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​よろず知財コンサルティングのブログ

帝人グループの知的財産戦略

28/10/2020

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帝人の⾧期ビジョン:は、3つのソリューションで「未来の社会を支える会社」に、です。
 3つのソリューションは、「環境価値ソリューション(マテリアル・IT)」「安心・安全・防災ソリューション(マテリアル・IT・繊維製品)」「少子高齢化・健康志向ソリューション(繊維製品・ヘルスケア・IT)」で、「3つのソリューション」に全投資額の85%を投入(設備投資・投融資)し、「3つのソリューション」売上高比率を2030年度までに75%へと計画しています。
 マテリアル事業領域では、高機能素材とマルチマテリアル化による高付加価値用途へ、展開を加速、複合材料を使用した自動車向け部品では北米最大の「Tier1」メーカーとして自動車向け複合成形材料、航空機向け炭素繊維中間材料、アラミド、樹脂に注力しています。
 ヘルスケア事業領域では、既存事業で培った強みを活かし、リハビリ/介護や予防/健康増進領域を含む地域密着型総合ヘルスケアサービス事業を展開、画期的なヘルスケアサービス・製品の創出を目指し、うつ病治療機器「ニューロスター」や、歩行神経筋電気刺激装置「ウォークエイド」、上肢麻痺のリハビリロボット「ReoGo-J」、機能性食品事業の拡大、地域包括ケアシステム関連新事業の創出を進め、医薬・在宅医療事業の組織変革による基盤強化や新薬上市により、主力薬の後発品参入影響(「フェブリク」クリフ)を最小化をはかっています。
​ 特に、「フェブリク」クリフによる落ち込みを、新事業の拡大と医薬・在宅医療事業の生産性向上とコスト構造改革でカバーできるかどうかが重要になっているようです。国内における物質特許が2016年に満了し、結晶特許の⼀部請求項の無効が確定したため、ジェネリックが、2022年には承認・販売されると想定され、それを前提に事業展開が進められていますが、⽤途特許が残っており、この特許をどう生かすかが帝人グループの知財部の腕の見せ所になっているようです。
 
 自動車などの軽量化に寄与する技術開発のための産学共同のオープンイノベーションプログラム「AZLパートナーネットワーク」に参画、自社の事業展開にAIを活用することにより将来の人々のQOL向上に貢献することを目指し株式会社フローディアに出資、フランスのSafran S.A. との間で航空機の部品に使用される高機能複合材料の供給に関する契約を締結など、次々と事業展開がオープンになってきています。
 帝人グループの知的財産戦略では、詳細な事業環境分析の結果に基づいて、事業のコンピテンシーとなり得るコアを特定し、知的財産権を戦略的に取得することで、競争優位性を確保するための強固な知財ポートフォリオを構築しており、事業戦略の立案に係る知財情報の解析においては、IPランドスケープ等の手法も取り入れ、ICTツールを駆使して特許情報のみならず非特許情報をもとに技術動向や競争優位性を解析し、その結果を事業上の意思決定に役立てる取り組みを実施しているということですので、その成功例が姿を見せる日も近いと思っています。
 
帝人グループは、ドイツ・アーヘン工科大学の関連組織であるAZLアーヘンGmbH
主催による、自動車などの軽量化に寄与する技術開発のための産学共同のオープンイノ
ベーションプログラム「AZLパートナーネットワーク」に参画することとしました。
「AZLパートナーネットワーク」には、現在、各国から約 90 機関が加盟しており、
熱硬化性・熱可塑性複合成形材料などの高機能材料のエキスパートが集結しています。
その中で帝人グループは、当ネットワークが 10 月 22 日に開始する、電気自動車(EV)
用のバッテリーボックスの開発・製造に向けた 8 か月間のプロジェクトなどに参画します。
当社は、こうした変化に対応するため、2017 年に米国の Continental Structural
Plastics 社(以下「CSP社」)を買収し、以来、グローバル Tier1 サプライヤーとして
自動車向け複合成形材料事業を展開しています。また、CSP社のフランス現地法人
であるCSPヨーロッパでのSMC(*)工場新設、ポルトガルの Inapal Plasticos 社
(イナパル社)やチェコの Benet Automotive 社(ベネット社)の買収など、複合成形
材料事業の拡大を推進しており、昨年には、衝突規制に適合しながら、従来のスチール
ドアに比べて全体の重量を削減したマルチマテリアルドアモジュールを開発しました。
さらに本年 2 月には、ドイツに次世代自動車開発に向けた市場開拓および技術調査を
担うテイジン・オートモーティブ・センター・ヨーロッパ(TACE)を設立し、長年に
わたり培ってきた炭素繊維やアラミドなどの高機能素材に関する技術や知見に基づき、
新たなアイデアを活用したマルチマテリアルでの提案力強化を図っています。

軽量化技術に関するグローバルプロジェクトに参画
https://www.teijin.co.jp/news/2020/10/22/20201022_01.pdf
 
 
帝人株式会社(本社:大阪市北区、社長:鈴木 純)は、自社の事業展開にAIを活用
することにより、将来の人々のQOL向上に貢献することを目指し、このたび、株式会社
フローディア(本社:東京都小平市、社長:奥山 幸祐)に出資しました。
フローディアは、近年加速しているエッジコンピューティング(*1)への活用が可能で、
AIによるビッグデータの効率的な処理に不可欠な不揮発性メモリ(*2)の設計、開発、
販売、コンサルティングを手掛けており、このたびの出資に伴い、当社より 1 名が同社
取締役に就任するとともに、関連技術の取得に向けて、当社より技術者 1 名を派遣する
こととしました
 
