1月27日に行われた「グローバル知財戦略フォーラム2023」では、知財・無形資産ガバナンス・ガイドラインを作成した内閣府「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」の座長である一橋大学大学院経営管理研究科教授 加賀谷哲之氏の基調講演「社会課題解決による企業価値向上への知財の役割について」がおこなわれました。
明日(2/17)まで無料でアーカイブ配信中ですので、まだ視聴されていない方は、視聴されると参考になります。https://ip-forum2023.inpit.go.jp/regist.html 以下の内容で話されています。 ・なぜ社会的課題の解決が求められるのか? ・サステナビリティ開示と知財 ・無形資産投資ポジションと無形資産投資の効果 ・サステナビリティ経営を支える知財 無形資産 コーポレートガバナンス・コード改訂の背景となっている、欧米における「社会的課題の解決」「サステナビリティ開示」などの動向がわかりやすく説明され、「相対的に利益創出の不確実性が低い有形資産による利益創出の機会は減少し、むしろ不確実性の高い無形資産投資を効果的に実現できる企業が競争優位を構築できる。」として、「無形資産が企業価値の決定因子」となってきていることが説明されています。 「無形資産投資は、その不確実性の高さゆえに、投資家をはじめとするステークホルダーへの理解を得ることは容易ではない。そうした無形資産投資を実現させるためには、その正統性を担保する①過去実績、②市場機会を成果に結び付けるロジック・ツリー(因果経路)、③想定される因果経路を実現するためのマネジメントガバナンスシステムの構築、④①~③をステークホルダーヘの説明力が問われる。」としています。 また、「無形資産への投資を行うためには、その原資となる高水準の粗利と経営を変革しないと淘汰されるという現状に対する強い危機感、将来いかに成長していくかという投資家と共感できるシナリオが不可欠。」「社会や環境課題を起点とした変化への対応力を高めるためには、骨太での差別化源泉をアウトカム実現のためにいかに磨き高めていくかの因果経路の設定と徹底したシナリオ分析を通じた事業機会とリスクヘの認識力の強化を図っていくことが不可欠。」とし、オムロンのサステナビリティ経営を称賛しています。 現在策定中の「知財・無形資産ガバナンス・ガイドラインVer.2」を理解するのに好適でしょう。 基調講演 「社会課題解決による企業価値向上への知財の役割について」 加賀谷 哲之 氏 一橋大学大学院経営管理研究科 教授 [ 略歴 ] 2000年一橋大学大学院商学研究科後期博士課程修了同博士(商学)。00年一橋大学商学部専任講師。04年から一橋大学商学部准教授。20年から現任。2012年経済産業省「コーポレート・ガバナンスの対話のあり方分科会」座長。企業活力研究所CSR研究会座長。内閣府「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」座長。日本経済会計学会理事、日本IR学会理事、日本政策投資銀行客員研究員、ニッセイ基礎研究所客員研究員 ・なぜ社会的課題の解決が求められるのか? Planetary Boundariesにいかに対応すべきか? 国連を中心としたサステナビリティの取り組みの潮流 投資コミュニティーにおけるパラダイム変化 EUにおけるサステイナブル・ファイナンスの動向 SFDR(機関投資家によるサステナブル投資開示)の動向 サステナビリティ関連の法規制の枠組み ビジネスと人権を争点とした法訴訟 ・サステナビリティ開示と知財 サステナビリティ開示の史的展開 ISSB vs CSRD-ESRSとの比較 サステナビリティ開示・フレームワーク サステナビリティ開示の異同(気候変動開示を中心として) サステナビリティ経営の実践をいかに説明するか? ESG評価の新潮流 Green Washingをいかに克服するか? 気候変動に伴う変革と技術ロードマップ ・無形資産投資ポジションと無形資産投資の効果 Capital Allocationの中での無形資産投資の位置づけ なぜ無形資産が企業価値の決定因子となっているのか? 貸借対照表上の無形資産 無形資産割合の国際比較 市場付加価値(MVA)の国際比較 無形資産投資と損益計算書の関係性 有形資産投資と無形資産投資の非対称 研究開発投資の国際比較 将来投資の国際比較 税引前利益の国際比較(赤字企業の割合) なぜ日本企業は無形資産投資に積極的ではなかったのか? 成長力―収益性マトリックスと投資家ターゲット 成長力―収益性マトリックス 2000-2021年度における価値創造の変化 ・サステナビリティ経営を支える知財・無形資産 世界が直面する社会課題は? 社会課題をめぐる企業への期待変化をいかに成長機会に結び付けるか? 投資家のロジックツリー 価値協創ガイダンス2.0 価値協創ガイダンス2.0と価値創造ストーリー サステナビリティ経営に関する価値共有プラットフォーム サステナビリティ経営の全体像 オムロンのサステナビリティ経営①②③ オムロンROIC-EBITDA倍率マトリックス 「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」(第19回) 資料3 事務局説明資料1 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/dai19/siryou3.pdf 「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」(第20回) 議事次第 令和5年2月14日(火) https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/dai20/gijisidai.html サステナビリティ開示研究の新展開 加賀谷 哲之 https://www.fsa.go.jp/singi/follow-up/siryou/20220516/02.pdf 2019 年 12 月 20 日・25 日開催 東証主催「企業価値向上経営セミナー」講演録 【第 1 部】企業価値向上と『資本コスト』~経営への活用に向けた基盤構築と実践~ https://www.jpx.co.jp/equities/listed-co/award/nlsgeu000002dzl5-att/1_kagaya.pdf 企業価値向上と『資本コスト』経営への活用に向けた基盤構築と実践 https://www.jpx.co.jp/equities/listed-co/award/nlsgeu000002dzl5-att/MrKagaya.pdf コーポレートガバナンス改革を企業価値創造に結び付ける取り組み https://www.camri.or.jp/files/libs/367/20170327114728927.pdf スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議 (第27回)事務局説明資料 2022年5月16日 https://www.fsa.go.jp/singi/follow-up/siryou/20220516/02.pdf
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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