東京証券取引所は、2022年4月4日から現在の市場区分を「プライム市場・スタンダード市場・グロース市場」の3つの市場区分に変更することになっており、2021年9月1日~12月30日が上場会社の市場選択期間となっており、各企業の選択が発表されてきています。
今年6月に改訂された改訂コーポレートガバナンス・コードでは、新たに知財に関する内容が盛り込まれましたので、上場企業は、2021 年末までに、改訂されたコーポレートガバナンス・コードに沿ったコーポレート・ガバナンス報告書を株式会社東京証券取引所へ提出することが求められており、新たに知財に関する内容についての記載が必要になっています。 9月24日、「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」から上場企業が今年年末までに東証に提出する「コーポレートガバナンス報告書」について、「改訂コードを踏まえたコーポレート・ガバナンス報告書の提出に向けて」などと題する文書が公表され、方針の一部が明らかになりました。 日経新聞の渋谷編集委員によれば、「検討会の公表文書で注目されたのは、知財の取り組みを巡る企業の開示姿勢について触れた部分だ。・・・・かみ砕いて言えば、企業が安易に「やっている」とアピールしないようクギを刺した格好だ。・・・・日本企業が高いレベルで知財投資や活用に取り込むためには、安易に「実施済み」と背伸びをするのは本末転倒になりかねない。まずは率直に自社の現状と今後の方針を「説明」し、知財に関する姿勢と意欲をしっかり示してこそ、最終的には株主や投資家、消費者らの信頼や支持を得る近道になるだろう。」 企業の中で知的財産の果たすべき役割がますます大きくなっている今、各社の知財担当者の踏ん張りどころになっています。 企業の知財活用、安易な「やってる」に難色 政府新指針 渋谷 高弘 2021年9月29日 5:00 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGH262490W1A920C2000000/ 今年6月に改訂された「コーポレートガバナンス・コード」では、特に、プライム市場はグローバルな投資家との建設的な対話を中心に据えた企業向けの市場であることから、プライム市場の上場会社には、一段高いガバナンスについて定めた原則を適用することとしています。 この改訂コーポレートガバナンス・コードでは、新たに知財に関する内容が盛り込まれました。主なポイントは下記の2つです。 ひとつめが「上場会社は、人的資本や知的財産への投資等について、具体的に情報を開示・提供すべき」(補充原則3-1③ 上場会社は、経営戦略の開示に当たって、自社のサステナビリティについての取組みを適切に開示すべきである。また、人的資本や知的財産への投資等についても、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識しつつ分かりやすく具体的に情報を開示・提供すべきである。・・・) ふたつめは「取締役会は、知財投資・活用等について、企業の持続的な成長に資するよう実効的に監督を行うすべき」(4-2② 取締役会は、中長期的な企業価値の向上の観点から、自社のサステナビリティを巡る取組みについて基本的な方針を策定すべきである。 また、人的資本・知的財産への投資等の重要性に鑑み、これらをはじめとする経営資源の配分や、事業ポートフォリオに関する戦略の実行が、企業の持続的な成長に資するよう、実効的に監督を行うべきである。) こうした動きを受けて、内閣府知的財産戦略推進事務局と経済産業省が共同で今年8月、「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」を設け、2021年中のガイドライン案の策定・公表に向けて議論を進めています。 9月24日、「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」から上場企業が今年年末までに東証に提出する「コーポレートガバナンス報告書」について、「改訂コードを踏まえたコーポレート・ガバナンス報告書の提出に向けて」などと題する文書を公表し、方針の一部を明らかにしました。 あるべき取り組みの例としては、①自社の現状のビジネスモデルと強みとなる知財・無形資産の把握・分析②知財・無形資産を活用したサステナブルなビジネスモデルの検討③競争優位を支える知財・無形資産の維持・強化に向けた戦略の構築④戦略を着実に実行するガバナンス体制の構築、があげられています。 今後の知財・無形資産の投資・活用戦略の構築に向けた取組について~改訂コーポレートガバナンス・コードを踏まえたコーポレート・ガバナンス報告書の提出に向けて~ 令和3年9月24日知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/pdf/corporate_governance.pdf
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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