8月28日から8月31日までオンラインで開催された、2021年度 北海道大学サマーセミナー「最新の知的財産訴訟における実務的課題――特許法をめぐって――(オンライン開催)」の三日目(8月30日)の午後は、北海道大学大学院法学研究科 中山一郎教授の「AIと進歩性、発明者等」。
北海道大学大学院法学研究科 中山一郎教授 「AIと進歩性、発明者等」 発表内容 Ⅰ はじめに~なぜ「進歩性」と「発明者」を取り上げるのか Ⅱ AI関連発明の類型 Ⅲ AI関連発明と特許要件(特に進歩性を中心に) Ⅳ AI関連発明の発明者 Ⅴ まとめ 中山一郎「AIと進歩性―若干の問題提起―」パテント72巻12号(別冊パテント22号)(2019)179頁 https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/3405 中山一郎「AI関連発明の発明者」別冊パテント26号所収予定 まとめ 進歩性について •特許・実用新案審査ハンドブック改訂(2019年1月)は,先進的な試みだが,発明者だけでなく,当業者もAIを利用する可能性を考慮すべき •ハンドブックは,無自覚的に当業者にAI利用を期待してよいと判断したものと理解可能であり,その影響は全技術分野に及ぶ→より自覚的な検討が必要 •AIによる発明の科学的な再現可能性は検証不要(あくまで規範的判断) 発明者について •抽象化する人間の関与をもって発明者と認定することができるかという問題は, AI道具型発明において既に生じている •AIが自律的に発明を創作したか否かは不明であり,その点よりAI関連発明においてどの程度の人間の関与があれば発明者といえるかのかの検討が先決 •仮に自然人発明者不在の発明があっても特許保護不要(∵市場の失敗なし) 中山一郎. 人間の精神活動,人為的取決めと発明, 特許研究 PATENT STUDIES No.70 2020/9 https://www.inpit.go.jp/content/100871114.pdf AI関連発明の出願状況調査 報告書 2021 年 8月 特許庁 審査第四部 審査調査室 https://www.jpo.go.jp/system/patent/gaiyo/sesaku/ai/ai_shutsugan_chosa.html 調査結果の要点 1.全体的な出願動向 日本におけるAI関連発明※1の出願件数は依然として堅調な増加傾向にあります。 2.技術分野別出願動向 AI技術の適用先としては、画像処理分野への適用が多くなっています。また、AI技術の適用先が拡大していることがうかがえます。 3.各国の出願動向 米国及び中国におけるAI関連発明の出願件数が他国よりも突出しています。また、韓国におけるAI関連発明の出願件数も近年急激に増加している一方で、日本におけるAI関連発明の出願件数の伸びには、他国ほどの勢いはありません。
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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