特許庁審判部では、平成18年度(2006年度)から、産業界、弁理士、弁護士及び審判官という各々立場の異なる審判実務関係者が一堂に会して審決や判決についての研究を行う「審判実務者研究会」(当初は「進歩性検討会」)を開催していますが、2020年度の研究会の報告書がアップされました。
審判実務者研究会報告書2020の公表について https://www.jpo.go.jp/system/trial_appeal/info-sinposei_kentoukai2020.html 平成28年度(2016年度)からは、知的財産高等裁判所及び東京地方裁判所の裁判官にオブザーバーとして参加されており、特許庁における審査、審判と裁判所における判断の間の乖離が少なくなってきている一つの要因になっているかもしれないと思っています。 2020年度は、すべてWEBで研究会が開催されたとのことですが、特許機械,特許化学1,特許化学2,特許電気,意匠及び商標の6分野に分かれ、分野ごとに、2事例ずつ、具体的な事件を参考又は題材にして,特許庁及び知的財産高等裁判所における判断等について研究を行った(特許化学1:化学一般,食品,特許化学2:医薬,バイオ)とのこと。 第1事例は、明確性要件、新規事項、サポート要件、意匠の類否判断手法、形状等に関する表現、色彩のみからなる商標など、ここ数年の審決及び判決において争点となった論点が取り上げられています。 特許では、進歩性が争点となった案件(多成分物質の計量及び混合装置、豆乳発酵飲料及びその製造方法、選択された炭酸ランタン水和物を含有する医薬組成物、情報提供方法,情報提供プログラム,および情報提供システム)、意匠では、類否,創作非容易性が争点になった案件(検査用照明器具)、商標では、他の登録商標との類否が争点になった案件が取り上げられています。 2006年度から続いている研究会ですが、私も2010年~2012年の3回参加させていただき、非常に勉強になった記憶があります。過去分も含めぜひご一読されることをお勧めします。 過去の研究会報告書はこちら https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/kenkyukai/sinposei_kentoukai.html
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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