9月8日に行われた「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会(第3回)」の議事次第で、旭化成のプレゼンテーションがなかなかホームページにアップされていませんでしたが、昨日アップされているのに気づきました。
「コーポレートガバナンスコード改訂を見据えた当社の考え方・対応」というタイトルのプレゼンテーション資料は、なかなかの出来栄えだと思います。 1.当社によるこれまでの知的財産情報の開示 統合報告書(旭化成レポート) 知的財産報告書 2. CGC改訂に対する当社の考え方・活動 3.課題 という構成です。 企業価値に占める無形資産の割合増を受け、2004年に経産省が「知的財産情報開示指針」を発表、旭化成は「特許・技術情報開示のパイロットモデル」に参加、2005年に知的財産報告書を発表、翌年にはアニュアルレポート(現”旭化成レポート”)を発表。 知的財産報告書は、「ステークホルダーに向けて当社の知財活動を理解してもらい、当社の企業価値向上を目指す」という目的で、知財部ミッション、重点活動、IPランドスケープなどの取組み、独自視点(当社セグメント別/実施非実施等)での知財データ等を開示。 旭化成レポート(統合報告書)は、「ステークホルダーに向け当社の全体像、経営戦略、コーポレートガバナンス等を理解してもらい、企業価値向上を目指す」という目的で、開示内容は、「新事業創出においてコア技術マップ、非財務ハイライトにおいて特許保有件数」。 CGC改訂に対する弊社の考え方としては、「CGC改訂の趣旨も踏まえると、今後は戦略の上流に知財部門が参画していくことが肝要社外への発信に向け、意思決定に寄与した情報の開示も検討していくべきではないか」、知財情報の種類と意思決定への貢献度では、「知財情報の種類は情報の加工度に応じて4種類に分類できる<①知財情報の生データそのもの(出願件数、発明者)、②知財情報の加工データ(パテントスコア、パテントマップ)、③知財情報解析(知財情報を繋げたシナリオ・ストーリー)、④知財/事業戦略(PEST等の情報も含めたシナリオ・ストーリー)>が、今後は、意思決定の貢献度の高い情報も開示すべきではないか」、知財情報の開示範囲では、「企業にとって、事業戦略に紐づけた(知財)情報は開示しにくい“知財部門の貢献の在り方(本資料の内容)”や、“IPLを実施している”、という情報だけでは不十分か?」、知財価値の定量評価/定性評価では、「定量評価は、相対評価が容易というメリットがあるものの、絶対的な評価指標の策定は困難(∵評価指標を活用する目的等によって評価は異なる)市販ツールのパテントスコア(BizCruncherの特許スコアやPatentSightのPAI等)は、絶対的に正しい指標とは言えず、数値が一人歩きするリスクがある。定性評価は、各社各様の評価を行っており、相対的な評価は難しい」という提言がなされたことがわかります。 知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会は、10月上旬の第5回と10月下旬の第6回で、「知財投資・活用に関する指標の在り方」が検討される見込みとのこと、過去の失敗を繰り返さないで良い考え方を提案していただきたいと思います。 知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会(第3回)議事次第 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/dai3/gijisidai.html 知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会(第4回)議事次第 事務局説明資料(内閣府知的財産戦略推進事務局) https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/dai4/siryou3.pdf
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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