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令和4年(ネ)第10046号事件 知財高裁でのドワンゴ逆転勝訴

30/5/2023

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知財高裁でのドワンゴ逆転勝訴、属地主義の原則は維持しつつ一定の条件下において緩やかに侵害を認める判断として歓迎されているようで、予見できる明確な基準が次の課題のようです。
令和4年(ネ)第10046号事件は、ドワンゴ社が、FC2社とホームページシステム社に対してコメント配信システムの特許権を侵害しているとして差止めと10億円の損害賠償を求めたもので、サーバとネットワークを介して接続された複数の端末装置を備えるシステムの発明に関する特許権侵害の争点となったものです。具体的には、そのサーバが日本国外に存在し、ユーザ端末が日本国内に存在するシステムを新たに作り出す行為が、「生産」に該当し、それが特許権を侵害するか否かが問われました。
原審(東京地裁)では、属地主義の原則に基づき被告システムの直接侵害は認められずドワンゴ社の請求はすべて棄却されました。しかし、日本弁理士会や日本国際知的財産保護協会(AIPPI)などの意見は、条件付きで域外適用を肯定する方向性を示しています。特にAIPPIは、国際調和の観点から、被告システムの生産が日本の領域内で行われたものとして評価し得るとの立場をとっていました。
控訴審(知財高裁大合議)ではFC2社に対する一部の請求が認容されました。すなわち、控訴審では、FC2社が日本国外にあるサーバから日本国内にあるユーザ端末にファイルを配信することで、コメント配信システムを新たに作り出す行為が、特許法2条3項1号の「生産」に該当し、特許権を侵害すると判断され、FC2社にコメント機能の配信差し止めと1100万円余りの賠償を命じました。特に、システムが日本領域内から制御され、サービスが日本の顧客に向けられているという事実が重要視されました。
この判断には、令和3年の特許法改正で導入された第三者意見募集制度が初めて適用され、多数の意見書が提出されたこと(寄せられた意見のうち計45通が証拠として提出されたとのこと)が影響したと考えられます。
ドワンゴ社は26日付でリリースを発表し、「知財高裁が大合議で、サーバを国外に置くことにより容易に特許権を潜脱することを認めず、我が国の特許権を適切に保護すべき旨を示したものであり、画期的な判決であると考えている」としています。
この問題は、海外クラウドサーバを使用したWeb2.0だけでなく、ブロックチェーン技術を用いたWeb3.0関連特許に対しても影響を与える可能性があります。特に、ブロックチェーンではノード端末が世界中に分散しているため、Web3関連の発明は大きな影響を受ける可能性が指摘されています。
 
 
令和4年(ネ)第10046号 判決要旨
https://www.ip.courts.go.jp/vc-files/ip/2023/R4ne10046.pdf
 
ネット時代「抜け道」塞ぐ ドワンゴ逆転勝訴、知財高裁
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE159UW0V10C23A5000000/
 
ドワンゴ事件-大合議判決(域外適用を認めた画期的な判決)
https://ipstart.jp/grand-panel-decision-on-dwango-case/
 
FC2等に対する特許権侵害訴訟の控訴審大合議判決に関するお知らせ
2023.05.26 株式会社ドワンゴ
https://dwango.co.jp/news/6282152199061504/
 
 
国境を跨ぐ行為が「生産」に当たると判断された事案の「判決要旨」 ― 知財高大判令和5年5月26日(令和4年(ネ)第10046号) 2023-05-28
https://patent-law.hatenablog.com/entry/2023/05/28/110845
はじめに
知財高大判令和5年5月26日(令和4年(ネ)第10046号)[コメント配信システム]につき、判決言渡日当日、知財高裁ウェブページにおいて「判決要旨」が掲載された一方、判決文については現時点(2023年5月28日)では掲載されていない。
本判決について多数の報道がなされてはいるが、「判決要旨」を読むと多くの疑問が沸く。(いずれ掲載されるであろう)判決文を見れば解決する疑問もあるだろうし、そもそも便宜的に用意された「判決要旨」を細かく分析することに意味はないかも知れないが、私個人の備忘録として、これら疑問を記すのが本稿の目的である。

 
 

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