パテントリザルト社のパテントスコアは、特許出願後の審査経過情報をもとに、 個別特許の注⽬度をスコアリング評価する指標です。出願⼈、審査官、競合他社の3者のアクションに着⽬し、 同⼀技術分野、出願年の他の特許との相対⽐較により偏差値で評価します。縦軸は権利者スコアで権利者が持つ特許のパテントスコアの総和で、横軸は権利者が持つ特許のうち最もスコアの高い特許のパテントスコアの最高値で、円の⼤きさは特許件数を表しています。
技術分野Bの日本特許について、パテントリザルト社の特許価値評価ツールで評価した図が図2です。A社が、権利者スコア、特許件数ではトップですが、パテントスコア最高値ではD社がトップです。 同じ技術分野BのPatentSight社の特許価値評価ツールを用いた結果が図3です。縦軸にPAI(ポートフォリオ全体の価値)、横軸に200年から2018年までの年をとり、特許権者のPAI(ポートフォリオ全体の価値)の経時変化を表しています。日本特許について、パテントリザルト社の特許価値評価ツールで評価した結果とかなり景観が異なります。日本特許では権利者スコア、特許件数、パテントスコア最高値とも振るわなかったC社がグローバルではPAI(ポートフォリオ全体の価値)で圧倒しています。日本でトップのA社が2位に、B社が5位、D社が8位になっています。 技術分野C、技術分野Dの日本特許について、パテントリザルト社の特許価値評価ツールで評価したのが図4、図5です。D社の立場でみると、両分野とも特許件数は比較的多いものの、価値の高い特許が少ない状態であり、今後非常に苦しい状態になりかねないと考えられる結果です。 従来のパテントマップは過去の分析結果を示すものでしたので、ここで終わりですが、IPランドスケープは今後のシナリオ、競合が今後どのような技術開発をするのか、自社の進むべき道、自社の差別化ポイントは何か、を指し示すものなので、これから先が重要です。 PatentSight社の特許価値評価ツールによるCI(1ファミリー当たりの平均価値)の高い特許、パテントリザルト社の特許価値評価ツールによるパテントスコア最高値の特許等をさらに解析することにより、競合が今後どのような技術開発をするのかが予測でき、その予測を踏まえて自社の進むべき道、自社の差別化ポイントは何か、今後強化すべき技術に関するプライオリティ付けを提案し、実行する(権利化し、差別化の証である知財権の価値をセールストークや消費者コミュニケーションへ活用し、顧客に伝える)ことになります。 特許出願件数・特許登録件数という量的な評価だけで見ていると見えてこない視点です。 出願⼈、審査官、競合他社の3者のアクションに着目したのがパテントリザルト社のパテントスコアですが、このバランスを変えると見え方が違ってきますので、異なった視点による課題の発掘とシナリオの作成が可能となります。
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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