杉光一成 KIT虎ノ門大学院(金沢工業大学大学院)イノベーションマネジメント研究科 教授の連載「経営戦略としての知財」が始まりました。
第1回は、“経営戦略としての知財”を実現する「IPランドスケープ」──知財立国宣言後の日本企業の実態とは? です。 https://bizzine.jp/article/detail/4854 非常に共感しました。 特に、知財部門に対し、部門として「利益」を上げることを求めることを「知的財産立国宣言」による副作用のもっともわかりやすい間違った方向の例として挙げている点、そして、「経営・事業部門」と「知財部門」との間に存在する距離感に関する問題意識の点です。 「知的財産立国宣言」による副作用のもっともわかりやすい間違った方向の例としては、支援部門であり間接部門である知財部門に対し、部門として「利益」を上げることを求めるという形での「期待」である。 知財(部門)に関して間違った期待をする経営者、経営企画部門、事業企画部門の誤解を解く処方箋は、この「IPランドスケープ」にあると筆者は考えている。 イギリス2社のインタビュー「コンサルのような業務はしていない。そもそも知財部門の責任者は経営会議に出ているボードメンバーの一人であり、新規事業であっても知財部員は最初からその検討メンバーとして関わっているから」 日本企業の先進的な知財部門の人から「経営会議や事業企画の会議などに知財部門を呼んでもらってコンサルができるよう、今は信頼関係を構築中」と聞いていた話とのギャップが特に大きかった。つまり、このギャップの正体は「経営・事業部門」と「知財部門」との間に存在する距離感である。 従来、経営企画部門や事業部門から距離があり、「言われた仕事」「頼まれた仕事」だけを行う知財部門では、IPランドスケープを実践することは不可能だ。IPランドスケープは、知財部門の本来的な役割である経営戦略、事業戦略への「支援」機能を極大化できるキーワードと認識できる。 IPランドスケープの実践で大きな成果をあげているナブテスコでも、以前は知財部が技術部の下部組織であり特許出願業務中心の知財管理者型(特許事務所型)で、技術部長にアポをとってもすっぽかされたり長時間待たされたりと全社で位置づけが低く、経営者との距離は非常に大きかったそうです。 それを、経営コンサル型、さらに経営者型へと移行して経営者との距離をなくし、今日があるそうです。 https://www.inpit.go.jp/content/100869488.pdf
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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