オプジーボ特許は、「発明者」、「共同発明者」について、いろいろ考えさせられ、実務に生かすべき点も多いといえるでしょう。
京都大学の元大学院生に関する訴訟、Dana-Farber CancerInstitute (DFCI)の Gordon Freeman 博士と当時 GeneticInstitute(GI)に所属していた Clive Wood 博士が共同発明者であると認定された訴訟です。 日本では、知財高裁判決により、発明者の定義がより明確になった感じがします。 特許法2条1項は,「発明」とは,「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」をいうと規定し,同法70条1項は,「特許発明の技術的範囲は,願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない。」と規定している。これらの規定によれば,特許発明の「発明者」といえるためには,特許請求の範囲の記載によって具体化された特許発明の技術的思想(技術的課題及びその解決手段)を着想し,又は,その着想を具体化することに創作的に関与したことを要するものと解するのが相当であり,その具体化に至る過程の個々の実験の遂行に研究者として現実に関与した者であっても,その関与が,特許発明の技術的思想との関係において,創作的な関与に当たるものと認められないときは,発明者に該当するものということはできない。 米国の案件は、2019 年5月 17 日、米国のマサチューセッツ地区連邦地方裁判所の判決が出ています。控訴審における審理結果に関わらず、共同研究において注意すべき事項が様々指摘されていますので、実務に生かす必要があるでしょう。 2021.03.17 「X v. 小野薬品・Y」 知財高裁令和2年(ネ)10052 元大学院生が、小野薬品及び本庶氏が共有する抗PD-L1抗体に関する特許権に係る発明の共同発明者であると主張して同特許権の持分の一部移転登録手続等を請求した事件(控訴審判決) https://www.tokkyoteki.com/2021/03/2021-03-17-x-v-ono-y-r2-ne-10052.html オプジーボ特許を巡る共同発明者の争い。知高判令和3年3月17日のポイント https://chizai-faq.com/1_patent/5833 オプジーボ特許紛争と共同発明者─令和3年3月17日知財高裁判決を巡って─ https://www.chosakai.or.jp/intell/contents21/202105/202105_4.pdf 共同発明に係る特許紛争-最近のオプジーボ特許の発明者を巡って- https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/3437 免疫チェックポイント阻害剤に関する6つの「本庶特許」の発明者の認定 https://www.oslaw.org/newsletter/052.pdf 以下、弁護士・高石秀樹の特許チャンネルより引用 東京地判平成29年(ワ)27378<佐藤> オプジーボ 元京大大学院生v.小野薬品、本庶教授 *発明者性否定 https://courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/690/089690_hanrei.pdf 知財高判令和2年(ネ)10052 *発明者性否定(一審とメルクマールは異なる) 「創作的な関与」に当たるものと認められないときは,発明者に該当しない https://courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/178/090178_hanrei.pdf 特許法2条1項は,「発明」とは,「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」をいうと規定し,同法70条1項は,「特許発明の技術的範囲は,願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない。」と規定している。これらの規定によれば,特許発明の「発明者」といえるためには,特許請求の範囲の記載によって具体化された特許発明の技術的思想(技術的課題及びその解決手段)を着想し,又は,その着想を具体化することに創作的に関与したことを要するものと解するのが相当であり,その具体化に至る過程の個々の実験の遂行に研究者として現実に関与した者であっても,その関与が,特許発明の技術的思想との関係において,創作的な関与に当たるものと認められないときは,発明者に該当するものということはできない。
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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