「知的財産法政策学研究」第65号P.131(2022年11月)に「日本、中国、ドイツ、EPO 及び米国における進歩性に関する裁判例の統計分析及び若干の理論上の問題について (9・完)」(時井真弁護士)が掲載されています。
実務上、特許庁の審査では技術的貢献がほとんど考慮されていないため進歩性のハードルが下がりすぎている問題が指摘されていますが、ほぼ「非容易推考説」で進歩性を判断している日本の裁判所の判断に対して、「従来の非容易推考説に加えて、技術的貢献説の枠組みも重視すべきである。」と主張されているように感じています。 (第103回)知財実務オンライン:「数値限定発明の憂鬱」(ゲスト:弁護士法人レクシード / 弁理士法人レクシード・テック / レクシードグループ代表社員 弁護士・弁理士・工学修士(化学) 野中 啓孝) https://www.youtube.com/watch?v=iauqkoQmMzE 日本、中国、ドイツ、EPO及び米国における進歩性に関する裁判例の 統計分析及び若干の理論上の問題について(9・完) https://www.juris.hokudai.ac.jp/riilp/wp-content/uploads/2022/12/b6d8764223a0b2cc6d6dfa6187b1eab7.pdf 本稿の第一の結論 「中国、日本、欧州(BGH、 EPO)、米国の裁判例を統計的に分類した。それによると、いずれの司法管轄区域裁判においても、技術的貢献説よりも非容易推考説に基づく裁判例のほうが多く見受けられた。」 「各地域研究の結果、中国、日本、米国、欧州のいずれにおいても、非容易推考説と技術的貢献説が詳細な進歩性の下位規範を形成していることが判明した。」 「技術的貢献説と非容易推考説の双方が進歩性の背景にあるという仮説を裏付けるものである」 本稿の第二の結論 「今後の特許法の実務においては、従来の非容易推考説に加えて、技術的貢献説の枠組みも重視すべきである。」 「非容易推考説と技術的貢献説の組合せ方によっては、創造性のハードルを上げ下げできる」「非容易推考説と技術的貢献説を、AND で繋ぐことにより、進歩性のハードルをより厳格にすることができる」「非容易推考説と技術的貢献説を OR で繋ぐと、いずれかが認められれば創造性が肯定されるわけであるから、AND の場合に比べて進歩性のハードルを下げることができる。」
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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