IPジャーナル第24号(発行日:2023年3月15日)では、「知的財産情報の開示」が特集されており、一橋大学大学院経営管理研究科 加賀谷哲之 教授が「知財・無形資産投資の正統性とコーポレートガバナンス」という巻頭言を書かれています。
日本企業の知財・無形資産の投資が低水準にとどまっている理由として、「知財・無形資産投資による利益創出の不確実性の壁を超えることができていない」ことを取り上げています。 そして、この不確実性の壁を超えるためのアプローチとして、①実績を創ること、②現時点ではしつかり実績を上げることができていない場合は、中長期的に知財・無形資産投資を価値に結び付けることができる可能性が高いことを説明すること、すなわち、知財・無形資産投資を正統化することを薦めています。 「不確実性の壁を超えるための基盤整備のために何が求められるのか」を明確にし、それを基に実際に「知財・無形資産投資による利益創出の不確実性の壁を超える」ことができるようにすることはとても大事なことです。 ただ、その方向が、投資家・金融機関が納得するような、きれいな「ストーリー」「企図する因果パス」「ROIC逆ツリー」づくりとその開示になってしまう恐れがないか、実際には知財・無形資産投資が利益に結び付ける実績があがらないという「取らぬ狸の皮算用」になってしまうのではないか、心配です。すぐれた「ストーリー」「企図する因果パス」「ROIC逆ツリー」づくりは重要であり、各企業が推進すべきですが、開示することが目標になってしまわないように。杞憂でしょうか? IPジャーナル最新号 第24号 特集「知的財産情報の開示」 http://fdn-ip.or.jp/ipjournal/latest.php
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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