2021年2月、小林化工が製造販売した経口抗真菌薬「イトラコナゾール錠50『MEEK』」の一部ロットにベンゾジアゼピン系睡眠薬リルマザホン塩酸塩水和物が混入した問題で、福井県が同社に医薬品医療機器等法(薬機法)に基づく過去最長となる116日間の業務停止命令を出しました。脂肪を含む重大な健康被害がありました。
さらに3月3日には、日医工にも業務停止命令が下りました。品質試験で「不適合品」となった製品を、製造販売承認書と異なる方法で「適合品」となるように処理して出荷、不正は10年ほど前から行われており、昨年2月の富山県とPMDA(医薬品医療機器総合機構)による立ち入り調査をきっかけに発覚して75品目を自主回収しました。 そして、久光製薬。外用消炎鎮痛剤「サロンパスホット」(OTC医薬品)の製造過程で、着色料のタール色素に含まれる不純物濃度が規定の1%を超えていたにもかかわらず、長年、不正にデータを改ざんしていたことを明らかにし、佐賀県は同社鳥栖工場(鳥栖市)に対して8日間(8月13~20日)の業務停止を、久光製薬全社に対して4日間(同13~16日)の業務停止処分を科したとのことです。 不正製造は医薬品メーカーだけの問題ではありませんが、品質管理をおろそかにしないで、再発防止策を徹底していただきたいものです。 佐賀県、OTC薬不正の久光に業務停止処分 鳥栖工場8日間・全社4日間 、外用消炎鎮痛剤のデータ改ざん https://nk.jiho.jp/article/163887 久光製薬は12日、外用消炎鎮痛剤「サロンパスホット」(OTC医薬品)の製造過程で、着色料のタール色素に含まれる不純物濃度が規定の1%を超えていたにもかかわらず、長年、不正にデータを改ざんしていたことを明らかにした。佐賀県は同社鳥栖工場(鳥栖市)に対して8日間(8月13~20日)の業務停止を、久光製薬全社に対して4日間(同13~16日)の業務停止処分を科した。 ●不純物濃度を実際より低い値に、遅くとも14年から 問題があったのは、「サロンパス群」の一種であるサロンパスホット。売上高や販売数量は開示していない。現在は販売を中止しており、今後の取り扱い方針は未定。 同社によると、同製剤中には0.02%のタール色素が含まれている。このタール色素にはわずかな不純物が混じってしまうが、規定ではタール色素に占める不純物の割合を1%以下に収める必要があった。 同剤の承認時点では、不純物の含有割合を規定範囲内に収めていたようだが、2012年にタール色素の調達先を国内メーカーから海外メーカーに変更したことが影響し、不純物濃度が1%を超過。担当者はそのことを報告せず、実際の濃度よりも低い値にデータを改ざんし、昨年5月まで不正な作業手順を引き継いでいた。同社は残されたサンプルから、「遅くとも14年からは逸脱状態が続いていた」と見ている。 不正が発覚したのは昨年5月。試験担当者が問題に気付き、課長に相談する形で露見した。同社は同月中に同剤の出荷を停止し、社内調査を開始。翌6月には佐賀県に報告し、同年7月に市場から自主回収した。その後、1年余りを経て、行政処分を受けた。現在は販売を停止したままだ。 後に同社と県が実施した試験によると、タール色素に含まれる不純物の割合は1%より高いことが確認されたという。 ただし、これまでに健康被害の報告はない。同社は「着色料の配合量が微量のため、重篤な健康被害が発生する恐れはない」としている。 ●社外除く全取締役に減給処分 佐賀県は、同剤を製造している同社鳥栖工場に対し、8日間の業務停止処分を下した。ただし設備の改善・保守・点検業務や、製造・輸入・出荷に関連しない事務棟の使用、製造設備を直接使用しない研究開発業務などは業務停止の対象外。栃木県の宇都宮工場(宇都宮市)も処分を受けていない。 製造販売元である久光製薬に対しては、第2種医薬品(OTCや医療用「モーラステープ」など)製造販売業の業務停止4日間を命じた。本社や支店、営業所などが対象になる。ただし「エストラーナテープ」などの第1種医薬品製造販売業は対象外。また製造販売・出荷に関連しない事務棟の使用や、製品の市販後安全管理、苦情・返品業務などは通常通り行える。 同社は「処分を重く受け止め、猛省する」とコメント。社外取締役を除く、全取締役の減給処分を発表した。中冨一榮代表取締役社長には月額報酬20%減給、役付取締役は10%減給、取締役は5%減給をそれぞれ1カ月間科す。 製造現場担当者の処分は行っていない。同社は「改ざんに気付けなかった組織全体の問題だと受け止めている」とコメントした。
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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