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​よろず知財コンサルティングのブログ

企業を持続的に成長させる知財ガバナンス™戦略とは

5/9/2021

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9月2日に行われた知財ガバナンス™セミナー 「企業を持続的に成長させる知財ガバナンス™戦略とは」(「知財実務オンライン」と「知財ガバナンス研究会」のコラボ企画)をライブと一部アーカイブ動画で視聴しました。3時間に及ぶセミナーは、密度の濃いものでした。
https://www.youtube.com/watch?v=YV8hIwWc2XU&t=2942s
 
まず政府の動向を内閣府知的財産戦略推進事務局 川上敏寛 参事官から「企業の競争力強化に向けた知財投資・活用促進について」と題して、政府の取り組みについて説明がありました。(知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会の第1回会合で内閣知的財産戦略推進事務局が説明した資料のエッセンスが説明されました。)
私の理解では、政府の問題意識は、日本のイノベーション活動は停滞しており、日本企業の「知財活用戦略」、「知財投資」、「知財を活かす経営」に関しては上手くいってないこと、いろいろな知財制度の改革にもかかわらず企業の経営層の意識の変革につながってこなかったことで、今回は、金融庁のコーポレートガバナンスコード改訂のタイミングに、知財の位置づけを行うことに成功したので、投資家の目線を使って企業の知財意識を変えていく施策にもう一度チャレンジするという取組みとのことです。
HRガバナンス・リーダーズ株式会社 菊地 修氏(元ナブテスコ知的財産部長)からは、20年前の改革と同じように見えるが、当時は政府や裁判所などの公的機関の改革が多かったのに対し、今回は、民間企業が経営投資家の視点を把握したうえで、企業の経営戦略の中に知財投資や経営の在り方を説明せざるを得なくなるので20年前の改革とは大きく異なる、という説明がされ、ナブテスコ知的財産部長 井上 博之氏からは、「イノベーションリーダーへの変貌を促す知財ガバナンスへの挑戦」、アールシーコア 社長室 知財企画リーダー 勝間 康裕氏からは、「知財情報発信と知財活用によるブランド価値の向上」、SBI証券 金融調査部 波多野 紅美氏からは、「投資家の視点から見た、企業の知財ガバナンスへの期待」が話されました。
今回のセミナーを通じ、投資家と企業が知財について十分な対話がなかった状態だったのが、今後は大きく変わりそうな期待感が沸いてきました。また、税制面の優遇、補助金等による政策誘導にたよってきたこれまでの政策が、コーポレートガバナンスを使った政策誘導に大きく舵を切るタイミングに巡り合った知財関係者がどう行動すべきか、菊地氏らが主導する「知財ガバナンス研究会」への期待が膨らみました。
知財関係者からは、「単なる看板の掛け替えに過ぎない」とか、「今回もどうせ何もかわらないだろう」とか、「知財の世界に、経営者だけでなく、投資家という異質な視点が持ち込まれる」というような声もあるようです。
​「知財ガバナンス研究会」の活動を広め深める中で、「関心が高まるのを機に、果敢に経営の中枢に一歩、二歩踏み込むか、それともボードや投資家からのプレッシャーに耐えうるだけの強靭さを身に付けるべく足元を固めに行くか・・・(注)」と迷っている多くの知財関係者の背中を押すことが必要かもしれません。
 
 
(注)企業法務戦士の雑感 ~Season2~ 何度看板を掛け替えれば、前に進むことができるのだろうか・・・。
https://k-houmu-sensi2005.hatenablog.com/entry/2021/06/21/230000
 
 
資料4    事務局説明資料(内閣知的財産戦略推進事務局)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/dai1/siryou4.pdf
 
