「知財管理」誌11月号に掲載された「知財情報人材に求められる役割 およびスキルに関する研究」(知財協 情報検索委員会 第4 小委員会)は、知財部門から積極的に情報を発信することによって経営に貢献している企業8社にヒヤリングして、それをもとに、考察した力作です。
「企業や事業ごとに経営に貢献する情報は異なり、各々のタイミングで事業の状況に応じたものを提供しなければ意味がない。」ということを前提として、「知財情報人材」の定義を行い、8社にヒヤリングした結果をもとに、「知財情報人材」の役割、「知財情報人材」に求められるスキル、「知財情報人材」の育成にむけて提言しています。 「知財情報人材」の定義 「企業知財部の中で、自分の置かれている立場・役割を理解し、様々な方法(関係部署との連携、社内システム、その時々の最新技術等)を駆使して、クライアントの判断業務に必要な情報を提供する人材」 ・クライアント:事業への知財の活用を期待し情報を必要としている者。実務で報告相手が 直接経営層(事業責任者を含む)でない場面も多いことを踏まえ、事業部、 R&D、営業といった部門の担当者「も含む表現とした。 「知財情報人材」の役割 「知財の専門性を活かし、全社的視点で、且つ、客観的事実に基づく 事業に必要な情報をまとめて 必要なタイミングで必要な人に発信することで 直接または間接的に経営課題を解決する」 「知財情報人材」に求められるスキル 強化スキル(「知財の専門性を活かし、全社的視点で、且つ、客観的事実に基づく」に対応) 戦略スキル(「事業に必要な情報をまとめて」に対応) コーディネータースキル(「必要なタイミングで必要な人に発信することで」に対応) 「知財管理」誌 検索 掲載巻(発行年) / 号 / 頁 70巻(2020年) / 11号 / 1598頁 論文区分 論説 論文名 知財情報人材に求められる役割 およびスキルに関する研究 著者 情報検索委員会 第4 小委員会 抄録 近年、IPランドスケープに代表されるような、企業の知財部門において知財情報等を分析し戦略的な提言を行う、いわゆる提案型業務に注目が集まっている。しかし、この提案型業務は知識や手法を定型化して共有することが難しく、進め方が確立されていない。また、それを担う人材のあり方についても明確に示されていない点が多い。そこで本研究では、提案型業務を担う人材を、従来の請負型業務を担う人材と区別する意味で「知財情報人材」と命名し、今後知財情報人材はどうあるべきかについて検討した。まず、知財情報人材の定義と課題を検討し、知財部門から積極的に情報を発信することによって経営に貢献している企業へのヒヤリングを行うことで、各社の取り組みやそれを担う人材に対する考え方を収集し、それをもとに、知財情報人材の役割と求められるスキルおよび育成について考察した。
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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