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生成AIとの「壁打ち」で、新たな発明を創出する方法

第3章:生成AIとの壁打ちの進め方(基礎編)

31/3/2025

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第3章:生成AIとの壁打ちの進め方(基礎編)
1. AIへのプロンプトの作法
1-1. 具体例:アイデア発想のために有効なプロンプト設計
前章までで「壁打ち」自体の重要性や、人間同士の議論と生成AIとの対話の違いなどを概観しました。本章では、いよいよ「具体的にどうやってAIに指示を出し、アイデアを引き出すか」に踏み込みます。生成AIを使い慣れていない研究者や技術者にとっては、まず「プロンプトの書き方」が大きなハードルとなることが少なくありません。
生成AIは、入力(プロンプト)によって応答の品質や方向性が大きく左右されます。特に、アイデア発想や新規提案を求める際には、以下のようなポイントを押さえたプロンプト設計が有効です。
  1. コンテクストの提供
    AIは人間の脳内コンテクストを直接読み取れません。したがって、どんな背景・前提条件があるかを明示する必要があります。たとえば、「バッテリー開発においてエネルギー密度の向上が課題であり、コストと安全性を両立させたい」というように、最低限の背景情報を簡潔に伝えます。
    • 例: あなたはバッテリー技術の専門家です。現在、電気自動車用のバッテリーでエネルギー密度を向上させたいと考えています。ただし、安全性とコストの両面で顧客の要望に応えなければなりません。どのような新しいアプローチが考えられるでしょうか?
  2. 目的と期待するアウトプットを明確にする
    「どんな視点のアイデアが欲しいのか」「提案形式はどうしてほしいのか」を具体的に伝えると、AIの出力がより使えるものになります。
    • 例: 5つのアイデアを箇条書きで提案してください。各アイデアについて、実現可能性の評価も簡単に述べてください。
  3. 「発散的思考」を促すためのキーワードやトーン設定
    アイデア出しをする際には、あえて「通常の制約を少し無視して」考えさせることがあります。AIに対し、「大胆な発想も歓迎する」「コスト面はいったん二の次で考える」などと伝えておけば、より斬新な提案が出てきやすくなります。
    • 例: 今は制約を気にせず、斬新なアイデアを歓迎します。少し突飛な発想や実現可能性が低そうなアイデアでも構いませんので、自由に提案してください。
  4. 必要があれば追加のヒントや前提知識を提示する
    AIをいきなりホワイトボード状態で使うのではなく、関連する論文の要約や既存の技術動向などを簡単に述べてからアイデアを促すと、より的確な回答が得られやすくなります。
    • 例: 現在、リチウム硫黄電池に関する研究が進んでいます。最大の課題は硫黄極の体積変化と電解液との反応による寿命短縮です。この問題を克服するために、どんな新素材や構造設計が考えられるでしょうか?
こうしたプロンプトの工夫によって、AIは背景や目指すゴールを理解(あるいは擬似的に理解)しやすくなり、ユーザーにとって有益なアイデアや発想を提示してくれる可能性が高まります。
1-2. 生成結果を評価・フィードバックするやり方
プロンプトを工夫すると、AIからさまざまなアイデアや情報が返ってきます。しかし、生成された結果が常に正確・有用であるとは限りません。むしろ、誤情報や「それらしく見えるが現実味の薄い」回答が混ざっていることもしばしばあります。したがって、研究者・技術者としては、AIの応答を以下の観点で評価・フィードバックするプロセスを回すことが重要です。
  1. 内容の妥当性・整合性のチェック
    「このアイデアは既存の学術的知見や特許情報と照らしてどうか?」「常識的に考えて矛盾や無理はないか?」などを確認します。明らかにおかしな点があれば、追加プロンプトで「あなたの回答のこの部分について、理由や根拠を教えてください」と尋ねると良いでしょう。
  2. どの程度アイデアが“実装可能”かを検討
    たとえ面白い提案であっても、短期的には実行が難しい場合もあります。一方で、長期的な研究視点では価値があるかもしれません。AIが生成したアイデアを、「短期的に実現可能」「中期的に可能性あり」「長期的研究に値する」などと分類してレビューすると、議論の整理につながります。
  3. 欠落している視点や要素を指摘する
    AIの回答に対し、「もう少しコスト面や環境負荷に配慮した案が欲しい」「この案では規制面が不明瞭なので追加検討が必要」といったフィードバックを行うと、次のプロンプトでより方向性を絞った回答が期待できます。
  4. 積極的に再質問・追加指示を与える
    AIに対して「なるほど、ではこのアイデアを実行するためのステップを具体的に考えてみてください」と続けることで、深掘りした議論が進みます。あるいは「競合他社製品との比較観点も提示してほしい」と指示すると、新たな切り口からの回答が返ってくる場合があります。
このように、「AIから出力を得て終わり」ではなく、評価→フィードバック→追加プロンプト→再評価といった循環を回すことで、生成AIの提案を磨いていくことができます。これは「人間同士の壁打ち」と同じく、相手(AI)からの意見を受けて議論を深めるプロセスそのものといえるでしょう。
1-3. 連続的なプロンプト改善のヒント
生成AIとのやり取りでは、最初のプロンプトが必ずしも完璧である必要はありません。むしろ、やり取りを重ねながらプロンプトを徐々に改善していくアプローチが自然です。以下は連続的にプロンプトをブラッシュアップするためのヒントです。
  1. 回答に不満がある場合は“その理由”を考える
    「なぜAIはこういう答え方をしたのか?」「背景情報が足りなかったのか、それとも指示が曖昧だったのか?」を振り返ると、次に修正すべきポイントが見えてきます。
  2. 抽象度をコントロールする
    回答が漠然としている場合は、より具体的な例を求めたり、数値目標を設定するなどしてプロンプトを詳細化します。一方、回答が狭すぎる場合は、「もう少し広い観点で」「制約を緩めて」などの指示を追加して発散を促します。
  3. 回答を要約させる
    AIから長文の回答が返ってきたときは、「300文字以内で要約してください」「箇条書きで主要項目をまとめてください」と依頼すると、要点が整理された形でもう一度確認できます。それを踏まえて新たな疑問を生み出し、次のプロンプトを洗練させることができます。
  4. 「エラー」を有効活用する
    AIが明らかに間違った回答や不十分な回答をしてきたら、その場で「ここがおかしい」「この論点が抜けている」という指摘を行います。すると、AIが別の角度から回答を試みたり、追加の根拠を提示したりするかもしれません。ここでのポイントは、「AIの誤り」を無駄にせず、議論のタネとして活かすことです。
こうした「プロンプト→回答→修正→再回答」の反復サイクルを意識するだけでも、生成AIとの対話の質は大きく向上します。最初から完璧なプロンプトを目指す必要はなく、あくまで対話しながら“壁打ち”を続けることが重要です。
 
