2004年に発行された「知的財産報告書の事例分析 (別冊NBL (No.98)) 」をAmazonで購入して読みました。2004年1月に「知的財産情報開示指針 特許・技術情報の任意開示による企業と市場の相互理解に向けて」が経済産業省から示され、10項目が示されており、この指針に基づいて作成された知的財産報告書を分析した結果が詳細に述べられています。
また、2005年10月に公表された「知的資産経営の開示ガイドライン」は、 (1)経営者の方針をわかりやすいストーリーで示すことを促し、そのあらすじを示したこと、(2)信憑性を高めるため、ストーリー中に裏付け指標を入れるやり方を提示したこと、(3)裏付けとして使われる指標の目安として35種類の指標を例示したこと、(4)評価側の誤解による混乱を避けるため、評価側にも指針を示したこと、の4点がポイントでした。 内容的には、現在投資家が求めているものとはやや違うかなという感覚がありますが、時代背景が異なるため何とも言い難いところがあります。 この「知的財産報告書」の取り組みは、野崎篤志氏によれば、「流行らなかった(?)知的財産報告書」と紹介されています。事実、2011年の88社が最高だったようで、一時的ブームに終わり、失敗だったという評価が定着しているようです。 投資家向けの知的財産情報の開示について https://note.com/anozaki/n/ncc43beab6d6b 知的資産経営報告書開示事例 http://www.jiam.or.jp/CCP013.html 翻って、今回の「知財ガバナンス」の取り組み。前回は「任意開示」だったのが今回は少なくとも東証のプライム市場への上場会社にとっては「必須」となる点が大きな違いです。 多くの企業の知財部では、どう対応したらよいか苦慮しているのではないでしょうか。 「知財ガバナンス」推進の中心的役割を果たしておられるHRガバナンス・リーダーズ株式会社フェロー 菊地 修 氏のコラムに、改訂コーポレートガバナンス・コードを踏まえたコーポレートガバナンス報告書の提出に向けての政府見解の紹介、その要請を踏まえた「知財ガバナンス研究会」の活動が掲載されていますので、ぜひご一読を。 2021.10.04 コラム 上場企業の知財投資・活用戦略に関する コーポレートガバナンス報告書での開示に対する政府見解について https://www.hrgl.jp/topics/topics-4574/
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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