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​よろず知財コンサルティングのブログ

貝印のIPランドスケープ

31/8/2020

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ユニ・チャームで知的財産の責任者だった地曳慶一さんが、貝印でIPランドスケープに取り組むなどして大きな成果をあげ、現在は、上席執行役員知的財産部長兼法務部長となっています。
下記は、地曳さんの話していることです。
 
社員の意識を変えるために私が取り入れていることのひとつに、「IPランドスケープ」という手法があります。
「IPランドスケープ」とは、「IP」(Intellectual Property<知的財産>)と、景観や眺望を意味する「ランドスケープ(landscape)」を組み合わせた造語であり、知財情報にマーケティング情報など他の情報を併せて分析し先を読むことで、経営・事業・開発の戦略的な意思決定に役立てる手法として注目されています。 この手法が貝印に必要なものであると私は考え、導入することを決めました。
ただし、貝印は歴史のある会社です。これまでのやり方を大きく変えることになる私の考えは受け入れられるのか。
しかし私の不安は杞憂であることがすぐにわかりました。
貝印には、実は、新しいことを積極的に受け入れる土壌があり、私のことも好奇心を持って迎え入れてくださいました。
こうした新たな取り組みとこれまでの技術やデザイン等の実績が評価され、うれしいことに、2019年4月には平成31年度知財功労賞において“特許庁長官表彰”を受賞するに至りました。

「貝印グループ2021年度採用情報」から引用
https://www.kai-group.com/global/recruit/interview_31.html
 
貝印の知財活動に関しては、いろいろなところで取り上げられています。
 
「チーム地曳(じびき)を作ってくれ」。18年春、大手日用品メーカーから刃物などを手掛ける貝印の知的財産部長に転じた地曳慶一執行役員は、遠藤浩彰副社長からこう頼まれた。貝印は同年からの中期経営方針で知財強化を掲げていた。
地曳氏は知財分析のノウハウをもつアナリスト1人を中途採用し、結果を開発陣に説明した。ひげそりで競合する米大手との比較では、貝印の特許を米大手が参考にしていたことが判明した。この事実が社内に伝わると「開発陣の若手が自信をつけ、目の色を変えて特許やアイデアを考えるようになった」(地曳氏)

「攻めの知財」シフト進む 専守脱却、新事業に活用 日本経済新聞 2019/5/13付朝刊
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO44455290X00C19A5TCJ000/
 
特許庁の広報誌「とっきょ」でも取り上げられています。①情報ソースとしての機能(技術文献)②独占排他権としての機能(権利書)という知財が持つ2つの本質的機能を使い倒すことが「知財マネジメントの神髄」というのが貝印の考え方で、創業110周年を機に大きな変革を図り、経営戦略本部を創設、将来的に社の要となるであろう部署として、2018年に知的財産部を立ち上げ、世の中のトレンドやニーズを先読みし、自社の進むべき道を指し示す”水先案内人”機能が知財部門の役目であり、そのためには商品企画や事業開始「前」の段階から知財部門が入り込むようになっています。「IPランドスケープは、知財部員の「シナリオ力」と「勇気・度胸・割り切り」が大切。」というのは共感します。
 
知財活用企業紹介、特許庁、広報誌「とっきょ」2019年10月7日発行号
https://www.jpo.go.jp/news/koho/kohoshi/vol43/06_page1.html
 貝印の商品開発の基準は「DUPS」。D=Design、U=Unique、P=Patent、S=Story & Safetyを意味しています。この基準は、1998年に知的財産基本法が施行された頃に作られ、世の中で知的財産権の重要性が認識されるより前だったとか。古くから意匠や特許を意識した商品作りを心掛けていたわけです。
2018年に打ち出した中期経営方針の中に「知財強化」を導入し、真っ先に着手したのが「知財分析・コンサル機能」。各事業や新規参入領域のリスクチャンスを知財が中心となり発信し全社をリードすることを目指すために、その手法として必須だったのがIPランドスケープの使いこなしでした。
それまでは、社内には競合メーカーとの競争に対する疲弊感がありました。そこで、カミソリの競合企業が貝印所有の特許を見本として、様々な類似の出願をしていたことを、知財本部が社内に提示したところ、開発陣の若手が自信をつけ、特許やアイデアを考えるようになったのです。開発のみならず全社的にIPランドスケープを使いこなすことが貝印の変革に必須と考え、その定着のために経営会議メンバー・関係部署へIPランドスケープ通信の定期発信を開始しました」と髙橋氏は語ります。
 
「パテントマップは過去のデータ。それに比べてIPランドスケープは、今後のシナリオ。これからの知財部員にはこのシナリオ力が必要」と地曵氏。経営陣に刺さる情報を提供するためには、もちろん内容自体が重要ですが、より大切なのが、「勇気・度胸・割り切り」であるとも指摘します。
「IPランドスケープによって、自社の進むべき道を指し示す“水先案内人”機能により先見力を発揮する体制を目指す。当社の差別化ポイントを指し示し、それらを権利化し、差別化の「証」である知財権の価値をセールストークや消費者コミュニケーションへ活用し、顧客に伝えることが今後より徹底していくことだ」と話す地曳氏。「結局は、知財が持つ本質的な機能を使い倒すことが重要だ」とも。

 

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