2. アイデア創出の実践ステップ
2-1. 問題設定・背景情報の入力
生成AIとの壁打ちでアイデアを効率的に引き出すためには、最初に問題設定や背景情報をしっかり入力することが欠かせません。これは前節で説明した「コンテクストの提供」と重なる部分でもありますが、ここではもう少し体系的なステップとして整理してみましょう。
  1. 問題の定義
    • どんな課題を解決したいのか?
    • その課題が生まれる背景や理由は何か?
    • 既存の解決策にはどんな限界があるのか?
  2. ターゲットや用途の明示
    • 技術開発の場合:想定される利用シーンやユーザー層は?
    • 新規事業の場合:どのマーケットを狙い、どんな価値を提供したいのか?
  3. 既存情報や研究成果の要約
    • 関連文献や先行事例のポイントを簡潔にまとめる。
    • すでに試したアプローチや失敗事例があれば、それも提示する。
問題設定が曖昧なままAIに「面白いアイデアを出して」と言っても、AIは広大な情報空間をさまよった末に、的外れな回答を返すかもしれません。反対に、制約を厳しくしすぎると発想が広がらず、未来志向の新しい提案が得にくくなります。「どの程度の広さで問題設定をするか」はケースバイケースで調整が必要ですが、大枠をはずさないよう意識するだけでも壁打ちの効果は大きく変わります。
2-2. キーワード抽出や関連情報の洗い出し
問題設定を行ったら、次に行いたいのがキーワード抽出や関連情報の洗い出しです。これは、ブレインストーミングの初期段階によく行われる工程であり、AIとの壁打ちでも有効に機能します。
  • キーワード抽出
    問題設定の文章や関連文献の要約をAIに与え、「重要なキーワードを5〜10個抽出して」と指示すると、AIがテキストを解析して主要なトピックをピックアップしてくれます。さらに「そのキーワードに関連するサブキーワードも挙げてほしい」と追加で依頼すれば、アイデアのヒントとなる単語群が得られるでしょう。
  • 関連情報の洗い出し
    特許データベースや学術論文などのリンクをAIに提示して、「この分野で新しい論文や特許はどのような傾向があるか?」と尋ねることで、先行研究や競合技術を俯瞰できます。もっとも、AIが返す情報の正確性には注意が必要なので、最終的な確認は必ず人間が行うことが大切です。誤った文献情報やデタラメな特許番号を提示してくる可能性もあるからです。
  • 異分野の事例やアナロジーを探す
    イノベーションでは、異分野の技術やビジネスモデルを借用する「アナロジー思考」がしばしば有効です。AIに「他の業界・他の技術分野で似たような課題解決が行われていないか?」と尋ねると、意外な組み合わせの着想が得られるかもしれません。
このステップを踏むことで、アイデアの“種”となるキーワードやヒントが一通り揃います。人間がその中から「これは面白そう」「ここは比較検討が必要」と目星をつけ、次の工程へ進むわけです。
2-3. アイデアのバリエーション生成
キーワードや背景情報が整理できたら、いよいよ本格的にアイデアのバリエーションを生成していきます。ここでの主役はAIとの壁打ちと言えるでしょう。具体的には以下のようなやり方が効果的です。
  1. 「発散してほしい」旨を明示する
    AIに対して「制約を一時的に緩めて、より自由な発想を出してほしい」と明言します。あわせて「異なる視点や技術アプローチを少なくとも3種類は提案して」などと具体的に指示するのも有効です。
  2. プロンプトで出力形式を指定する
    「それぞれのアイデアについて、想定メリット・デメリット・実装上のリスクを簡単にまとめてください」と依頼すると、後から比較しやすくなります。必要に応じて、表形式での提示を求めることも可能です。
  3. 複数回のトライアルを重ねる
    1回目の出力に満足できなくても、「もっと大胆なアイデアが欲しい」「コスト削減を重視したバリエーションも欲しい」と追加プロンプトを与え、複数回の生成を行いましょう。そうすると、AIが異なる観点や根拠を添えて提案してくれることがあります。
  4. 「フェーズ別」アイデア出し
    短期的に実現可能なアイデア、中期的に研究開発が必要なアイデア、長期的・理想追求型のアイデアなど、フェーズ別に生成してもらう方法もあります。フェーズを分けて考えることで、すぐに使える案と夢のある案をバランスよく収集できます。
この段階では、とにかく量を稼ぐ発散モードを意識し、良し悪しの判断は後回しにするのがコツです。AIならば疲労を気にせず何回でも回答を生成してくれるので、気になる方向性があれば遠慮なく試してみましょう。
2-4. AI提案を人間が評価し、新たな着想を得る
AIから出力された数々のバリエーションを、そのまま鵜呑みにしてはいけません。ここで人間ならではの批判的思考や専門知識を活かし、提案をレビューします。ポイントは以下の通りです。
  1. 実現性・新規性を評価する
    提案されたアイデアの中には、すでに特許が取得されていたり、他社が先行していたりするものがあるかもしれません。逆に、あまりにも夢物語すぎて実現困難なものもあるでしょう。
    • 短期的に有望なアイデア
    • 中長期的に研究する価値があるアイデア
    • 一見面白いが実用性が疑問なアイデア
      といった形で仕分けしていくと効率的です。
  2. 一部を組み合わせる
    AIが複数のアイデアを提示した場合、それぞれの長所を掛け合わせたハイブリッド案を人間が考え出すことがあります。AIのアウトプットは必ずしも最終形ではなく、“部品” として活用できる可能性があるのです。
  3. 追加のアイデアをリクエストする
    評価の段階で「この方針はいいが、安全性の観点が不足している」「この新素材は面白いが、コスト面の数字が知りたい」と思ったら、再度AIに追加情報や改良案を尋ねます。こうした再質問→再回答のプロセスを繰り返すことで、アイデアがさらに具体化していきます。
  4. チーム内でシェアして議論
    人間対AIのやり取りだけで終わらず、出てきたアイデアをチーム全体で共有し、意見を募るのも大切です。特に、他のメンバーの専門知識や視点によって、アイデアの評価が大きく変わることがあります。
最終的には、人間が「このアイデアを採用しよう」「こちらは研究テーマとして着手しよう」と決断し、次のステージ(試作・検証・実装など)へと進めることになります。ここまでが「AIを壁打ち相手としてアイデアを創出し、それを人間が評価・統合する」流れの概要です。
 
