「知財管理」73巻 6号 666頁(2023年)の「特許権侵害訴訟における特許発明の技術的範囲の確定と発明の作用効果・作用機序」は、発明の作用効果・作用機序が特許発明の技術的範囲の確定に及ぼす影響を整理されています。
そして、明細書作成上の留意点として、一般論として、下記を指摘しています。
『文言の本来的意味も重要ではあるが課題及び作用効果との関係がクレーム解釈の判断の分水嶺となることもある。そのため,当該構成要件によって課題解決にどのように寄与しているかという点からさかのぼって,課題解決原理や作用機序についての解釈を意識しながらクレーム解釈についての主張をしていくということが非常に望ましいと考える。』 技術的範囲は、請求項の記載だけで決まるわけではなく、技術的範囲の確定における課題・作用効果が、文言解釈においても重要であるということがわかります。 特許権侵害訴訟における特許発明の技術的範囲の確定と発明の作用効果・作用機序 著者 河合哲志/佐藤慧太 「知財管理」73巻 6号 666頁(2023年) http://www.jipa.or.jp/kikansi/chizaikanri/search/detail.php?chizai_id=f49681cff724190402a131cb597c361a 抄録 特許権侵害訴訟においては、多くの場合、特許発明の技術的範囲の確定が争点となる。特許発明の技術的範囲の確定は特許法70条に従ってなされるが、具体的にどのような事情が参酌されるのかについては、条文を読んだだけでは十分に理解することができない。近年、プロパテント傾向にあると言われている日本の裁判所において、特許発明の技術的範囲の確定についても、事例判断ではあるが興味深い裁判例が散見され、会員企業にとっても、特許訴訟を提起しやすい状況になりつつあるようにも感じられる。そこで、本稿では、特許発明の技術的範囲の確定について基本的なことを説明した後、課題・作用効果の参酌や作用効果不奏功の抗弁などを説明し、さらに、作用効果・作用機序が問題となった裁判例をいくつか紹介する。 目 次 1.はじめに 2.特許発明の技術的範囲の確定 2.1 はじめに 2.2 特許法70条 3.技術的範囲の確定における課題・作用効果の参酌 3.1 特許請求の範囲の文言解釈における作用効果の参酌 3.2 均等論における作用効果 4.作用効果不奏功の抗弁 5.作用効果、作用機序が問題となった裁判例 5.1 作用効果による限定解釈の主張が認められた事例 5.2 作用効果による限定解釈の主張が認められなかった最近の事例 5.3 作用機序による限定解釈が認められなかった事例 5.4 作用効果不奏功の抗弁に関する裁判例 6.明細書作成上の留意点及び侵害訴訟における主張立証 6.1 明細書作成上の留意点 6.2 侵害訴訟における主張立証 7.おわりに
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著者萬秀憲 アーカイブ
November 2024
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