大和総研の「企業価値を高める知財・無形資産の投資・活用戦略とは? ~改訂コーポレートガバナンス・コードへの対応・事例~」で、改訂コーポレートガバナンス・コードと知財・無形資産ガバナンスガイドラインの概要と、住友商事のコーポレートガバナンス報告書での開示内容を、「補充原則3-1③」に関し具体的かつ詳細に開示している、として肯定的に紹介しています。
住友商事では、「中期経営計画と関連付けた具体的な記載が見られた。」点が高く評価されています。「ガイドラインのなかでも言及があるように、自社の競争優位がどこにあるかを明らかにする知財・無形資産の投資・活用戦略の開示は、競合企業に手の内をさらすことにもなり、事業に悪影響を与えかねないという意見もあるなかで、自社の戦略と関連付けて具体的に記載している住友商事の開示事例は非常に参考となるものといえよう。あえて詳細に手の内をさらす必要性はないが、自社の経営戦略を実行するにあたり、どの戦略に関してどのような知財・無形資産の投資を想定しているかを内外に示すことは、戦略のポテンシャル、その実現性も含めて投資家へのアヒールとしても非常に有用であるといえる。」 知的財産権、特に特許という視点では、住友商事の特許出願件数等は非常に少ないですが、投資家からみれば、「自社の経営戦略を実行するにあたり、どの戦略に関してどのような知財・無形資産の投資を想定しているかを内外に示すこと」がアヒールとして重要だということのようです。まだ実績がでていない取組については公表できない、とか、うまくいくかどうかわからない失敗したときに責任が取れないから公表できない、などという議論がよく聞かれますが、投資家からみるとちょっと違うのかもしれません。 住友商事株式会社 コーポレートガバナンス報告書 最終更新日:2022年1月4日 https://www2.jpx.co.jp/disc/80530/140120211223560211.pdf 補充原則3-1③) ・当社の知的財産への投資について 当社は、様々な事業分野において、革新的な技術によるビジネスモデルの転換や、新たなプロダクトデザインの提供などによる付加価値に着目して、事業投資を実行しています。また、技術革新や、創造性のあるデザイン、コンテンツのもたらす競争優位性のみならず、当社の多様な人的リソース、これまで培ってきた多彩なビジネスノウハウ、顧客・取引先とのグローバルなネットワーク・信頼関係、市場における当社ブランドの価値、といった資本(無形資産)からなる経営基盤と営業部門の多様な事業機能を融合・複合化することで、新規事業を創出するとともに、事業の成長力を一段と高める戦略をとっています。 この点、当社は、目指すべき企業像として、「常に変化を先取りして新たな価値を創造し、広く社会に貢献するグローバルな企業グループ」を掲げ、常に新しいビジネスモデル、ノウハウや技術等を探索するなど、将来のビジネスへの種まきを行っています。これらの新しいビジネスモデルの多くにおいて、現在又は将来の知的財産・無形資産によって、その収益力、競合他社との商品・サービスの差別化、及び市場における価格決定力が維持・強化され、将来的に高い競争力・利益率を獲得することができると見込んでいます。このような知的財産・無形資産を生かした新事業の創出に向けた取り組みは、各組織において実施しています。 さらに、今中期経営計画「SHIFT2023」においては、以下の6つの分野を次世代成長戦略テーマに設定し、経営資源を投下しています。 ・デジタルトランスフォーメーション:デジタル、テクノロジー×イノベーションを活用した事業変革と新規事業開発 ・次世代エネルギー:カーボンフリーエネルギーの開発・展開、新たな電力・エネルギーサービスの拡大、 CO2の吸収・固定・利活用・社会インフラ:途上国におけるインフラ整備、新しい機能を持つ社会インフラの開発・リテイル・コンシューマー:多様なリテイル事業群のデータ活用を通じた、地域社会にエッセンシャルな価値、サービスの提供 ・ヘルスケア:医療分野に加え、健康・予防・介護分野における新たなビジネスの創出 ・農業:デジタル・テクノロジーを活用した農業セクター向けビジネスの拡充 今後もこのような知的財産・無形資産の価値を重視して、これらが競争力、差別化、稼ぐ力にいかに結び付くかを精緻に分析のうえ、事業投資を 実行し、事業の強化・育成を行っていきます。
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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