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​よろず知財コンサルティングのブログ

ユニ・チャームのIPランドスケープ

28/8/2020

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ユニ・チャームは、「統合レポート」において、「知的財産本部は、知的財産を経営意思決定に役立てる「IPランドスケープ」の実践を目指し、ユニ・チャームグループの知的財産を一元管理し、事業戦略・開発戦略と連動した知的財産戦略を策定・遂行しています。」と記載しており、それは同社のホームページ上にも掲載されています。
特筆すべきは、グローバル特許出願率、日本特許登録率の高さでしょう。グローバル特許出願率は72.3%(2016年)、日本特許登録率は96.8%(2018年)。そして、商標についても、世界160カ国以上の国で出願・権利化とその活用を行っており、パッケージ保護も含めたブランド保護を実践していることです。さらに、
各国政府とも連携した権利侵害品、模倣品の排除でも大きな成果を挙げています。
 
 
ユニ・チャーム統合レポート2020、P64-65、ユニ・チャームグループのサステナビリティ
 
知的財産を守るために
知的財産本部は、知的財産を経営意思決定に役立てる「IPランドスケープ」の実践を目指し、ユニ・チャームグループの知的財産を一元管理し、事業戦略・開発戦略と連動した知的財産戦略を策定・遂行しています。
特許出願戦略として、事業・開発成果に対する保護・活用を図るとともに、事業のグローバル展開に応じ、国内および海外特許出願を強化しています。その結果、グローバル特許出願率は72.3%(2016年)、日本特許登録率は96.8%(2018年)と業界トップクラスの割合を実現しています(「特許行政年次報告書2019年版」より)。また、当社では環境に配慮した商品および技術の開発に注力しており、2019年度は使用済み紙おむつから衛生的で安全な上質パルプを得るオゾン処理技術に関する特許権、使用済み紙おむつの洗浄処理における環境負荷を低減するための処理技術に関する特許権を取得しました。今後も、技術開発と併走して知的財産の保護と積極的な活用とを推進していきます。
グループのブランドを守る商標については、世界160カ国以上の国で出願・権利化とその活用を行っており、パッケージ保護も含めたブランド保護を実践しています。
また、知的財産権の質を高めるとともに、日本特許庁の「特許審査ハイウェイプログラム」の積極的な活用、日本や中国、台湾一大中華圏、韓国、タイにおいて音声商標等の権利化を進めるなど、国内外での知的財産ポートフォリオの構築とその強化に取り組んでいます。
一方、自社の知的財産権の侵害、不当な権利行使に対しては訴訟など断固とした姿勢で臨み、事業部門・開発部門・海外現地法人と緊密に協働し、各国政府とも連携を図りながら、国内はもとより、アジア、中東、アフリカ、またeコマース上での権利侵害品、模倣品を排除しています。
特許や商標、景品表示法などに関する社内コンプライアンス教育は、国内および海外現地法人の社員に対して、OFF-JTやOJT、またeラーニングを組み合わせることで、グループの行動指針にもある自社および他社の知的財産の保護・尊重を浸透させ、知的財産を活用する企業づくりを行っています。
さらに社会的な活動として、当社では、日本、アジアの特許庁との積極的な意見交換を通じて、国際的な知的財産政策への提言や働きかけも進めています。
 

http://www.unicharm.co.jp/ir/library/annual/__icsFiles/afieldfile/2020/06/29/J_Integrated_Report_2020.pdf
 
 
ユニ・チャームの知財活動の特徴は、経営層との密なコミュニケーション、経営層との「風通しのよさ」で、グローバルの競争環境の変化に対応するため、知的財産を組み合わせて、ポートフォリオとして活用していることです。
 
 
岩田淳、経営層との「風通しのよさ」が、経営に資する知財戦略を支える、特許庁、経営における経営における知財戦略事例集(2019)、P10
https://www.jpo.go.jp/support/example/document/keiei_senryaku_2019/keiei_chizaisenryaku.pdf
 
経営層との密なコミユニケーシヨンを推進
ユニ・チャームは、生理用品、乳幼児・大人向け紙おむつ等を世界80カ国で製品を販売し、海外売上高比率が6割を超えるグローパル企業である。
我々の知財活動の転機は、グローパル展開を進めていた1990年代後半、海外企業との聞で特許侵害に関するトラブルが発生し、経営層と連携してトラブルに対応したが、結果として多額の金銭の支払いが生じたことである。これをきっかけとして社内で知財の重要性が認識され、それ以来、開発・生産の現場だけでなく営業を含めた末端まで知財を尊重するマインドを育ててきた。そのような歴史的経緯もあり、経営層から全社に向けて知財に関するトピックを発信する等、園内の支社に加えて海外支社でも知財に対する意識の向上に努めている。また、社内に自社事業領域に関する特許の専門家に加えて、商標・法務などの専門家、IT等の他分野の専門家も有し、多様な課題に応えている。
 
グローバルの競争環境の変化に対応するため、知的財産を組み合わせて、ポートフォリオとして活用
今、自社を取りまく競争環境が大きく変化してきている。
一つは、新興国市場に関する点。従来、国内外の大手メーカーとグローパル市場で、戦ってきたが、近年は、ローカルメーカーの台頭が著しい。このようなローカルメーカーは、先行するグローパルメーカーの先行品と類似する製品を製造・販売しており、これらの製品は、先行品との類似はあるものの、特許を回避した「シンプル」なものとなっている。そこで優位性を出していくためには、我々は本当に顧客が価値に感じる点、実際に「使ってわかる」に加え「見てわかる」部分を保護する必要がでている。そのため、知財を特許に限らず大きくとらえ、意匠権や商標権、実用新案権を含めた、知財ポートフォリオを最大限活用して自社の製品の「売り」を積極的に保護している。
もう一つは「デジタルトランスフォーメーション」への対応である。当社では社長の旗振りの元、製品・サービスのデジタル化が進んで、いるが、一方で知財活動のデジタル化も進めている。製品・サービスのデジタル化においては、紙おむつと組み合わせたスマートフォンのアプリケーションの開発なども社内で進めており、知財部門としては、特許庁のまとめ審査を活用して関連する特許・商標・意匠の早期権利化に取り組んだ。また、知財活動そのものをAIやITを使って効率化していく方針である。今後、その効率化で生まれた時聞を、iIPランドスケープ」といわれる事業に直結する戦略策定のために使っていけるかが重要になると考えている。
 
経営層との「風通しのよさ」が、経営に資する知財戦略を支える
当社では、社長・経営層と知財部門の対話が日常的に実行されており、海外出張中の社長から直接「この他社の製品は当社の権利を侵害しているのではつ」と
いった連絡が入札対応を協議する機会なども生じている。このような圧倒的な「風通しのよさ」はユニ・チャームの特徴であり、経営に密着した知財活動のカギである。私自身も、ビジネスに直結する知財の面白さを感じており、積極的に、知財に関するコミュニケーションを経営層と行っている。
また、経営層との対話機会は知財担当役員に限られるものではない。若手社員も含めた個々の担当者が経営層に対して知財活動等の計画を直接プレゼンテーションする機会を設けており、これらを通じて、知財部員が経営に資する知財戦略を支えるマインドを持てるような工夫をしている。
 

日経ビジネスで紹介された「社内の埋もれた知的財産を徹底的に発掘する部隊」もユニ・チャームの知財活動を象徴するものです。
 
中沢 康彦、ユニ・チャームや旭化成が先手、埋もれた技術を蘇らせる4つの戦略、日経ビジネス、2020年4月3日
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00400/?n_cid=nbponb_twbn

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