「知的財産の分野におけるデジタル化や国際化の更なる進展などの環境変化を踏まえ、スタートアップ・中小企業等による知的財産を活用した新規事業展開を後押しするなど、時代の要請に対応した知的財産制度の見直しが必要。」ということで、
(1) デジタル化に伴う事業活動の多様化を踏まえたブランド・デザイン等の保護強化、 (2) コロナ禍・デジタル化に対応した知的財産手続等の整備、 (3) 国際的な事業展開に関する制度整備 の3つを柱に、不正競争防止法、商標法、意匠法、特許法、実用新案法、工業所有権特例法の改正を行う知的財産関連の改正法6本が6月7日、参院本会議で可決、成立しました。 メタバース(仮想空間)などのデジタル空間で販売・譲渡されている模倣品の差し止め請求が可能になり、アバター(分身)が着用する衣類や小物などが対象になります。 登録可能な商標の拡充、意匠登録手続の要件緩和、営業秘密・限定提供データの保護の強化も重要。 仮想空間の模倣品を差し止め 改正不正競争防止法が成立 2023年6月7日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA076ZK0X00C23A6000000/ 不正競争防止法等(※)の一部を改正する法律案【知財一括法】の概要 ※不正競争防止法、商標法、意匠法、特許法、実用新案法、工業所有権特例法 https://www.meti.go.jp/press/2022/03/20230310002/20230310002-1.pdf 不正競争防止法等の一部を改正する法律案 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/211/meisai/m211080211054.htm 議案要旨 (経済産業委員会) 不正競争防止法等の一部を改正する法律案(閣法第五四号)(衆議院送付)要旨 本法律案の主な内容は次のとおりである。 一 デジタル化に伴う事業活動の多様化を踏まえたブランド・デザイン等の保護強化 1 商標法について、先行商標権者の同意があり出所混同のおそれがない場合には、他人の登録商標と類似する商標を登録可能とする。また、一定の場合には、氏名を含む商標を他人の承諾なく登録可能とする。 2 意匠法について、創作者等が意匠登録出願前にデザインを複数公開した場合の救済措置を受けるための手続要件を緩和する。 3 不正競争防止法について、デジタル空間における他人の商品形態を模倣した商品の提供行為も不正競争行為の対象とする。また、秘密として管理されたビッグデータも限定提供データとして保護し、侵害行為の差止請求等を可能とする。さらに、損害賠償訴訟で被侵害者の生産能力等を超えるとして賠償が否定されていた損害分も使用許諾料相当額として損害賠償請求を可能とする。 二 コロナ禍・デジタル化に対応した知的財産手続等の整備 1 特許法及び工業所有権に関する手続等の特例に関する法律について、在外者へ査定結果等の書類を郵送できない場合に、公表により送付したとみなすとともに、インターネットを通じた送達制度を整備する。 2 特許法について、中小企業の特許に関する手数料の減免について、資力等の制約がある者の発明奨励・産業発達促進という制度趣旨を踏まえ、一部件数制限を設ける。 三 国際的な事業展開に関する制度整備 不正競争防止法について、OECD外国公務員贈賄防止条約をより高い水準で的確に実施するため、外国公務員贈賄罪における自然人及び法人に対する法定刑を引き上げるとともに、日本企業の外国人従業員による海外での単独贈賄行為も処罰対象とする。 四 施行期日 この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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