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​特許の読み方

特許の読み方(18)切り餅事件特許を読む③

28/8/2020

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特許請求の範囲の文言の解釈は、特許法70条1項に、「特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない。」と規定、さらに同条2項には「前項の場合においては、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮して、特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するものとする。」と規定しています。
特許請求の範囲の文言だけで解釈されるわけではないということです。
 
特許請求の範囲の文言の解釈
原審は、特許請求の範囲の文言の解釈としても、以下のように判示しています。
「仮に切り込み部等を設ける切餅の部位が「載附底面又は平坦上面」とは異なる「側周表面」であることを特定することのみを表現するのであれば「載置底面又は平坦上面ではない・・・…側周表面」などの表現をするのが適切であることに照らすならば, 原告が主張する構成要件Bの記載形式のみから,「載置底面又は平坦上面ではなく」との文言が「側周表面」を修飾する記載にすぎないと断ずることはできないというべきである。」
控訴審では、特許諮求の範囲の記載によれば,「載置底面又は平坦上面ではなく」との記載部分の直後に,「この小片餅体の上側表面部の立直側面である側周表面に」との記載部分が読点が付されることなく続いているのであって、そのような構文に照らすならば「載置底面又は平坦上面ではなく」との記載部分はその直後の「この小片餅体の上側表面部の立直側面である」との記載部分とともに,「側周表面」を修飾しているものど理解するのが自然である。」
特許請求の範囲の文言解釈の部分だけ見ると、読点が付されるか否かだけで、権利範囲が天と地ほどの違いがあると言えるかもしれません。
 
 
原審と控訴審とは、いずれも本件明細書の記載、特に特許発明の作用効果を参酌して特許諮求の範囲の文言を解釈しています。その手法自体は一般的な解釈手法に沿うものでしたが、その特許発明の作用効果の捉え方の違いにより、異なる結論となったものと言えます。
 
このように、特許発明の作用効果は特許請求の範囲の記載の有する意義を明らかにするための解釈資料とされます。したがって、特許発明の作用効果が発明の詳細な説明に記載されることによって特許請求の範囲が限定して解釈された結果記載された作用効果を奏しない被告製品が、限定解釈される構成要件を充足しないとの結論が導かれることがあります。
また、被告製品が特許発明の構成要件を全て充足していても被告製品が発明の詳細な説明に記載されている作用効果を奏しない場合には作用効果不奏功の抗弁として、特許権侵害が否定されることがあります。
 

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    萬秀憲

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