3. ロールプレイ・メンターロールの活用
3-1. AIに「架空の専門家」や「顧客」役を演じさせる方法
生成AIの面白い使い方として、ロールプレイがあります。AIに対して「あたかも○○な専門家であるかのように振る舞ってほしい」と指示を与えることで、特定の視点や知見を強化した回答を得られるのです。たとえば:
  • 専門家ロール
    「あなたは材料工学の教授であり、特に次世代電池材料に精通しています。私が提示する新素材のアイデアについて、技術的なリスクと解決策を5つ挙げてください。」
    こうすることで、AIが「教授」という立場から専門性の高い意見を優先して提案しようとします。
  • 顧客ロール
    「あなたは電気自動車のユーザーです。高速充電ができないと非常に困ります。今からいくつかのバッテリー改善案をお見せするので、ユーザー目線で評価して、使いたいと思うポイントと使いたくない理由を教えてください。」
    これにより、AIが顧客の立場を想定したフィードバックを生成し、ユーザビリティやUXの観点を補ってくれます。
  • 規制当局ロール
    「あなたは安全認証を担当する政府機関の審査官です。私のバッテリー技術案に対して、必要な認証試験や懸念点をリストアップしてください。」
    こちらは規制や法的側面を想定したチェックリストを生成するのに役立ちます。
このように、「どのような専門家・ステークホルダーになりきってほしいか」を明示すると、AIはそれに合わせた切り口で回答を組み立てる傾向があります。ただし、AIがすべて正しい専門知識を備えているとは限らない点に留意が必要です。特に高度な技術領域や法規制に関しては、AIの回答を参考情報として扱い、必ず実際の専門家や公的情報で裏付けを取ることを忘れないようにしましょう。
3-2. 異業種の視点でのブレインストーミング
ロールプレイの応用として、異業種の視点を取り入れる方法もあります。例えば、バッテリー技術の話をしているのに、AIに「飲食店のオーナー」「航空機整備士」「介護施設の経営者」など全く別の分野の人になりきってもらうことで、新しいアイデアの種を得ることができるかもしれません。
異業種の視点を取り入れるメリットとしては、常識や固定観念を打破しやすい点が挙げられます。実際のところ、ある業界で当たり前とされている手法や考え方が、別の業界では斬新な発明につながる例は少なくありません。AIにロールプレイさせることで、そうした「隣接分野や全く異なる分野の知見」を活用したブレインストーミングを手軽に実施できるわけです。
  • 例:「あなたはミシュラン三つ星レストランのシェフです。私が提案するバッテリー技術について、レストラン経営者として感じるメリットやデメリット、導入への障壁があれば指摘してください。お客様へのサービス品質にどう影響するかも考慮してください。」
この例は一見すると突拍子もない組み合わせに思えますが、実際には「災害時の電力供給」や「店内の環境管理」など思わぬアイデアの接点が浮かび上がるかもしれません。もちろん、得られたアイデアがすぐに使えるわけではありませんが、発散的な思考を刺激するという意味で非常に有効なテクニックです。
 
