パテント 2022年3月号に、「審査基準と裁判所の判断との乖離についての検討~進歩性の観点から~」(令和 2 年度特許委員会第 2 部会第 2 チーム)が掲載されています。
「容易の容易」、「数値限定発明」、「周知技術」、「顕著な効果」について検討され、下記のようにまとめられています。 ・「容易の容易」については,審査基準と裁判所の判断の乖離が見られるといえる。 ・「数値限定発明」については,審査基準における進歩性の考え方は裁判所における進歩性の考え方との乖離が大きいと考える。 ・「周知技術」については,審査基準では,周知技術を用いて進歩性を判断する際の論理付けの可否の検討の例として,周知技術の適用に阻害要因がないか等の検討のみが挙げられている。しかし,多くの裁判例において,周知技術を引用発明に組み合わせる阻害要因までなくとも動機付けがない案件で進歩性が肯定されている。 ・「顕著な効果」については,果については,現行の審査基準では,独立要件説及び二次的考慮説・評価障害事実説のどちらの説を採用しているのか定かではない。この論点に関する裁判所の態度は,未だ混沌としていると言わざるを得ない。将来的には独立要件説及び二次的考慮説・評価障害事実説のどちらの説で審査されるかについて審査基準に記載することが望ましいときが来ると考える。 審査基準と裁判所の判断との乖離についての検討~進歩性の観点から~ https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/3965 要 約 本稿は,令和 2 年度特許委員会において検討した結果を報告するものである。 進歩性の論点の一部について,審査基準と裁判所の判断との乖離が見られた。例えば,裁判所では「容易の容易」に該当するとして進歩性が肯定される場合があるが,審査基準には「容易の容易」についての明確な規定はない。 目次 1.はじめに 2.検討方法 3.検討結果 3.1 容易の容易(論点 1) 3.2 数値限定発明(論点 2) 3.3 周知技術(論点 3) 3.4 顕著な効果(論点 4) 4.まとめ
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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