11月22日に開かれた「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」(第 15 回)の事務局資料では、投資家・企業の思考構造のギャップとして、以下の5点が主にあげています。
1.投資家の多様性への理解企業は「投資家」を一つのカテゴリ(例:部と接触するセルサイドアナリスト等)を中心においている。 投資家は多様性があり、投資の時間軸や戦略等により注目する情報は多種多様。個社レベルに限らず、「業種レベル」の競争力の説明等も求められうる。 2.サスティナビリティの取組への期待(企業は)企業としての社会的責任に関する活動(例:自社の脱炭素目標等)、主に「リスク」を中心とみなす。 (投資家は)サスティナビリティは将来の事業機会であり、主に知財・無形資産投資も含めた「機会」としてみなす。 3.知財・無形資産の説明の視座(企業は)資源(研究開発等)・ビジネスモデル(事業)・価値(顧客視点)のそれぞれが「強い」ことを説明。 (投資家は)知財・無形資産は、企業のパーパス・全体戦略やビジネスモデルや企業価値・顧客価値と「つながり(因果パス)」をもって価値が生じるという大前提。 4.知財・無形資産と財務との関係性(企業は)「優れた知財・無形資産」を説明しており、その戦略結果としての将来的な財務上のインパクト等を提示しない。 (投資家は)将来のビジネスモデル等の仮説に基づき、現在の知財・無形資産投資が、いつ・どの程度の財務上のインパクト(売上・利益等)をもたらすのかを把握したい。 5.知財・無形資産への説明の時間軸(仮説自体のずれ) 企業は「投資家は「現在」の企業価値の構成要素として知財・無形資産を知りたい」と考えているという仮説を持ち、説明。 投資家は「将来」の企業価値の構成要素として知財・無形資産を知りたい。 企業と投資家の相互理解、とりわけ、企業が投資家のことをより深く理解することが、知財・無形資産投資・活用に関するギャップの解消につながるでしょう。 「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」(第 15 回) 令和4年11月22日(水)9:00~11:00 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/dai15/siryou1.pdf 事務局説明資料 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/dai15/siryou3.pdf 今後の検討の進め方(現時点の見込み) 第16回(12月5日) 大企業からの経営アセット提供、中小・スタートアップ事例等について 第17回(12月19日) 企業と投資家の思考構造のギャップについて② 知財・無形資産の投資・活用促進メカニズム全体について 第18回(1月17日) ガイドラインの改訂骨子案 第19回(2月14日) ガイドラインの改訂案(⇒パブリックコメント) 普及促進の取組みについて 第20回(3月中旬(P)) ガイドラインの改訂案(パブリックコメント後)
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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