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​特許の読み方

公開公報を読む(9) 補償金請求権

11/9/2020

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公開公報が発行されることにより、第三者により自己の発明が実施されるリスクが生じます。出願人の不利益(損失)を補填するために、特許法は、補償金請求権制度を定めています。
 
特許権が行使できるのは、特許権が登録されて以降だけ
 
 特許出願を行って特許庁の審査を受け特許権が成立した後は、特許権者のみが特許発明を独占排他的に実施できます。特許権者以外の者が、事業として特許発明を実施すると、特許権侵害になり、特許権者から差止請求(特許法第100条)や、損害賠償請求(民法第709条)を受けることになります。
 しかし、これは、特許権成立して以降の第三者の実施行為に関してだけです。
 第三者が同一の実施行為を特許権が成立する前から継続して行っていても、特許権成立前の実施行為は、差止請求、損害賠償請求の対象になりません。
 
公開公報掲載の発明を第三者が実施するのは不法行為か?
 
 公開公報掲載の発明を第三者が実施しても特許権が登録されるまでは特許権が行使できないのでは、新規で進歩性を有する発明をだれよりも先に公開(特許出願)した者への保護に欠けることになります。
 そこで、出願公開後に自己の発明を第3者に実施された出願人の不利益(損失)を補填するために、特許法は、補償金請求権制度を定めています(特許法第65条)。補償金請求権は、損害賠償請求(民法第709条)とは異なり、請求できる金銭の額が『実施料相当額』に限られている点が特徴です。
 ただし、補償金を請求できる範囲は、第3者が警告書を受領してから特許権が成立するまでの実施行為に限られ、特許出願人が第3者に対して補償金請求権を行使するためには特許権の成立が必須の要件となっています。
 
補償金請求権を発生させるための警告書
 
 公開公報掲載の発明を第三者が実施していることを知った特許出願人は、権利を早期に成立させるようにするとともに、補償金請求権を発生させるために、特許権が成立する前の段階で、公開公報に掲載されている発明を実施している第三者に対し、将来的に補償金請求権を行使する可能性がある旨の警告書を送ることになります。
 補償金請求権についての警告書を受け取った者は、「特許庁での審査の結果を待ちます」という旨の回答をする、特許権が成立しないよう、情報提供制度先行技術文献を特許庁に提出して、審査に利用してもらい、権利化を阻止する策を講じることなどを行うことになります。
 
 公開公報を読む場合は、審査請求されているか、審査がどこまで進んでいるか、自社の製品が関係ありそうか、なども考えて、読む必要があるケースが多いようです。

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    萬秀憲

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