昨年12月12日の本ブログで、元ナブテスコの菊地氏の知財ガバナンス構想に関して紹介させていただきましたが、金融庁が進めているコーポレートガバナンス・コードの改訂において、「知財投資の重要性に鑑み、取締役会で実効的に監督すること」や、「知的財産等への投資について具体的な情報を開示・提供すること」が補充原則として追加規定されたとのことです。
「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」(第26回)議事次第 https://www.fsa.go.jp/singi/follow-up/siryou/20210331.html 【コーポレートガバナンス・コードへの追加規定(「知財ガバナンス」に関する補充原則)】 3-1③ 上場会社は、経営戦略の開示に当たって、自社のサステナビリティについての取組みを適切に開示すべきである。また、人的資本や知的財産への投資等についても、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識しつつ分かりやすく具体的に情報を開示・提供すべきである。 4-2② 取締役会は、中長期的な企業価値の向上の観点から、自社のサステナビリティを巡る取組みについて基本的な方針を策定すべきである。また、人的資本・知的財産への投資等の重要性に鑑み、これらをはじめとする経営資源の配分や、事業ポートフォリオに関する戦略の実行が企業の持続的な成長に資するよう、実効的に監督を行うべきである。 コーポレートガバナンス・コード~会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のために~(改訂案) https://www.fsa.go.jp/singi/follow-up/siryou/20210331/02.pdf そして、菊地氏(現:HRガバナンス・リーダーズ株式会社 フェロー)らは、「知財ガバナンス研究会」を発足し、相互に情報交換を行いながら、企業での取り組みを検討する活動を開始したそうです。 「知財ガバナンス研究会」の発足とメンバー企業募集のお知らせ https://www.hrgl.jp/info/info-1990/ 来年4月に予定されている東京証券取引所の改革においては、東証1部に代わる最上位市場を「プライム」と改称した上で、上場基準を設定しています。プライム市場に上場を選択される会社は、コーポレートガバナンス・コードを高いレベルで準拠していることが求められています。(現在の東証1部上場企業約2200社のうち、約600社がプライム市場の新基準を達成できていないとみられているようです。) 日本企業に知財ガバナンスが早期に普及することを期待しています。
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著者萬秀憲 アーカイブ
January 2025
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