4. 初期段階での落とし穴と対処法
4-1. リテラルな解釈に終始してしまうリスク
生成AIは、あくまで「言語パターンと文脈」をもとに応答を作り出します。そのため、プロンプトが曖昧だと誤解されたり、逆に厳密すぎるとリテラル(字義通り)の解釈に終始してしまう危険もあります。例えば、「バッテリーの安全性を高める案を出して」という指示だと、AIは「充電過電流を防ぐシステム」といった既知のアイデアしか返さないかもしれません。一方、「とにかく大胆な発想で安全性を高めて」と指示しすぎると、非現実的な空想アイデアばかりが集まるおそれもあります。
対策としては、まず大まかな指示を与えた後、段階的に具体化していく方法が挙げられます。いきなり最終的な答えを求めるよりも、プロンプトを小刻みに変化させながら、少しずつ詳細を詰めていくほうが、AIとの対話のロスが少なくなります。
  • 例:
    1. 「バッテリーの安全性を高める一般的な方法を5つ提示してください。」
    2. 「提案された方法のうち、特に温度管理に関する対策を深掘りして、具体的な実装案を出してください。」
    3. 「実装案のコスト面と耐久性の観点を考慮し、さらに改良する方法があれば提案してください。」
段階的に聞くことで、AIから得られる回答をレビューしながら、必要な方向へ軌道修正していくのです。
4-2. AIの得手不得手に合わせたテーマ設定
生成AIには得意分野と苦手分野があります。たとえば、幅広い一般知識をもとにした「アイデアの発散」「参考事例の列挙」は比較的得意ですが、緻密な数値計算やリアルタイムデータの分析などは苦手とされることが多いです(モデルによってはプラグインや拡張で対応可能な場合もあります)。研究開発の現場では、「どこまでAIに任せられるか」「どこから先は専門家の知見が不可欠か」の線引きを意識することが大切です。
  • 得意領域:
    • キーワード抽出や文章要約
    • 広範な分野のアイデア出し
    • 既存概念や関連事例の紹介
    • テキストベースの議論シミュレーション
  • 苦手領域:
    • 厳密な数学的証明や高度な数理解析
    • 実世界の物理法則や安全基準を完全に反映した提案
    • 最新の研究成果や時事情報(モデル学習時点より新しいデータには弱い)
    • 独自の実験結果や計測データを内在化した評価
したがって、アイデア出しの初期段階において、概念レベルの検討や方向性の模索にAIを活用するのは非常に有効です。一方、実証実験や具体的な数値モデルを詰める段階では、人間が主体的にリードしてAIはドキュメント化や要約、議事録作成のサポート役に回る、といった役割分担が得策でしょう。
 
