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​特許の読み方

公開公報を読む(7)公開前登録の増加

9/9/2020

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教科書的には、通常は、出願から約1年半後に公開公報が発行され、その後審査が進み権利として認められ登録公報が発行されると書かれています。
 しかし、最近は、早期権利化によるベネフィットを求めた早期審査請求が増加しており、それに伴い、出願から1年半後に発行される公開公報が発行される前に登録されるケースが増えています。発行年毎における公開前登録の割合をみると、2002から2006年頃は1%に満たなかったのが、直近では約6%となっているとのことです。
 特許庁の努力により審査待ち期間が大幅に短縮され、早期審査制度が充実したことにより、「特許出願すると1年半後に公開され、その後登録されるから、公開公報で他者権利をチェックして邪魔になりそうな出願には情報提供」という、これまでの常識が通用しない時代に突入していることを意識しておく必要があります。
 
 なお、早期審査請求による早期権利化は、他社牽制効果があり模倣対策に力を発揮するという大きなベネフィットがあります。また、それだけでなく、
・権利化できなかった場合は、出願内容を公開せずに秘匿でき、拒絶査定の内容を踏まえて、新たに出願できる。
・日本出願の審査結果を早期に得ることで権利化の見込みがない出願や、あまりに権利範囲が限定されてしまうような出願について、外国出願を取りやめることで、不要な外国出願にかかるコストを削減することが可能となる
・外国での早期権利取得に寄与する
などのメリットがあります。
 こうしたことから、早期審査請求件数が増え、2019年には約2.3万件となり、2019年の審査請求数約23.5万件の10%弱を占めるまでになっています。
 
 審査請求手続をしてから審査官が最初に審査の結果を通知してくる(いちばん最初の拒絶理由通知や一発での特許査定など)までの待ち期間を、「審査待ち期間」(一次審査通知までの期間)と言っていますが、2019年度の「審査待ち期間」の平均は9.5ヶ月です。2009年度が29.1ヶ月だったので、ずいぶん早く審査が行われるようになりました。
 また、審査請求手続をしてから、最初の審査結果の通知を経て、特許査定,拒絶査定などの最終処分を受けるまで、または、出願の取下げ,放棄などまでの平均期間(特許庁に早期審査の申請や応答期間の延長を求めた場合等は除く。)を、「最終処分までの期間」(標準審査期間)と言っていますが、2019年度の「最終処分までの期間」は平均14.3ヶ月です。2009年度が35.3ヶ月でした。
 さらに、早期審査請求した場合には、早期審査に伴う事情説明書を提出してから審査結果の最初の通知が発送されるまでの平均審査待ち期間は2.5か月(2019年)と大幅に短縮されます。2009年度が1.8ヶ月だったので、平均審査待ち期間が少し長くなっていますが、早期審査の申出件数が増え続けていることによる影響でしょう。
 ちなみに、特許庁は、2023年度までに「審査待ち期間」について平均10ヶ月以内にすること、審査請求手続をしてから「最終処分までの期間」(標準審査期間)を平均14ヶ月以内にすることを目指しています。
(特許行政年次報告書2020年版より)
https://www.jpo.go.jp/resources/report/nenji/2020/index.html

 出願と同時に審査請求すると、平均14か月で最終処分されますから、18か月後の公開公報発行時には多くの出願が最終処分済になっているということですね。
 

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    萬秀憲

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    September 2020
    August 2020

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