知財管理2023年 7月号の論文「特許明細書の品質向上のための発明提案書」を読んで、「特許明細書の品質向上のための発明提案書」という視点で、とても重要な事項を指摘していますので、非常に参考になると思いながら、「理想の発明提案書」について考えさせられました。
筆者の考える理想の発明提案書とは、『出願人が目指すべき理想の発明提案書は,特許明細書の品質のコントロールという目標達成のために,特許事務所へのインプットとして「必要十分な内容を簡潔に」記載したもので』、『特許事務所をミスリードせずに想定通りの明細書原稿が仕上がってくるように発明提案書の記載を最適化すべき』とのことです。 しかしながら、『特許事務所は,代理人としての立場から,出願人との協議により定めた出願方針に拘束されます。特許事務所にできることは,出願人から提供を受けた素材を特許明細書に加工することだけです。』という制限を課している限り、弁理士が専門家として知財・無形資産の活用戦略に関わることはないんだろうなと思いました。 知財管理 73巻(2023年) / 7号 / 894頁 論文名 特許明細書の品質向上のための発明提案書 著者 石橋克之 http://www.jipa.or.jp/kikansi/chizaikanri/syoroku/73/7_894.html 抄録 特許明細書を作成する上で、課題解決原理及び実施形態に関する情報が不可欠です。課題解決原理及び実施形態は請求項との整合性が求められるので、特許ヒアリングでの発明のポイントが変化すると、発明提案書に盛り込むべき内容は事後的に変動します。特許事務所へのインプットの最適化により特許明細書の品質向上を目指す観点から、発明のポイントの確定度合に応じて発明提案書の記載項目を調整する方法について提案します。 目次 1.はじめに 2.特許明細書の前提知識 2. 1特許明細書の基本構造 2. 2 特許明細書の二面性 2.3特許明細書の素材 3.素材提供を通じた明細書の品質制御 3.1 特許事務所は素材を作り出せない 3.2 特許事務所の素材調達方法 3.3 素材提供=出願人にとっての調整代 4発明提案書の素材提供機能 4.1 素材入手源としての発明提案書 4.2 打合せ資料としての発明提案書 4.3 理想の発明提案書 5.発明の変動可能性に応じた発明提案書 5.1 問題の所在 5.2 発明の確定度合に応じた発明提案書 5.3 タイプ別発明提案書の最適化 6.おわりに
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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