令和3年特許法改正によって、裁判所が特許権侵害訴訟で専門家などから意見を集める「第三者意見募集制度」が導入されました。第三者意見募集制度は、特許権等の侵害訴訟において、東京地裁・大阪地裁・知財高裁が、当事者の申立てにより、必要があると認めるときに、他の当事者の意見を聴いて、広く一般に対し、当該事件に関するこの法律の適用その他の必要な事項について、意見の提出を求めることができるとする制度です。
第三者意見募集制度の導入にあたって参考とされた米国のアミカスブリーフは、当事者・参加人以外の第三者により、裁判所による判断の助けとなるように提出される意見書のことで、法分野の限定はないようです。 日本では2014年、知財高裁特別部(大合議部)に係属していた、韓国サムスン電子が米アップルを通信規格に必須の特許(標準必須特許)侵害と訴えた訴訟で、約2か月間、「標準化機関において定められた標準規格に必須となる特許についていわゆる(F)RAND宣言((Fair,) Reasonable and Non-Discriminatoryな条件で実施許諾を行うとの宣言)がされた場合の当該特許による差止請求権及び損害賠償請求権の行使に何らかの制限があるか。」という点について、一般からの情報または意見の提供を求め、58通の意見書が提出されたことがありましたが、例外的な実施にとどまっていました。 今回の第三者意見募集制度は、知財高裁における意見募集の試みを立法化するもので、現時点では、特許権および実用新案権に係る侵害訴訟に適用対象が限定されています。 今後適用範囲の拡大に向けた議論が進んでいくことを期待しています。 特許訴訟、第三者の意見募集可能に https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC219Q20R20C21A6000000/
0 Comments
Leave a Reply. |
著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
カテゴリー |