11月22日に行われた、WIPO Japan Office オンラインセミナー「不確実な状況におけるPCT出願の価値」のアーカイブ動画を視聴しました。(約1時間)
https://c.connectedviews.com/01/Player/WIPOwebinars/?s=117612&a=false 伊藤健太郎弁理士(TMI総合法律事務所 パートナー)の講義ですが、 1.一般論:PCTのメリット・デメリット 2.PCTルートの現在価値の評価(不確実な状況を織り込んで定量的に評価) 3.PCTルートとパリルートの比較 4.ダイレクトPCTとJP-PCTの比較 「4~5か国以上に出願する場合は、PCTルートの方がリーズナブル」というのが教科書に書かれていることがおおいですが、実際には「国数に関係なく、PCTルートの方が、PCT出願の費用の分だけ高い」 「将来は不確実で、PCTルートでは、将来(18月後)の状況に応じて、柔軟に移行国を決められるので、不確実な状況を織り込んだときに、18月後の国内移行費用が現在いくらに相当するかを評価できれば、PCTルートとパリルートの現在価値同士を比較できる。」ということで計算すると、下記のようになるようです。 結論に違和感はありません。 ◼不確実性(≒リスク)が高い状況であるほど、PCTルートの優位性が高まる ⇒不確実な状況では、移行国の決定を繰り延べること自体に価値がある ⇒PCT出願は、移行国の決定を繰り延べられる権利としての価値 ◼2か国以上に出願予定のとき、費用総額の現在価値で比較すると、多くの案件ではPCTルートの方が合理的ではないか ◼1か国のみに出願予定のときでも、非常に不確実性が高い状況であれば、PCTルートの方が合理的 ◼今回のモデルでは、当初国内移行予定ではなかった国に対して、後になって国内移行することにした場合の不確実性を織り込んでいないが、そのような場合も織り込めば、PCT出願の価値はより高く評価されるはず 不確実な状況におけるPCT出願の価値 https://www.tmi.gr.jp/eyes/blog/2022/13944.html 将来の不確実性が高くなるほど、PCTルートの価値が相対的に高まります。これは、不確実な状況下では、PCT出願によって移行国の意思決定を遅らせることができるというオプションとしての価値が高まるからとの解釈も可能です。外国出願をする際には、PCTルートとパリルートの総費用を単純に比較するのではなく、総費用の現在価値を比較することで、将来の不確実性を織り込んだ客観的で合理的な意思決定をすることができるようになると思われます。 WIPO⽇本事務所では様々なトピックのウェビナー(オンラインセミナー)を日本語で開催(参加無料)しており、既に終了したウェビナーの多くがアーカイブ動画を公開しており、助かります。 https://www.wipo.int/about-wipo/ja/offices/japan/webinars_in_japanese.html
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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