3月14日に「【第86回】大学等におけるオンライン教育とデジタル変革に関するサイバーシンポジウム」が行われました。各分野の専門家が現状の課題を提示し、それに対する具体的な技術的・政策的な取り組みを共有した内容となっています。早稲田大学におけるAIを用いた英会話学習システム「Tutorial English AI」、凄いなあと思いました。
シンポジウム動画につきましては、以下のYouTubeから【3月17日(月)朝9時】までの間、視聴できます。 ■YouTube LIVE: https://youtube.com/live/zjcvPaObp14?feature=share プログラム等 https://www.nii.ac.jp/event/other/decs/#edx86 1. はじめに 情報・システム研究機構の喜連川優氏による開会挨拶。 2. 文部科学省:「高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)について」(三井俊祐氏) 政府のDX推進政策の一環として、「DXハイスクール」事業を開始。 日本のデジタル競争力が低迷(2023年時点で世界32位)している背景から、高校段階でのデジタル人材育成が急務である。 ICTや情報・数学教育を重視したカリキュラムの整備を、全国約1,000校で進める。 DXハイスクールでは、高性能PCなどの整備を行い、大学や企業と連携して学習環境を充実。 取り組みの成果として、大学理系学部への進学率の向上を目指す。 3. 産学連携PBL:「メタバースラボを活用した産学連携課題解決型PBL」(小田まり子氏) 久留米工業大学でのAI応用研究所による地域課題解決型PBL教育を紹介。 教員・学生・企業が連携し、実践的課題解決に取り組んでいる。 メタバースを活用し、遠隔地にいても共同学習が可能となる仕組みを導入。 メタバース空間内での学生同士や企業とのインタラクティブなコミュニケーション環境を整備し、教育効果を高めている。 導入後の評価では、学生の社会人基礎力が向上し、自己肯定感も高まっている。 4. 生成AI:「生成AIとRAGを用いた研究支援システムの可能性と課題」(永崎研宣氏) 生成AIとRAG(Retrieval-Augmented Generation)技術を使った研究支援の可能性を探る。 論文検索から生成AIへの入力情報を効率的に抽出する仕組みを構築。 特に人文系研究(仏教学分野)で効果が見られ、効率的な文献調査を支援。 一方、マイナーなテーマに対する対応の難しさや、回答が一定しない課題もある。 5. AIによる英語教育:「人と共に進化するAIによるオンライン語学学習」(松山洋一氏) 早稲田大学におけるAIを用いた英会話学習システム「Tutorial English AI」を紹介。 対話型の英語テスト(CEFR基準)をAIで自動化し、クラス分けや能力評価を行う。 AIがリアルタイムで難易度を調整し、生徒のレベルを動的に判定。 学生の英語力向上にも有効で、中高生を対象に導入した事例では明確な成果が出ている。 6. MOOCとSPOC:「国内外におけるMOOCとSPOCの最新動向」(重田勝介氏) 大規模公開オンライン講座(MOOC)と少人数制のオンライン講座(SPOC)の最新状況を説明。 コロナ禍以降、世界的にMOOCの利用が拡大し、日本でもユーザーが増加。 MOOCは無料から有料モデルへ移行し、サブスクリプション型も増えている。 国内ではJMOOCが中心的に普及を進め、学習コンテンツは多様化している。 7. ディスカッション・まとめ(質疑応答など) 発表後には質疑応答を通じて課題が掘り下げられた。 日本のデジタル教育遅れに関して根本的な問題点を分析・解決すべきという意見が出る。 メタバース活用や生成AIの実用化について、技術的な課題や普及の難しさに関する議論が交わされる。 AIによる英語学習については、技術的な成果を評価する一方で、さらなる学習支援の重要性が強調される。 Online language learning powered by AI, research support systems using generative AI and RAG, and more On March 14, the "86th Cyber Symposium on Online Education and Digital Transformation in Universities and Other Institutions" was held. Experts from various fields presented current challenges and shared concrete technical and policy-oriented initiatives addressing these issues. The AI-powered English conversation learning system "Tutorial English AI" introduced by Waseda University particularly impressed me. The symposium video will be available for viewing via the following YouTube link until 9:00 AM on Monday, March 17.
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著者萬秀憲 アーカイブ
April 2025
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