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進歩性判断が甘いのではないかという声に対する特許庁の対応

21/6/2022

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「2009年以降、特許査定率が上昇・高止まりし、産業界からは、現在の審査、特に進歩性判断は「甘い」のではないかとの声が上がっている。」ことについて、そうした声を何度か耳にしています。進歩性判断が甘いのではないかという声に対して、特許庁も対応しています。
例えば、「産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 第 14 回審査基準専門委員会ワーキンググループ(令和元年12月16日)議事録」には、特許庁がこうした産業界の進歩性判断が甘いのではないかという声に対する対応が記載されています。また、特許庁の対応に対する企業側の委員、弁理士の委員、学者の委員などから意見が述べられています。(令和2年以降、何か効果が表れているでしょうか?)
 
その中でも、下記の指摘は同感です。
「・・・裁判所が、資料にもございますように課題を重視する傾向があったり、あるいは証拠に基づいて周知技術を認定しなければいけないところがございます。客観性という意味では非常に重要なのですが、そういうところも踏まえますと、進歩性は否定しづらい傾向になっていると思っているところでございます。
 それではどうしたらいいのかということになりますけれども、進歩性が緩くなり過ぎないためには、当たり前というものをやはり勇気を持ってきちんと認定していただくことかと思います。もちろん客観性は必要ですし、証拠がないと周知技術とはなかなか言えないところではあると思いますが、当たり前であるとかそういった周知技術の認定を、ある程度勇気を持ってやっていただく必要があるのではないかと思います。改めてクレームを見ていただいて、このようなものが特許になっていいのかと思うようなものについては、再考していただくという柔軟性を持っていただければ大分違ってくるのではと思っているところでございます。ただ、どんどん拒絶してほしいというわけではございませんので、どうぞよろしくお願いいたします。
 ですので、課題が書いていないということだけで進歩性があると認定したり、あるいはもうちょっと周辺技術も含めて広く調査していただいて、使えるものであれば適宜使っていただければと思っております。」
 
以下、「産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 第 14 回審査基準専門委員会ワーキンググループ(令和元年12月16日)議事録」から気になる部分を抜粋。
https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/kijun_wg/document/index/14_gijiroku.pdf
 
「・・・簡単に特許になってしまう印象があるとか、ベテランの人が見ると技術的な常識だなと思うものが、案外看過されるようになってきているという感触を持っているという御意見。3つ目は、裁判を経験された方の実感として、補正の段階で意見書が出て特許査定されているものの、なぜこれが特許になってしまったのかと感じるものもある・・・」「・・・サーチにおける見落としがあったのではないかとか、本願発明が狭く認定されたのではないか・・・」「・・・近年の裁判例は、発明の課題を重視した緻密な論理構成とすることで、進歩性を否定できない傾向になっているのではないか、そしてこれを踏襲する審査基準に基づいた審査が行われることになりますと、進歩性を否定できない傾向となるのではないか・・・」「・・・特許庁の審査が他国に比べて甘いのではないか・・・」などの進歩性の判断に関する指摘に対して、特許庁が「実際に進歩性が肯定された案件、特許査定された案件を分析して、問題の有無をさらに詳しく調査」した結果が記載されています。
 
全般的には大きな問題はないと考えられたけれども、その中の一部には、①から⑤のような審査が行われた可能性がある案件を発見した。
①請求項に係る発明の認定を行う際に、明細書等の記載に引きずられ、実施例に限定して狭く認定してしまったもの。
②有意義な関連先行技術文献を発見する蓋然性が高い調査範囲について先行技術文献の調査が十分ではなかったのではないかというもの。
③技術分野の関連性の低い引用発明について、課題の共通性や作用、機能の共通性等の動機付けの検討が足りなかったもの。
④設計変更や先行技術の寄せ集めといった、動機付け以外の検討が足りなかったというもの。
⑤有利な効果を必要以上に評価したのではないかと考えられるようなもの。
 
こういった①から⑤に示すような審査というのは、審査基準に照らすと改善の余地があると考えられ、このような事案に対処することで、進歩性判断の的確性に疑義を生じる案件を減らしていけるのではないかと考え、各審査官が審査基準に記載された進歩性の審査の進め方をいま一度確認するということと、進歩性の審査の進め方の各段階における判断の参考事例を提供するということの2つを対応の方針として定めた。
 具体的には、審査基準の基本的かつ重要な事項を抜粋して、その内容の理解の助けとなる参考事例を加えた資料を作成して11月20日に審査官に配布した。
 
進歩性の審査の進め方に関する参考資料の作成について令和元年12月16日
https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/kijun_wg/document/14-shiryou/10.pdf
進歩性の審査の進め方の要点と参考事例
https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/kijun_wg/document/14-shiryou/11.pdf

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