特許6518878号の発明者が、特許法93条2項に基づいた「公共の利益のための通常実施権」の実施を認める裁定請求を行ったということです。
世界初のiPS細胞由来RPE細胞の移植に成功してから8年近くたつということですが、「その間治験が行われないまま特許の独占交渉権を持つ株式会社ヘリオスに対して何度も協議を求めましたが一切応じませんでした。」とのこと。 「産学連携の共同研究の結果生じた発明の場合、公的研究機関が企業に対して安易にシーズの独占交渉権や独占実施権を付与して、事業化がなされなかったり、研究者が研究を進めることができなかったりして、日本のアカデミアの優れたシーズが活用されず死蔵されてしまうケース」のようです。 大きな波紋が起きるかもしれません。 特許技術の使用求め裁定請求 iPS細胞初移植の高橋政代氏 2021年9月28日https://digital.asahi.com/articles/ASP9X5GYWP9QPLBJ01K.html 元理研高橋氏のスタートアップ、RPE細胞特許の実施許諾求め裁定請求 「理研やヘリオスとの協議がなされず」、異例の裁定請求へ https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/21/09/25/08661/ 理研研究者がiPS細胞関連特許の強制ライセンスを求めて裁定請求 https://news.yahoo.co.jp/byline/kuriharakiyoshi/20210922-00259507 この度、理研の我々の研究室で共同研究の名の下に開発されたRPE作成法の特許について、理研、ヘリオスらを相手に経済産業大臣に対して裁定を請求しました(事件番号︓2021年裁定請求第1号)。特許法93条2項に基づいた、初の「公共の利益のための通常実施権」の実施を認める裁定請求です。 我々を含むグループが世界初のiPS細胞由来RPE細胞の移植に成功してから8年近く経ちます。その間治験が行われないまま特許の独占交渉権を持つ株式会社ヘリオスに対して何度も協議を求めましたが一切応じませんでした。そのため、やむを得ず、公共の利益のために裁定を請求するに至りました。 産学連携の共同研究の結果生じた発明の場合、公的研究機関が企業に対して安易にシーズの独占交渉権や独占実施権を付与して、事業化がなされなかったり、研究者が研究を進めることができなかったりして、日本のアカデミアの優れたシーズが活用されず死蔵されてしまうケースが散見されます。 研究者はこれまでこのような契約に対して皆泣き寝入りをして来ました。本件は、このような産学連携の問題点を如実に表す事例であると考えておりますので、問題提起をするとともに公共の利益を図るためにも、皆様の質問や取材など喜んでお受けいたします。よろしくお願いいたします。 中小企業と大企業間のライセンス契約トラブル事例は特許庁のHPにありますが、この際研究に支障をきたした産学連携の例も集めて啓発したく思います。そのような事例がありましたら下記アドレスに守秘義務に注意した内容(概要)でメールを送っていただきますれば幸いです。 patentissue6@gmail.com
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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