6月1日、欧州統一特許裁判所(UPC)は、UPC協定が発効し、UPCが業務を開始したと発表しました。UPC協定発効により、同日から単一特許規則の適用も開始され、欧州単一効特許と統一特許裁判所のパッケージからなる欧州単一特許制度が開始されました。
なんと統一特許裁判所における最初の取消訴訟の当事者は日本企業だということで、今後に注目です。 UPCでの記念すべき最初の取消訴訟の当事者は日本企業です 2023.06.07 https://hasegawa-ip.com/news/first-revocation/ 2023年6月1日に統一特許裁判所(UPC)協定が発効し、統一特許裁判所における特許権侵害訴訟そして取消訴訟をはじめとする手続きが可能になりました。 そこで記念すべき最初の取消訴訟を調べてみました。 統一特許裁判所のCase Management System(CMS)のサーチ機能を用いて調べてみたところ現在統一特許裁判所に係属している取消訴訟は以下に示すようACT_459505/2023、ACT_464985/2023そしてACT_465342/2023の3件です。 3件とも2023年6月1日に提起されていますが、その内最も早い時刻(17:20:14 CEST)に提起されたケースがEP3056563に対する取消訴訟であるACT_464985/2023です。 EP3056563は特許権利者が日本企業(株式会社ヘリオス、理研そして大阪大学による共願)である欧州特許です。そして無効訴訟提起人はアステラス製薬の米国子会社であるアステラス再生医療研究所です。なんと原告も被告も日本に所縁があります。 また2件目のケースであるACT_465342/2023(17:51:05 CEST提出)の対象であるEP3056564も特許権者が株式会社ヘリオスそして大阪大学であり、無効訴訟提起人がアステラス再生医療研究所です。EP3056564はなんと欧州特許庁で異議が係属中です。統一特許裁判所が欧州特許庁の判断に対してどのように反応するか、または欧州特許庁が統一特許裁判所の判断に対してどのように反応するかも興味深いです。 このように統一特許裁判所における最初の取消訴訟は当事者が日本に所縁があるという点というだけでなく、統一特許裁判所と欧州特許庁との平行手続きという観点からも非常に興味深いです。 本件の今後を注視したいと思います。 欧州単一特許制度がついに始動 2023年06月07日 https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/06/f0ecaf9f2c6e2f80.html 統一特許裁判所(UPC)は6月1日、UPC協定が同日から発効し、UPCが業務を開始したと発表した。UPC協定発効により、同日から単一特許規則の適用も開始され、欧州単一効特許と統一特許裁判所のパッケージからなる欧州単一特許制度が開始された。 欧州単一特許制度が開始したことにより、欧州各国で特許を取得する場合、欧州特許庁(EPO)が欧州特許を付与した後、欧州各国ごとに有効化(Validation)の手続きを経ずに、UPC協定の全批准国(注1)で単一の効力を有する欧州特許を取得できる。権利侵害時には、UPCへ提起すると全批准国で権利行使が可能となる。 (注1)オーストリア、ベルギー、ブルガリア、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、イタリア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ポルトガル、スロベニア、スウェーデン、ドイツの17カ国が批准済み。 統一特許裁判所(UPC)、待望の欧州単一特許制度がついに開始 https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Ipnews/europe/2023/20230601.pdf 欧州統一特許裁判所協定(UPCA)に関するご案内【2023年6月改訂】 https://www.kyowapatent.co.jp/ipinfo/news/2023-6
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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