旭化成の2024年3月期連結最終損益は850億円の黒字(前期は913億円の赤字)になる見通しで前期の赤字が黒字転換しますが、従来予想1000億円の黒字を150億円下方修正するなど厳しい環境です。
しかし、11月7日2023年度第2四半期決算の発表後、年初来高値を更新するなど、市場は好反応のようです。 10月25日に公開された「知的財産報告書 2023」は、社長あいさつに続き、価値創造モデルにおける知的財産の位置づけを明確にしており、 旭化成グループの知的財産として、下記を具体的に説明しています。 ・旭化成グループの知的財産組織 ・知財活動から企業価値向上へのストーリー ・企業価値向上ストーリーの事業領域別特徴 ・IPLによる経営・事業戦略策定への貢献 ・IPLによる事業利益向上への貢献 ・知財手続・活用に関する取り組み ・知財基盤機能の強化に関する取り組み ・知財人財の育成に関する取り組み 【特集】知財インテリジェンスで“つながる”~新事業創出への貢献~ 2022年知的財産権出願件数と保有特許実施状況、セグメント別データ 主な社外表彰・地方発明表彰 全体として、今回の知的財産報告書では、知的財産組織が企業価値の向上へどのように貢献しているかが具体的に紹介されており、高レベルな開示になっています。 下記の記載が印象的でした。 『知財活動による企業価値向上ストーリーの策定にあたっては、社外専門家(アビームコンサルティング株式会社)の協力の下で客観的な検証を行っています。 特に、知財活動から企業価値へのつながりについて注目し、両者の相関関係の有無を検証することで、本ストーリーの確からしさを評価しています。 知財活動から企業価値向上へのつながりとしては、大きく2つのストーリーがあります。1つは、IPLによる業界分析を行うことにより、ダイレクトに経営・事業戦略策定に貢献すること、もう1つは、これら戦略に基づく知財戦略に則った戦略的な権利活用により事業利益の向上につながるストーリーです。社外専門家との検証では、例えば、戦略的な権利活用(特許価値評価)から事業利益の向上(売上高)へのつながりについて、相関関係があることを確認しています。』 2024 年3月期第2四半期の連結業績予想と実績値との差異に関するお知らせ https://www.asahi-kasei.com/jp/news/2023/l6h4pt00000013po-att/ze231107.pdf 2023年度第2四半期 決算説明資料 https://www.asahi-kasei.com/jp/ir/library/financial_briefing/pdf/2309_analyst.pdf 知的財産報告書 2023 2023/10/25 https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/20231024570291/ https://www.asahi-kasei.com/jp/r_and_d/intellectual_asset_report/pdf/ip_report2023.pdf 2023/10/02 第1回NIKKEI知財・無形資産シンポジウム/世界の機関投資家の潮流 旭化成/知財・無形資産 経営者フォーラム 工藤幸四郎氏 ご挨拶 https://channel.nikkei.co.jp/sustainableforum2023/231002sustainableforum_02.html 旭化成ファーマ テリボン皮下注用の後発品めぐる特許権侵害訴訟 大阪地裁が沢井製薬に仮処分命令 2023/09/06 https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=75300 旭化成ファーマ テリボン®皮下注用56.5μgの後発品を巡る特許権侵害訴訟で大阪地裁が沢井製品の製造販売差止の仮処分命令を発出 2023.09.05 https://www.tokkyoteki.com/2023/09/teriparatide-preliminary-injunction-2.html ノーベル賞、旭化成・吉野彰氏の思い 「技術は普及させてこそ」 2023.7.19 https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00567/071100005/ グローバル知財戦略フォーラム2023パネルディスカッション「成功するIPLと失敗するIPL」 http://e-patent.co.jp/2023/01/30/global-ip-strategy-forum2023/ 【パネルディスカッション】 成功するIPLと失敗するIPL 2023/01/27 https://cdn-nws.stage.ac/dldocs/ipforum2023/pd2-1.pdf 「成功する IPL と失敗する IPL」 2023/04/04 https://www.inpit.go.jp/content/100877356.pdf Executive Insight :旭化成における企業経営と知的財産戦略 旭化成株式会社 代表取締役社長 工藤幸四郎氏(約21分半) https://www.lexisnexisip.jp/resources/executive-insight-strategic-management-ip-strategy-asahi-kasei-mrkudo/ 「経営と知財、IPランドスケープというツールが非常に密接につながった形で旭化成の事業戦略あるいは経営戦略を研ぎ澄ましていく」旭化成株式会社の工藤社長に経営における知財の役割についてお伺いしました。(2022年10月) 【内容】1.100年以上の歴史を持つ旭化成 2.研究開発とノーベル賞 3.旭化成の今後の成長分野とその選択 4.無形資産の活用 5.無形資産を経営に活かすリーディングカンパニー 6.グローバルに協業する可能性 7.中期経営計画とIP戦略 8.IPランドスケープの展開 9.投資家向けの知財戦略説明会を開いた背景 10.投資家の興味はどこにあったか 11.旭化成におけるSDGs活動について Executive Insight :旭化成における知財情報の戦略的活用| IPランドスケープ 旭化成株式会社 知財インテリジェンス室 シニアフェロー 中村 栄氏(約39分) https://www.lexisnexisip.jp/resources/executive-insight-strategic-utilization-of-intellectual-property-information-at-asahi-kasei/ 中村様からIPランドスケープに取り組むのに重要な多くのことを学ばせていただきました。 IPランドスケープ活動を個々の企業の試みだけではなく、日本全体で盛り上げるべく、IPランドスケープ推進のリーダーシップをとっていらっしゃる中村栄氏から、旭化成におけるIPランドスケープ活動の発端、IPランドスケープ推進協議会を発足するに至った経緯、今後の展望などについてお伺いしました。(収録は2022年10月) 【内容】1.中村氏 ご経歴 2.IPランドスケープ推進協議会の発足 3.新しい取り組みを推進していく原動力 4.IPランドスケープに影響した外部要因 5.経営層の意識はどう変わってきたか 6.企業風土にあった導入 7.事業部にはクールな目で見て欲しい 8.お客様についてのインテリジェンス 9.IPインテリジェンス室の業務について 10.IPランドスケープの次のステップ 11.知財インテリジェンス室の人財の育成 旭化成の知財戦略と知財KPI 28/5/2023 https://yorozuipsc.com/blog/kpi9548822 旭化成グループにおける知財インテリジェンス活動 15/11/2022 https://yorozuipsc.com/blog/2845998
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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