塩野義製薬は、2027~28年ごろに抗HIV薬「ドルテグラビル」の特許が満了して売上高が急減する「パテントクリフ(特許の崖)」に直面すると考えられていましたが、2023年6月1日に2030年度までの中期経営計画の見直しを発表した手代木功社長がこのパテントクリフが「問題ではなくなった」と宣言し、2023年度に4500億円と予想している売上収益を2030年度に8000億円に拡大する目標を掲げたとのことです。
知的財産への投資についてみると、『当社グループが取り組むヘルスケア社会課題の考え方に基づいて、アンメットニーズに取り組み、「感染症の脅威からの解放」「健やかで豊かな人生への貢献」の実現を目指し、強みである低分子創薬を軸にしながら、新たなモダリティの拡充や新技術の獲得を進めることで、治療、診断、予防なども含めた疾患全体のトータルケアを目指した研究開発を行っております。このような研究開発への投資により生まれた種々のイノベーションについて、知的財産として適切かつ確実に保護することで企業価値の向上を図っております。』としています。 経営理念と知財・無形資産戦略、経営戦略と知財・無形資産戦略がしっかり整理されており、無形資産投資戦略(「高い創造性を生み出す環境と風土」、「注力領域の選択と集中による研究開発投資」、「オープンイノベーション推進によるパートナリング、産学連携」)、知的財産戦略(「知財情報の積極的な利活用」、「質の高い知財創出と、適切な権利確保」、「高効率的な知的財産活動」)が明確にされ、無形資産投資戦略および知的財産戦略の実践が10の柱で詳述されています。(1.知財ガバナンス体制と研究開発投資、2.研究活動を促進する風土醸成、3.産学連携などのパートナリングによるオープンイノベーションの推進、4.知財情報の積極的な利活用、5.特許戦略の基本的な考え方、6.適切な特許権の確保、7.パテントポートフォリオの維持管理と侵害予防、権利行使、8.ブランド&デザイン戦略、9.知財教育、10.医薬品アクセス改善) コロナ薬の塩野義製薬、特許の壁を回避してグローバル体制確立へ 塩野義製薬、新型コロナ治療薬の開発成功【2】 2023.8.31 https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00110/082500164/ 塩野義製薬、新型コロナ治療薬ゾコーバ開発で見せた底力 塩野義製薬、新型コロナ治療薬の開発成功【1】 2023.8.30 https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00110/082500163/ また“手代木マジック”か 塩野義製薬「特許の崖」回避にめど 2023.6.9 https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00110/060600157/ 2023/06/01 中期経営計画STS2030のRevision(改訂)について -2030年 Vision実現に向けた成長フェーズに前倒しで移行- https://www.shionogi.com/jp/ja/news/2023/6/20230601.html 中期経営計画「SHIONOGI Transformation Strategy 2030(STS2030)」Revision 2023年6月1日 https://www.shionogi.com/content/dam/shionogi/jp/investors/ir-library/presentation-materials/fy2023/STS%20Revision_final2.pdf コーポレート・ガバナンス報告書最終更新日:2023年6月30日 塩野義製薬株式会社 https://www.shionogi.com/content/dam/shionogi/jp/company/cg/basic/pdf/cg_report_ja_202306.pdf 【補充原則3-1-3 サステイナビリティについての取組み等】 当社グループは事業活動を通じて社会課題や医療ニーズに応え、社会に必要とされる企業として成長し、その成果をステークホルダーと共有することを目指しています。そのために事業のリスクや機会、自社の現状や課題を踏まえて優先的に取り組むマテリアリティ(重要課題)を特定し、グループ一丸で取り組んでおります。 人的資本への投資等については、“人が競争力の源泉”という理念のもと、当社グループの目指すべき人材像「Shionogi Way」を定めております。 中期経営計画「Shionogi Transformation Strategy 2030(STS2030)」を達成するためのグローバルな競争に勝ち抜ける強い個人の育成と組織の構築の実現を目指し、「多彩な人材の確保」、「尖った強みを持つ人材の育成」、「誰もが働きやすい環境・風土の醸成」、「健康管理・労働安全衛生」の4つの考え方に基づいた人事諸施策を戦略的・計画的に推進しており、関連する定性的・定量的な指標を統合報告書やウェブサイトにて開示しております。 知的財産への投資については、当社グループが取り組むヘルスケア社会課題の考え方に基づいて、アンメットニーズに取り組み、「感染症の脅威からの解放」「健やかで豊かな人生への貢献」の実現を目指し、強みである低分子創薬を軸にしながら、新たなモダリティの拡充や新技術の獲得を進めることで、治療、診断、予防なども含めた疾患全体のトータルケアを目指した研究開発を行っております。このような研究開発への投資により生まれた種々のイノベーションについて、知的財産として適切かつ確実に保護することで企業価値の向上を図っております。また、研究開発戦略を支える事業戦略・経営戦略との関係、競争優位を支える知財戦略との関係や、知的財産の保護、医薬品アクセスを改善するための知的財産施策などについて当社ウェブサイト、プレスリリース、統合報告書等で開示しております。 「研究開発」:https://www.shionogi.com/jp/ja/innovation/rd.html 「知的財産戦略」:https://www.shionogi.com/jp/ja/innovation/IP-strategy.html 「SHIONOGIグループ知的財産ポリシー」: https://www.shionogi.com/jp/ja/company/policies/shionogi-group-intellectual-property-policy.html 知的財産戦略 https://www.shionogi.com/jp/ja/innovation/IP-strategy.html SHIONOGIグループの経営理念と知財・無形資産戦略 SHIONOGIグループの経営戦略と知財・無形資産戦略 SHIONOGIグループの無形資産投資戦略 SHIONOGIグループの知的財産戦略 無形資産投資戦略および知的財産戦略の実践 1.知財ガバナンス体制と研究開発投資 2.研究活動を促進する風土醸成 3.産学連携などのパートナリングによる、オープンイノベーションの推進 4.知財情報の積極的な利活用 5.特許戦略の基本的な考え方 6.適切な特許権の確保 7.パテントポートフォリオの維持管理と侵害予防、権利行使 8.ブランド&デザイン戦略 9.知財教育 10.医薬品アクセス改善 塩野義製薬、AMEDによるワクチン・新規モダリティ研究開発事業へのインフルエンザウイルスまたは新型コロナウイルスに対する経鼻ワクチン研究開発の採択について 2023.09.01 https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/release/23/09/01/17602/?ST=print 2023/08/31 AMEDによるワクチン・新規モダリティ研究開発事業へのインフルエンザウイルスまたは新型コロナウイルスに対する経鼻ワクチン研究開発の採択について https://www.shionogi.com/jp/ja/news/2023/8/20230831.html 塩野義製薬「“特許の崖”に泣き特許収入に笑う」、8四半期ぶり増収の事情 2022.6.17 https://diamond.jp/articles/-/304917?page=3 製薬会社の”IPランドスケープ”の取り組み(塩野義の例)・・・「経営戦略に資する知財情報分析・活用に関する調査研究」より 2021.05.26 https://www.tokkyoteki.com/2021/05/chizai-johobunseki-report.html HAAS 分野の IP ランドスケープに注力する塩野義製薬の知財活動 6/5/2021 https://yorozuipsc.com/blog/haas-ip 特許分析を通じた製薬企業の研究開発と企業価値との関連性の研究(2020) https://irdb.nii.ac.jp/01276/0005121104
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著者萬秀憲 アーカイブ
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