荒川化学は、松やにを蒸留・精製して作るロジンの化合物を中心とした製紙用薬品、合成樹脂類等の製造を行う化学メーカーで、売上高 は79,431百万円(2023年3月期) 。
荒川化学グループの知財活動は、HP、統合報告書(サスティナビリティレポート2023)、知財管理誌に書かれており、『研究開発活動の方針・戦略との連動を常に重視しながら、つなぐを化学する「SPECIALITY CHEMICAL PARTNER」のビジョンのもと、新製品の保護と特許網の構築、新規開発テーマからの発明発掘の推進を基本方針に掲げ、現在および将来の事業に貢献し得る知財の創出を目指しています。』 基本的な活動をしっかり行うことに加え、『最近,新規テーマ探索が活発化し,当グループも探索プロジェクトに積極的に関わっていくことが求められています。単なる調査支援のみならず,開発テーマ提案につなげるべく,我々が有する調査・分析,知財化のスキルを一層活用し,これらに貢献する取組みを模索しています。』としていますので、今後に期待できそうです。 知的財産活動の取り組み https://www.arakawachem.co.jp/jp/csr/ip.html 基本方針 荒川化学グループの知財活動は、研究開発活動の方針・戦略との連動を常に重視しながら、つなぐを化学する「SPECIALITY CHEMICAL PARTNER」のビジョンのもと、新製品の保護と特許網の構築、新規開発テーマからの発明発掘の推進を基本方針に掲げ、現在および将来の事業に貢献し得る知財の創出を目指しています。 知的財産活動の推進体制 研究開発を統轄する研究開発本部の開発推進部に知財・情報グループが所属しており、知財の創出、保護、管理・活用を担当しています。研究開発・事業の状況を常に把握しながら、適時に調査を行い、迅速に発明発掘につなげる体制で業務を行っています。特許業務が中心ですが、商標、技術契約などの知財業務全般についても本社の法務部門と連携し、対応しています。また、当社グループの各事業の戦略にも連動して取り組んでおり、少なくとも年に1度は経営層に対して知財活動の報告・議論をおこない、知財ガバナンスの強化を図っております。 開発・事業に連動した特許ポートフォリオの構築 当社の事業は、伝統的な製紙用薬品、粘着・接着剤、インキ・塗料分野から、変化の激しい電子材料などへと軸足をシフトしてきました。これにより、製品は短ライフサイクル化し、研究開発の現場では、より顧客の要望を的確にキャッチし、スピーディに応えていくことが求められています。また、事業の海外展開が進展し、外国における特許取得の重要性が一層高まり、多数国への出願が増加しています。こうした変化に伴い、特許業務においても開発テーマの進捗を確りフォローしながら発明をいち早くキャッチ、迅速に新製品をカバーする出願を行うことに重点をおいています。一方、その後の開発や事業の進展状況、費用対効果を踏まえながら、必要な出願や特許を維持し、不要なものは早期に処分して、常に研究開発・事業状況に連動した国内・外国の特許ポートフォリオの構築を目指しています。 特許リスクマネジメント 当社は、他社の知的財産を尊重し、係争を未然に回避すべく、他社特許対策に取り組んでいます。定期的に各部門別へ特許情報を提供(SDI配信)し、関係部門によるチェック、対策ミーティングまでルーティン化し、早期発見、早期対策の体制を整えています。また、開発テーマ立案、事業化、製品の処方変更など各節目においても特許クリアランス調査をおこない、問題ないことを確認しています。さらに、当社製品だけでなく、展開先の事業領域を見極めながら他社特許対策を講じる場合もあり、さまざまな観点から特許侵害リスクを低減する取り組みにも注力しています。 知財情報の活用と促進 特許出願の際に必要となる先行調査、特許クリアランス調査など、研究開発に必要な調査は、専門スキルを有する調査員が担当し、信頼性を確保しています。また、日常の調査は研究員自らができるようOJTを通して調査スキル習得を図っています。また、開発テーマ探索には技術・市場の動向調査が欠かせません。調査員は、社内の探索活動に積極的に関わり、マクロ分析や特許マップの作成などにより研究開発活動全体をサポートしています。 社内の教育活動〜知財マインド/スキルの向上〜 研究員の知財マインド、知財リテラシーの習得は、知財業務を成り立たせる基盤であり、研究員の教育は極めて重要といえます。不正競争防止法や秘密情報の管理なども含め基礎的な知識習得の機会として階層別の研修を毎年開催していますが、開発現場に近い利点を活かし、出願や他社特許対策などの個別案件でのOJT教育を最も重視しています。 座学のみでは教えることが難しいノウハウや一般化できない事柄など、知財の実務能力の向上にも努めております。 2023年6月23日 コーポレート・ガバナンス報告書 https://www.arakawachem.co.jp/jp/ir/cgr20230623.pdf 補充3-1(3) サステナビリティについての取り組み等】 当社は、荒川化学グループの中長期的な企業価値向上に向け、ESG(Environment/ 環境、Social/ 社会、Governance/企業統治)が非常に重要であるとの認識のもと 、「サスティナビリティ委員会」を設置し、KIZUNA経営の推進と優先的なマテリアリティにもとづくKIZUNA指標それぞれの目標値を設定し、具体的な取り組みを進めております。CO2排出量削減率、サスティナビリティ製品の連結売上高指数以外にもTCFD提言に基づき気候変動に対する各リスク項目についてのリスクと機会と当社グループの対応などについて開示しております。また、人的資本や知的財産についても積極的に開示するよう取り組んでいます。 取り組みの詳細については、当社ウェブサイト(サスティナビリティレポート2023 P.5-6,17、21-24、37-44)に掲載しておりますのでご参照ください。 https://www.arakawachem.co.jp/jp/csr/report/ サスティナビリティレポート2023 https://www.arakawachem.co.jp/jp/csr/2023susreport.pdf P.6 特許保有件数 海外 国内2018 2019 2020 2021 2022 P.17知的財産活動 当社の知財活動は、研究開発に連動させ、その成果を早期に漏れなく把握し、ノウハウを秘匿すべきものを除き、積極的な特許出願、特許の取得を進めています。 特に、近年の海外事業の進展を踏まえ、現在または将来の事業領域となる国に集中した外国特許の取得を強化し、国内外において事業の優位に貢献する特許網の構築を目指します。 一方、他社特許の侵害等を回避すべく、障害となる他社特許を早期に把握し、対策を講じることにより特許リスクを低減する取り組みにも注力しています。 わが社の知財活動〔荒川化学工業株式会社〕知財管理 2023年8月号 1022頁 https://www.jipa.or.jp/kikansi/chizaikanri/mokuji/mokuji2308.html
①新製品の保護と特許網の構築, ②新規開発テーマからの発明発掘の推進 を基本方針に掲げ,現在および将来の事業に貢献し得る知財の創出を目指しています。
(2) 特許出願業務 (3) 他社特許対策 (4) 情報・調査(情報発信) (5) 社内の教育活動
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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