AIとマテリアルの融合により未来の社会を支える会社へ 株式会社フローディアへの出資について
https://www.teijin.co.jp/news/2020/10/26/20201026_01.pdf
 
 
帝人株式会社(本社:大阪市北区、社長:鈴木 純)は、フランスのSafran S.A.
(本社:フランス・パリ市、CEO:Philippe Petitcolin、以下「サフラン社」)
との間で、航空機の部品に使用される高機能複合材料の供給に関する契約を締結しました。
サフラン社は、航空・宇宙、防衛に関連する事業を展開する複合企業体で、中でも
航空機向けの部品製造については、エンジンや降着装置、内装品など、品質の高い装備品
を製造・販売しており、航空機業界において高いプレゼンスを誇っています。
帝人は、これまで 25 年にわたりサフラン社に高機能素材の供給を行ってきましたが、
このたびの契約締結により、次世代航空機用の高機能素材の供給をさらに強化すると
ともに、高機能複合材料の供給を開始します。当社は、航空機市場の諸課題に対して
ソリューションを提供すべく、サフラン社と協力・連携し、生産コスト改善や環境負荷
低減に貢献する技術を開発していく予定です。
なお、本契約の締結後、帝人がサフラン社に供給する最初の材料の一部は、帝人グループ
において高耐熱熱硬化プリプレグを製造・販売する米国・レネゲード社で製造します。
帝人は、2019 年のレネゲード社の買収や、米国サウスカロライナ州での新しい炭素繊維
製造拠点の建設など事業拡大策に取り組んでおり、今年度からの中期経営計画では、航空
機向け炭素繊維中間材料の展開を「将来の収益源育成(Strategic Focus)」と位置づけ
ています。当社は、これからも欧州・米国のグループ会社と連携し、グローバル市場にお
いて、川上から川下に至るまで幅広く用途開発を推進していきます。そして、航空機向け
炭素繊維製品のマーケットリーダーとして、ソリューション提案力を一層強化し、2030
年近傍までに航空機用途で年間 900 百万米ドル超の売上を目指します。
 
仏サフラン社と高機能複合材料の供給契約を締結
https://www.teijin.co.jp/news/2020/10/27/20201027_01.pdf
 
 
 帝人グループの知的財産戦略では、詳細な事業環境分析の結果に基づいて、事業のコンピテンシーとなり得るコアを特定し、知的財産権を戦略的に取得することで、競争優位性を確保するための強固な知財ポートフォリオを構築しています。事業戦略の立案に係る知財情報の解析においては、IPランドスケープ等の手法も取り入れ、ICTツールを駆使して特許情報のみならず非特許情報をもとに技術動向や競争優位性を解析し、その結果を事業上の意思決定に役立てる取り組みを実施しています。
 
帝人株式会社 統合報告書2020年
https://ssl4.eir-parts.net/doc/3401/ir_material_for_fiscal_ym1/86665/00.pdf
 
 
帝人グループ・ヘルスケア事業にとっての最大の経営課題は、主力薬である高尿酸血症・痛風治療剤フェブリク®(一般名: フェブキソスタット)の後発品参入の影響を最小化すること、すなわち、フェブリク・パテントクリフによる売上収益の落ち込みを、新事業の拡大、医薬・在宅医療事業の生産性向上とコスト構造改革でカバーすることです。
2022年に想定されるフェブリク・パテントクリフによる売上収益の落ち込みがヘルスケア事業に大きなインパクトを与えると想像できます。国内におけるフェブリク®の物質特許は2016年に満了、結晶特許も一部請求項の無効が確定したため、フェブリク®のジェネリックが、再審査期間終了(2021年1月20日)後には申請、2022年には承認・販売されると想定されます。現在、フェブリク®の効能・効果のうち、「がん化学療法に伴う高尿酸血症」を保護すると思われる用途特許5907396に対して沢井製薬が無効審判を請求しています(無効2020-800008)。また、2020年4月28日に、同特許に対して別の無効審判が請求されました(無効2020-800044)。帝人としては、この効能・効果についてはジェネリックに承認を与えないために無効審判を戦うことになると思われます。
フェブリク・クリフによる落ち込みを新事業の拡大と医薬・在宅医療事業の生産性向上とコスト構造改革でカバーする、具体的には、既存事業で培った強みを活かし、リハビリ/介護や予防/健康増進領域を含む地域密着型総合ヘルスケアサービス事業を展開するとしています(中期経営計画 2020-2022―ALWAYS EVOLVING―説明資料)。上記の通り、事業展開の方向性は医薬品中心ではありませんが、中期経営計画期間中に上市を見込む新薬として、A型ボツリヌス毒素製剤NT-201、骨粗鬆症治療剤ITM-058(アバロパラチド酢酸塩)
が挙げられています。
例えば、自立支援のための医療技術・サービスの提供への事業展開においては、歩行神経筋電気刺激装置や上肢麻痺のリハビリロボットをNT-201等と合わせ、脳卒中発症から予後までの総合ソリューションを提供することが次世代成長領域として描かれています。
帝⼈・ヘルスケア(医薬品)事業の知的財産活動の景⾊(2020) | 「医薬系 "特許的" 判例」ブログ、2020.05.24
https://www.tokkyoteki.com/2020/05/teijin-2020.html
 
日立製作所との協創により新素材の研究開発でDX推進へ
https://www.teijin.co.jp/news/2020/07/20/20200720_01.pdf
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