知財管理6月号の論説「化学分野におけるサポート要件を根拠とする異議申立の有効活用」に、「異議申立による特許の取消率(全て取消)に低下傾向が認められ、特に化学分野の低下が顕著」という記載があり、気になったので特許異議申立ての取消決定(含一部取消)率を調べてみると、
2018年13% 2019年13% 2020年14% 2021年10% 2022年 7% で、取消率の低下傾向が見られました。 知財管理の論説では、取消率を全て取消の場合に限って取り上げていますので、より早い時期からそうした傾向が見えていたのかもしれません。 また、特許無効審判における請求成立(含一部成立)率も低下しているようです。 知財管理74巻/ 6号 / 690頁(2024年) 化学分野におけるサポート要件を根拠とする異議申立の有効活用 https://www.jipa.or.jp/kikansi/chizaikanri/search/detail.php?chizai_id=30e96d335bd9e01be4d68d66314d3e49 特許第2委員会 第3小委員会 抄録 特許行政年次報告書2021年版によると、特許異議申立の件数は、2018年から2020年において低下傾向にあり、その要因解析を行った。その結果、異議申立による特許の取消率(全て取消)に低下傾向が認められ、特に化学分野の低下が顕著であった。化学分野ではサポート要件違反と取消件数に強い相関関係が認められ、中でも、特許・実用新案審査基準に記載されているサポート要件違反の類型のうち類型1(請求項に記載されている事項が、発明の詳細な説明中に記載も示唆もされていない場合)と類型3(出願時の技術常識に照らしても、請求項に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない場合)の関与が示唆された。本分析結果に基づいて、異議申立制度を有効に活用するための方策について検討した。 [特許・実用新案/日本] 異議申立て・無効審判の利用状況 https://www.soei.com/%E7%89%B9%E8%A8%B1%E3%83%BB%E5%AE%9F%E7%94%A8%E6%96%B0%E6%A1%88%EF%BC%8F%E6%97%A5%E6%9C%AC-%E7%95%B0%E8%AD%B0%E7%94%B3%E7%AB%8B%E3%81%A6%E3%83%BB%E7%84%A1%E5%8A%B9%E5%AF%A9%E5%88%A4%E3%81%AE/ 特許異議申立てにおける取消決定(一部取消を含む)の割合と特許無効審判の請求成立(一部成立を含む)の割合との差(すなわち、特許異議申立てにより特許が取り消される割合と、特許無効審判により特許が無効となる割合との差)は、2016年以降いずれの年も後者の割合の方が大きい傾向は変わらず、2022年におけるその差は、7ポイント程度となった。 Decrease in Patent Cancellation Rate Due to Opposition In the June issue of Intellectual Property Management, the article "Effective Use of Opposition Based on Support Requirements in the Chemical Field" notes, "There is a declining trend in the cancellation rate (complete cancellation) of patents due to opposition, with a particularly notable decrease in the chemical field." This piqued my interest, so I investigated the cancellation decision rates (including partial cancellations) for patent oppositions:
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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