大和総研が3月2日に、「企業価値を高める知財・無形資産の投資・活用戦略とは? ~改訂コーポレートガバナンス・コードへの対応・事例~」として、改訂コーポレートガバナンス・コードと知財・無形資産ガバナンスガイドラインの概要と、住友商事と積水ハウスのコーポレートガバナンス報告書での開示内容を、「補充原則3-1③」に関し具体的かつ詳細に開示している、として肯定的に紹介しています。肯定的に評価される例として参考になります。
https://www.dir.co.jp/report/consulting/governance/20220302_022872.pdf 知的財産への投資等については、 競合他社を意識し積極的な開示は難しいともされる一方で、自社にとっての知財・無形資産の価値を重視し、どのように今後の価値創造、マネタイズ実現に活用していくのかは喫緊の課題であり、そのためのストーリー構築は急務といえる。 直近の2022年1月1日~1月31日に提出された、改訂ガバナンス・コードに沿ったコーポレート・ガバナンス報告書の事例について概観していきたい。2022年1月の1か月間でコーポレート・ガバナンス報告書の更新を行った企業は、合計307社であったが、前述の「補充原則3-1③」については、今後の検肘課題事項(explain)としている企業や、既存の統合報告書やサステナビリティ報告書にて開示しているとして他の報告書へ誘導している事例も数多くみられた。本稿では、実際にコーポレート・ガバナンス報告書のなかで「補充原則3-1③」に関し具体的かつ詳細に開示している、以下の2社の事例(①住友商事、②積水ハウス)を取り上げたい。 ①住友商事株式会社 住友商事では、「当社の知的財産への投資について」として、中期経営計画と関連付けた具体的な記載が見られた。ガイドラインのなかでも言及があるように、自社の競争優位がどこにあるかを明らかにする知財・無形資産の投資・活用戦略の開示は、競合企業に手の内をさらすことにもなり、事業に悪影響を与えかねないという意見もあるなかで、自社の戦略と関連付けて具体的に記載している住友商事の開示事例は非常に参考となるものといえよう(図表4)。あえて詳細に手の内をさらす必要性はないが、自社の経営戦略を実行するにあたり、どの戦略に関してどのような知財・無形資産の投資を想定しているかを内外に示すことは、戦略のポテンシャル、その実現性も含めて投資家へのアヒールとしても非常に有用であるといえる。 ②積水ハウス株式会社 積水ハウスでは、同社が考える知的財産への投資の具体的な内容の開示に加え、知的財産を 統括する専門組織として、知的財産室を新設した旨も公表している。これにより、同社の知的財産投資への意気込み、積極性も伺えよう。さらに、具体的な内容の定性的開示に加え、研究開発費の実績金額や、意匠権や特許権の保有件数を開示するなど、定量的にさらに踏み込んだ開示まで 行っている点は、先行事例として非常に参考になろう(図表5)。 住友商事株式会社 コーポレート・ガバナンス報告書 最終更新日:2022年1月4日 https://www2.jpx.co.jp/disc/80530/140120211223560211.pdf 積水ハウス株式会社 コーポレート・ガバナンス報告書【最終更新日:2022年1月26日】 https://www.sekisuihouse.co.jp/library/company/info/gov/g20220126.pdf
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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