8月28日から8月31日までオンラインで開催されている、2021年度 北海道大学サマーセミナー「最新の知的財産訴訟における実務的課題――特許法をめぐって――(オンライン開催)」の二日目の午後、神戸大学大学院法学研究科 前田健教授の「進歩性要件の意義と機能-近時の裁判例を踏まえて」を視聴しました。
「進歩性の本質については、二つの考え方があるように思われる。その一は、引用例に基づいて当業者が請求項発明を相当することが容易か否かという視点で進歩性を判断する考え方である(容易推考説)。その二は、進歩性という当該要件の通称の通り、請求項発明が引用例を含む従来技術に対して技術的に貢献したか(あるいは出願に技術的裏付けがあるか)という視点を重視して進歩性を判断する考え方である(技術的貢献説)。」(時井真「技術的貢献説の再生」日本工業所有権法学会年報第44号69 頁(2021)) 現在の実務は前者、その問題点を補完しているのは後者という理解でしたが、後者をあまり強調すると別の問題点もでてきそうです。 サマーセミナー2021 https://www.juris.hokudai.ac.jp/riilp/event/summer-seminer2021/ 「進歩性要件の意義と機能-近時の裁判例を踏まえて」 1.進歩性要件の機能と判断枠組み (1)進歩性要件の機能- 創作の技術的困難性VS技術的貢献 (2)進歩性の判断枠組み 2.引用発明の認定 (1)ピリミジン誘導体大合議判決 (2)論点についての分析 3.予測できない顕著な効果 (1)ヒト結膜肥満細胞安定化剤事件 (2)論点についての分析 4.発明の非容易性は、発明特定事項の非容易性か? 5.ビジネス関連発明の進歩性 基本は、下記の論文の内容のようです。 前田健「進歩性要件の意義と判断の方法」日本工業所有権学会年報44号91頁(2021) 前田健「進歩性判断における「効果」の意義 」Law & Technology 82号 33-44頁(2019) 前田健「審決取消訴訟の訴えの利益と進歩性判断における引用発明の認定 -ピリミジン誘導体知財高裁大合議判決- 」 Law & Technology 83号 16-26頁 (2019) 前田健「対象物を新着眼の特性で特定したクレームの特許性 : 発見かそれとも発明か? : 機能的に表現された抗体の発明のサポート要件及び進歩性要件を題材として[知財高裁令和元.10.30判決] 」神戸法学雑誌70巻1号 63-116頁 (2020) http://www.lib.kobe-u.ac.jp/repository/81012050.pdf 前田健「ビジネス方法・ゲームのルールに関する発明の特許性と技術的範囲の判断」パテント74号(別冊 No.26)掲載予定( https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/3811
0 Comments
Leave a Reply. |
著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
カテゴリー |