問題意識は、
  • 日本のイノベーション活動が停滞しているという危機感。(世界知的所有権機関のグローバルイノベーション指数によれば日本は16位にとどまっており、日本のイノベーション・エコシステムは十分に機能しているとは言えない。)
  • 企業価値の源泉が有形資産から無形資産に変わってきている中、日本では依然として有形資産投資のウェイトが高い。
  • リーマンショック後の研究開発投資の落ち込みから、諸外国は比較的短期間で早期に回復しているのに対し、日本は回復まで時間を要しており、いまだ低迷。
  • 日本の大企業の研究開発費及び売上高研究開発費比率ともに、GAFAのそれよりも小さい。
  • 日本の企業価値に占める無形資産の割合は、欧米に比べて格段に低い。(S&P500の90%に比べ、NIKKEI 225では32%)
  • 投資家は無形資産投資を重視するのに対し、企業は有形資産投資を重視しており、無形資産投資に対する認識のギャップが大きい。
  • GPIFが特許情報を活用して投資判断している。ESG投資の判断に特許技術などを調べて、それが活用された場合の「企業価値の向上」と「温室効果ガス削減のコスト」を比べたら、機会を活用した場合の企業価値向上は日本企業のほうが大きかった。日本企業は、特許技術のような気候変動対応に伴う「機会」については、まだ十分に情報公開されていない部分が多い。
  • 政府が進めている知的財産の投資・活用促進メカニズムの取り組みは、企業による知的財産の投資・活用戦略の開示を促し、投資家に代わって専門的な知見に基づき評価・分析する調査会社の機能の活用により、企業の知的財産の投資・活用が進むことを考えている。(株式市場を通じたメカニズム、金融機関の融資を通じたメカニズム)
  • 知的財産投資・活用促進メカニズム強化していく方向性は3つある。
  • ひとつは企業の知的財産の投資・活用戦略の開示をすすめること。その大きな柱が「コーポレートガバナンス・コード」改訂、り「知的財産」が明記された。そのわかりやすいガイドラインを策定中。
  • 二番目が知的財産を含む事業の価値評価に基づく投融資促進で、「事業成長担保権(仮称)」の創設。
  • 三番目は、知的財産の評価・分析を担う専門クラスターの育成。
  • これらにより、知的財産の投資・活用促進メカニズムを強化していきたい。
  • コーポレートガバナンス・コードの改定の説明
  • 節目は2つ。12月末までに、コーポレート・ガバナンスに関する報告書の東証への提出⇒知財投資について開示項目の内容を記載。来年夏頃統合報告書、IR資料等による開示⇒投資家との対話に向けた具体的な知財投資戦略の開示
  • 知的財産投資・活用戦略に関する開示の在り方を示すガイドラインの作成が必要で、知財等無形資産の開示の在り方について、価値協創ガイダンスの中で明確化する。
  • 成長戦略実行計画(令和3年6月18日閣議決定)、成長戦略フォローアップ(令和3年6月18日閣議決定)、「知的財産戦略本部」(令和3年7月13日開催)における菅総理発言「知財投資に努力している企業が、投資家から多くの資金を集められるよう、企業の知財戦略の開示を促すガイドラインを作成します。」
  • 検討の視点①~企業価値向上、資金獲得に向けた開示・発信~
  • 企業の知財投資・活用戦略を開示・発信することで、株式市場を通じて投資家から適切に評価され、企業価値向上や資金の獲得につながる仕組みを構築
  • 会計情報で無形資産をきちんと表現できていない。特に、コカ・コーラのようにブランドを育てた場合、一般に公正妥当と認められた会計原則(GAAP)のもとでそれは資産ではないが、そのブランドを購入した場合は、貸借対照表に誇らしげに計上される問題。
  • 知財単体の価値評価の限界(知財のみの価値に着目した評価には複数の手法があるが、知財はビジネスに組み込まれることで価値の創出に貢献するものであり、事業と一体として価値評価されるべき。
  • 検討の視点② ~経営陣の意識変革・ガバナンス体制の構築~企業や経営陣の知財投資・活用戦略の重要性に対する認識が高まる契機となることを期待、知財投資・活用戦略の着実な実行に向け、社内にガバナンス体制を構築する必要。
  • 経営と知財部門での情報共有等に課題
  • 検討の視点③ ~戦略的意思の表明の開示 知的財産戦略推進事務局 ・発信~開示・発信されるべき内容は、戦略的意思の表明。現有の知財の活用や足らざる知財の獲得を明らかにすることが重要。
  • 検討の視点④ ~価値協創ガイダンスの価値創造ストーリーに沿った開示・発信~「価値協創ガイダンス」の価値創造ストーリーに沿った形で、知財投資・活用戦略を開示・発信。
  • 検討の視点⑤ ~成長投資としてのESG投資の加速につながる開示・発信~投資家が、知財投資・活用戦略の情報を分析・活用することで、ESG投資をポジティブな成長投資として捉え、長期的にプラスの価値評価の実現が可能となることを期待
  • 検討の視点⑥ ~知財投資・活用度合いの指標化~知財投資・活用の取組度合いを表すような指標の特定についても検討
  • 検討の視点⑦ ~成功事例の紹介~知財投資・活用戦略を競争力強化につなげるビジネスモデルの構築に成功している事例を紹介することも有用なので、できるだけ発信したい。
  • 検討の視点⑧ ~多様な開示・発信方法の許容~例えば、統合報告書やIR資料など既存の媒体の活用など、多様な開示・発信方法を許容。経営デザインシートの手法により、経営戦略・構想をストーリー化して開示・発信するなどの活用も有用。
  • 検討の視点⑨ ~秘匿すべき機微情報の扱い~企業にとって秘匿すべき機微情報まで開示・発信すべきではないことに留意
  • 検討の視点⑩ ~投資家・金融機関に求められるアクション~投資家の側は、知財投資・活用戦略を効果的に推進している企業に対し積極的な資金提供を進めるための具体的なアクションが求められる
  • 検討の視点⑪ ~専門調査会社等の活用~ 投資家による企業の知財投資・活用戦略の効果的な活用を可能とするために、専門調査会社等の機能の活用が有効
  • 検討の視点⑫ ~スタートアップのイノベーション機能の活用~大企業に対し、いかにスタートアップのイノベーション機能を重視し、その積極的な活用に取り組んでいるかといった観点からの開示を促すことが重要
  • 検討の視点⑬ ~知財・知財投資の対象範囲~ 知財投資・活用戦略は、知的財産権だけではなく、技術、ブランド、デザイン、データ、ノウハウ、顧客ネットワークなど幅広い知財を含めたものとすべき
 
