知財管理Vol. 72No. 10(2022)に掲載されている日本知的財産協会参与の浅見正弘氏[元富士フイルム株式会社 取締役 執行役員 知的財産本部長]の論文「日本企業のイノベーション戦略を考える──何故,知財部門がイノベーションを駆動できるのか──」は、
「日本企業のイノベーション創出を活性化し,加速していくうえで,知財部門や知財人材が中心的に貢献できる可能性は極めて高い。なぜならば,知財部門が従来から取扱っている知財情報の収集や高度な分析が,インテリジェンス-すなわちイノベーション成功のカギとなる製品/サービスコンセプトの明確化のための重要な情報になると考えられるからである。しかし,知財部門がこれまで得意としてきた活動にのみ注力し,情報処理型の知財活動に留まってしまうのでは,企業が目指すイノベーションの初期活動から入り込み,その駆動に参画することは難しいであろう。イノベーションを推進するマインドセットに倣い,知財部門自らも変化することが求められていると考える。」 と「なぜ、知財部門がイノベーションを駆動できるのか」を解き明かし、「知財部門自らも変化することが求められて」おり、「知識・情報創造型の知財活動」に変わるべきことを説いています。 「知識・情報創造型の知財活動とは,自らを事業創成のパートナーであると自覚して他部門の活動に貢献する活動であると考える。具体的には,研究開発や事業展開の方向性に対する知財部門としての戦略提案,開発テーマの提案(休止提案も含む),研究開発活動を促進させる施策提案,競争優位性の設計提案,事業化プロセスにおける具体的な戦略提案,といった企業経営の重要な意思決定に関わる戦略や施策を自分事として考え抜き,積極的に提案していくことが求められる」としています。 その通りだと思います。 「知財管理」誌72巻(2022年) / 10号 / 1168頁 日本企業のイノベーション戦略を考える ─何故,知財部門がイノベーションを駆動できるのか─ https://www.jipa.or.jp/kaiin/kikansi/chizaikanri/search/detail.php?chizai_id=6c14f69e61f70bf0faaf7bbfa9e1bbbf 社会課題解決に向けイノベーションの重要性を痛感し、誰もが渇望しながら現実には満足に進んでいないと憂慮される日本。阻害要因を解消しイノベーションを推進するため、事業価値創造の目的/コンセプトの明確化、事業化実現プランの具体化と検証、事業課題の設定と協業/競合の明確化、投資の実行、といったプロセスを標準化してマネージすることが有効だと議論されるに至っている。だが、その実現には組織の心理的安全性に支えられた変革志向のマインドセットの醸成が不可欠である。そして、これらイノベーション駆動のための諸施策に対し知財部門は極めて重要な役割を果たすことが期待されている。
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著者萬秀憲 アーカイブ
April 2025
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