令和3年(行ケ)第10066号 審決取消請求事件(医薬用途発明に係る特許第5969161号の無効審決取消請求事件)で、知財高裁は、「技術常識によれば当業者は認識するものといえる」から各相違点は実質的な相違点ではないとして、新規性を否定した本件審決の判断に誤りはないと判断し、原告の請求を棄却しました。
Fubuki氏によれば、 『刊行物に明示的に記載されていない場合であっても、特許法29条1項3号(刊行物に記載された発明)に基づいて新規性を否定するためには、発明が「刊行物に記載されているに等しい事項から当業者が把握できる発明」として評価することができなければならないとされている。 この「記載されているに等しい事項から当業者が把握できる発明」としての評価を、「当業者が認識するもの」に置き換えて評価したとしても、新規性を否定する考え方に大きな違いはなさそうである。 しかし、当業者が「把握できる」又は「認識する」発明であるか否かを評価軸として引用発明(実質的な相違点の有無)を認定して新規性を判断することが、当業者が認識しておらずに公知の物や方法に必然的に内在・存在している態様(inherent feature)を相違点とする場合やパブリックドメインとの関係で問題となる場合において、唯一最善の論理なのかどうかは議論があるかもしれない。』 ということです。 この判決に違和感はないのですが、いろいろと波紋はあるのかもしれません。 2022.12.13 「中外製薬 v. 沢井製薬・日医工」 知財高裁令和3年(行ケ)10066・・・「技術常識によれば当業者は認識するものといえる」エルデカルシトール前腕部骨折抑制医薬用途発明の新規性を否定 2022.12.19 https://www.tokkyoteki.com/2022/12/2022-12-13-r3-gyo-ke-10066.html 「エディロール」用途特許訴訟、中外の控訴棄却 知財高裁 2022/12/13 20:44 https://nk.jiho.jp/article/176766 エディロール®カプセルの医薬用途発明に係る特許権侵害訴訟 中外製薬の控訴棄却 沢井製薬と日医工が勝訴 2022.12.14 https://www.tokkyoteki.com/2022/12/eldecalcitol-2.html 知財高裁 エルデカルシトールカプセルの後発品特許侵害訴訟で控訴を棄却 沢井製薬と日医工が勝訴 公開日時 2022/12/14 04:49 https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=74062 2022年12月13日 エディロールカプセルに関する特許権侵害訴訟の控訴審判決について https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20221213160000_1266.html エルデカルシトールカプセル0.5μg・0.75μg「サワイ」 特許権侵害差止等請求控訴事件に関する勝訴のお知らせ https://www.sawai.co.jp/release/detail/583 エルデカルシトールカプセル「日医工」 特許権侵害訴訟(控訴審)勝訴判決のお知らせ https://www.nichiiko.co.jp/company/press/detail/5686/1672/4541_20221213_01.pdf 令和4年12月13日判決言渡 令和3年(行ケ)第10066号審決取消請求事件 https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/620/091620_hanrei.pdf
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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