まとめと次章へのブリッジ
本章では、生成AIとの「壁打ち」を実践する際に押さえておきたい基礎的な進め方を解説しました。プロンプト設計の作法から始まり、アイデアを実際に発散・収束させる手順、ロールプレイを活用して新しい視点を得る方法、そして初期段階で陥りやすい落とし穴とその対処法までを網羅的に紹介しました。
ここで強調したいのは、AIとの壁打ちはあくまで「対話のプロセス」であり、1回の指示や質問で完結しないという点です。人間側が問題設定やプロンプトを調整しながら、何度もフィードバックを重ねていくことで、より質の高いアイデアが得られます。これはまさに、人間同士のブレインストーミングにも通じるアプローチですが、生成AIの利点として「24時間対応」「無制限の反復」「膨大な知識ベース」が挙げられ、これらを上手く使うことで議論が加速するわけです。
次章以降では、もう少し踏み込んだ内容として、発明創出や特許出願など具体的な研究開発のプロセスにおいて、どのように生成AIを組み込み、壁打ちを行いながら成果を高めていくかを解説します。先行技術調査や特許明細書の作成支援などの事例を交えつつ、より実務的な視点での壁打ち活用を紹介していく予定です。
本章で紹介した基礎的なステップを踏まえて、読者の方々が実際にAIと対話をしながらアイデアを生み出す体験を少しでも身近に感じられれば幸いです。今後の章では、「壁打ちの高度化」や「具体的な実践事例」など、さらに踏み込んだ内容をお届けしますので、ぜひ引き続き読み進めてみてください。
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    Author

    萬 秀憲

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    March 2025

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