IPランドスケープの基本フローを、ステップ1:知財状況の把握、ステップ2:市場状況の付加、ステップ3:分析・ビジュアル化、ステップ4:経営層への提示、と考えてみると、従来から日本企業でよく用いられている「パテントマップ」では上記ステップ1までが行われているに過ぎないことになります。 IPランドスケープを標榜していても、「知財情報分析」を単に「IPランドスケープ」という言葉に置き換えているだけのケースもあり、危惧されます。従来から行われてきた知財情報分析手法の延長として行われ、過去の事象について辻褄合わせをするように説明する後付け的分析手法であったり、市場情報や参入シナリオ等がない安易な新規技術・事業の提案、単なる予想程度のものもあったりします。問題は、これらの分析が第三者的な立場から知財状況を把握する程度(ステップ1)に留まり、開示されていない自社知財状況や会社が全力で資源を投入して調べた市場や競合の状況の把握(主としてステップ2)が不足していることです。 第三者による知財を中心とした後付け的分析手法等の結果と、会社が人と金を投入して独自に収集した情報を基に練上げられる経営判断の結果との間における情報の質と量の違いを考えれば、これら結果の間に乖離があることは容易に想像することができます。 IPランドスケープを標榜していても、「知財情報分析」を単に「IPランドスケープ」という言葉に置き換えているだけては、「IPランドスケープは使えない」と判断されるかもしれません。 (参考)乾智彦,IPランドスケープの基礎と現状,パテント,Vol.71,No.9,89−,2018 https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/3047 ※1:この段階でビジュアル化されたのもが知財スキル標準version2.0におけるパテントマップに該当する。
※2:この段階で付加する情報は多岐に渡るが、目的とするIPランドスケープに必要な情報を付加する。なお、ステップ1とステップ2を分けずに行ってもよいが、知的財産部門で実施する場合には上記ステップが実行し易いと思われる。※2-1:例PEST分析、2-2:例ファイブフォース分析。 ※3:IPランドスケープにける知財分析は、ステップ3までを射程としている。 ※4:経営層とは、一人又は複数で構成された、組織に対し経営責任をもつ者である(=トップマネジメント:IS9001, JISQ9000)。また、将来の展望等は、経営企画機能や戦略調整機能を果たす内容である必要がある。
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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