財産権の及ばない領域にあるものとして、ともすれば知的財産権に対立するものと考えられることが多かった「パブリック・ドメイン」。しかし、それは、知的財産の創作を促すために不可欠のものであり、その醸成と利用の確保こそが、知的財産権の究極の目的なのではないだろうか。本書では、そのような視点から、全3巻を通して各法を横断的に分析し、真の意味での産業や文化の発展に資する知的財産制度の構築を目指す。第3巻では、不正競争防止法・商標法を扱う。』と書かれています。 北海道大学 大学院法学研究科 中山 一郎 教授の「あとがき」は、説得力があります。 『知的財産法の究極の目標は、パブリック・ドメインの醸成と確保にある。』 『パブリック・ドメインを支える知的財産法、という発想が奇抜に映るとすれば、それは、知的財産法の世界に浸かった我々の呪縛ではないのか』 『パブリック・ドメインの醸成と確保というよりも知的財産権の保護強化が先決であるとの信念は根強いかもしれない。』 『知的財産権の世界に深く浸るほど、我々が消費者としても、創作者としても、パブリック・ドメインの恩恵を受けていることを忘れがちになる。知的財産権の保護は、それ自体が目的ではなく、豊かなパブリック・ドメインを醸成し、確保することを究極の目的とすべきであるとの田村善之教授の問題提起は、まさに、知的財産法の世界にいる我々が見失いがちな視点を気付かせてくれる。』 知財とパブリック・ドメイン 第3巻:不正競争防止法・商標法篇 2023/2/24 田村 善之 (編集) https://www.keisoshobo.co.jp/book/b620148.html パブリック・ドメインの醸成と確保という視点から、新たな時代に対応できる柔軟な知的財産法の構築を目指す意欲的研究書 知的財産法の世界では、近年のめざましい技術の進歩を背景として、パブリック・ドメインとの境界線上における紛争が多発している。本書では、従来あまり重視されてこなかったパブリック・ドメインを中心に据えて、創作の奨励や産業・文化の発展のため、いかにしてパブリック・ドメインを豊かにし、その利用を確保するのかという観点から、各種の知的財産法の構築を目指す。 第1部 総論 第1章 プロ・イノヴェイションのための市場と法の役割分担:インセンティヴ支援型知的財産法の意義──限定提供データの不正利用行為規制を素材として[田村善之] 第2部 不正競争防止法 第2章 産業上の創作に関するパブリック・ドメインと不正競争防止法上の商品等表示としての保護[宮脇正晴] 第3章 標識法における機能性法理[小嶋崇弘] 第4章 人工知能に特有の知的成果物の営業秘密・限定提供データ該当性[奥邨弘司] 第5章 ビッグデータの法的保護をめぐる欧米の議論動向──データプロデューサーの権利の創設提案を中心に[山根崇邦] 第6章 データの集積・加工の促進と知的財産法によるデータの保護[前田 健] 第7章 不正競争防止法における理由のない特許権侵害警告──特許権者による裁判外の差止請求と市場競争の自由とのバランスのとり方[駒田泰土] 第3部 商標法 第8章 商標権侵害訴訟における商標の類似性要件の実証的研究[平澤卓人] 第9章 商標的使用論の再構成[宮脇正晴] 第10章 メタタグ・検索連動型広告における商標の使用[金子敏哉] あとがき [中山一郎] プロ・イノヴェイションのための特許制度の muddling through (5・完) 田村 善之 知的財産法政策学研究 Vol.50(2018) https://www.juris.hokudai.ac.jp/riilp/wp-content/uploads/2018/05/b2f466dfbfc8a7a3b32c81df36e7dca7.pdf 商標権侵害訴訟における商標の類似性要件の実証的研究 平澤 卓人 知的財産法政策学研究 Vol.57(2020) https://www.juris.hokudai.ac.jp/riilp/wp-content/uploads/2020/10/38fb48a8d4c3ba4c429af34325359681.pdf ビッグデータの保護をめぐる法政策上の課題―欧米の議論を手がかりとして― 山根 崇邦 パテント Vol. 73 No. 8(別冊 No.23)(2020) https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/3556 データの集積・加工の促進と知的財産法によるデータの保護 前田 健 パテント Vol. 73 No. 8(別冊 No.23)(2020) https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/3562 理由のない特許権侵害警告と不正競争防止法―権利行使の“真正さ”を論じる必要はあるか― 駒田 泰土 特許研究 第66号(2018) https://www.inpit.go.jp/content/100865259.pdf
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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