 
知財ガバナンス™セミナー 「企業を持続的に成長させる知財ガバナンス™戦略とは」
https://www.youtube.com/watch?v=YV8hIwWc2XU&t=88s
 
【プログラム(講演+パネルディスカッション・質問対応)】
・15:00-15:05 イントロダクション(司会進行:知財実務オンライン)
・15:05-15:45 内閣府知的財産戦略推進事務局 参事官 川上 敏寛
「企業の競争力強化に向けた知財投資・活用促進について」
・15:45-16:05 HRガバナンス・リーダーズ株式会社 菊地 修
「企業の知財ガバナンス™への取り組みと、知財ガバナンス™研究会の役割」
・16:05-16:35 ナブテスコ知的財産部長 井上 博之
「イノベーションリーダーへの変貌を促す知財ガバナンスへの挑戦」
・16:35-17:05 株式会社アールシーコア 社長室 知財企画リーダー 勝間 康裕
「知財情報発信と知財活用によるブランド価値の向上」
・17:05-17:35 株式会社SBI証券 金融調査部 波多野 紅美
「投資家の視点から見た、企業の知財ガバナンスへの期待」
・17:35-17:40 クロージング
■ 運営
日本橋知的財産総合事務所  代表弁理士   加島 広基
特許業務法人IPX        代表弁理士CEO 押谷 昌宗
 
 
英国空軍に学ぶ情報戦略 企業、知財生かす「司令部」を
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGH01AST0R00C21A9000000/

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    萬秀憲

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