特許異議申立制度は、特許付与後の一定期間に限り、広く第三者に特許の見直しを求める機会を付与し、当該特許に瑕疵があるときは、その是正を図ることにより、特許の早期安定化を図る制度です。2015年4月に特許異議申立制度が開始されて以降、特許異議申立の件数は2020年12月末時点累計で6,006件となっています。
2015年4月~2020年12月末までに特許異議申立てがされた事件の、2020年12月末時点における審理結果(その時点で審理中の事件を除く)は、 ・登録された特許がそのままの形で維持されたもの(維持(訂正無))が1,925件(36.2%)、登録された特許が特許請求の範囲等の訂正を経て維持されたもの(維持(訂正有))が2,694件(50.7%)、 ・異議申立の対象請求項の全て又は一部が取り消されたもの(取消)が614件(11.6%)、 ・異議申立の対象請求項が全て削除されたことにより異議申立が却下されたもの(却下(訂正有))が57件(1.1%)、 で、 63.3%が特許権の権利範囲が変更されたということです。 特許異議申立により6割以上の特許で特許権の権利範囲が減縮されていることで、特許異議申立制度が機能しているとされています。 一方、86.9%の特許が何らかの形で特許が維持されており、取消決定に対して特許権者は東京高等裁判所(知的財産高等裁判所)に不服申し立てをすることができるのに維持決定に対しては不服申し立てをすることができないという審理構造の問題を指摘する声もあります。 特許異議申立制度の利用を考える際は、慎重に考える必要があります。 異議申立された特許の件数の多い企業上位50社をリストアップしました。異議申立された特許の割合が多いのは、MizkanHoldingsの17.6%、住友精化の9.0%、サントリーホールディングスの7.7%、住友大阪セメントの6.0%、東洋紡の4.0%となっています。 特許異議申立の統計情報 https://www.jpo.go.jp/system/trial_appeal/shubetu-tokkyo-igi/igi_moushitate_tokei.html
0 Comments
Leave a Reply. |
著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
カテゴリー |